ソニー「FE14mm F1.8 GM」はコマ収差と非点収差が非常に目立つ

LensTipに、ソニーの大口径超広角単焦点レンズ「FE 14mm F1.8 GM」のレビューが掲載されています。

LENS REVIEW Sony FE 14mm F1.8 GM

  • FE14mm F1.8 GM は14~15mmクラスのレンズの中では小さく、特にシグマの14mm F1.8 DG HSMはGMと比較すると巨大なモンスターだ。他の(14mm F2.8クラスの)より暗いレンズでも不思議なことにGMよりも重い。
  • フォーカスリングはバイワイヤ(電子式)だ。最短から無限遠までの回転角はリングを回す速さで変わり130~140度で、非常に正確なピント合わせができる。

  • 中央の解像力は開放から60lpmmを超え(良像の基準値は39~41lpmm)、絞り込むと74lpmmに達し、ハイエンドの単焦点レンズに相応しい性能だ。中央の解像力に全く不満はない。
  • APS-Cの隅の解像力は中央より遙かに低いが、それでも不満はない。フルサイズの隅では開放付近では、30lpmmをかろうじて超えるだけで問題になる可能性はあるが、F2.8に絞れば実用的な画質になる。しかし、この隅の性能はシグマ14mm F1.8 Artよりも良好で、GMのF2.8時の解像力を得るにはシグマはF4まで絞る必要があるので、ソニーGMの性能は批判に値するようなものではない。

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  • 軸上色収差(ボケの色付き)は、適切に補正されており全く問題ない。
  • 倍率色収差は開放付近では0.08%未満、絞り込むと0.04~0.06%の低い値で非常に良好だ。シグマ14mm F1.8 Artも良好で、このカテゴリでは引き分けだ。
  • 前ボケと後ボケには違いがあり球面収差は完全に補正されていないが、大きなフォーカスシフトは見られない。

  • 歪曲は-2.25%のタル型で、シグマの14mm F1.4 Artの-2.38%と近い値で、サムヤンの14mm F2.8 FEよりは優れている。シグマとソニーの差は誤差の範囲内で実質的に同等だ。ソニーが(電子補正だけでなく)光学補正の助けを借りて歪曲を修正していることを、とても嬉しく思う。
  • コマ収差は典型的な症状がAPS-Cの隅ですでに見られ、これは開放だけでなくF2.5に絞っても見られる。フルサイズではダイオードの点が翼のように見え、これはコマ収差が大きいことを示している。ソニーは記者会見で天体写真がこのレンズの主な用途の一つだと言っていたが、実際には、ソニーの主張が間違っていることが示された。
  • 非点収差は25.7%に達しており、残念ながらこれは非常に高い値だ。

  • 玉ボケは周辺部では大きく変形するが、これは口径食のためではなく広い画角を平面に投影するためだ。玉ボケには年輪ボケが見られ、明るい輪郭が付く。このカテゴリではシグマが明らかに優っている。
  • 周辺光量落ちは開放では非常に大きく64%(-2.96EV)に達するが、正直に言って3EVを明らかに超えてくると予想していたので、これは嬉しい驚きだ。キヤノンやサムヤンの14mm F2.8の周辺光量落ちはソニーより悪く、シグマ14mm F1.8 Artだけがここでは上手くやっている。
  • 超広角の逆光対策は非常に困難で、シグマ14mm F1.8は逆光に非常に弱かったが、ソニーの設計者は遙かに良い仕事をしており、開放でゴーストを出すことは実に難しい。太陽がある位置にあるときだけ、対角線上に明確なフレアがでることがある。絞ると少し問題がでるが、それでもシグマより遙かに優れている。

  • AFは最短から無限遠まで0.3秒と非常に速く静かだ。AF精度に関しては問題はないが、非点収差が非常に大きい(水平と垂直方向の解像力が異なる)ので、フォーカス機構が少し混乱する場合がある。前ピンと後ピンの明確な傾向は見られない。
  • 50mm F1.2 GMと35mm F1.4 GMの評価は良い部分が非常に多かったが、14mm F1.8 GMは少しトーンダウンしている。もちろん、不満ばかりという意味ではなく、小型軽量な光学系は非常に印象的だ。しかし、いくつかの点で妥協が必要だったのは不思議なことではない。個人的にはコマ収差の補正で失敗しているのが、最も辛いことだった。コマ収差に関するソニーの発表を聞いて、非常に良い性能を期待していた。しかし、その欠点を考慮しても、我々はこのレンズを非常に高く評価している。

  • 良い点:丈夫で防塵防滴の鏡筒、スペックの割りに控えめなサイズ、開放からの中央の優れた画質、軸上色収差の優れた補正、倍率色収差がわずか、歪曲の良好な補正、高速で静かで正確なAF。
  • 悪い点:隅の解像力が今ひとつ、周辺光量落ちが大きい、コマ収差が大きすぎる、深刻な非点収差、フロントフィルターが装着できない。

 

FE 14mm F1.8 GM は昼間のサンプル画像を見る限りでは、非常に優れた画質だと感じましたが、コマ収差と非点収差がかなり目立つということなので、天体や夜景にはあまり向いていないレンズなのかもしれませんね。

解像力に関しては、隅の落ち込みが指摘されていますが、14mmでF1.8のレンズなので、開放でこれだけ解像していれば立派なものという印象です。周辺光量落ちも「悪い点」に入っていますが、小さいレンズにもかかわらずこの明るさのレンズで3EVを切っているので、これ以上を望むのは難しいような気がします。