OMDSは2021年後半に革新的な製品を投入する

DPReviewに、OMデジタルソリューションズの上級幹部のインタビューが掲載されています。

Interview: Aki Murata of OMDS - 'we're more flexible now'

  • (2021年のOMDSの最大の課題は?)
    オリンパスからのカメラ事業部の分離を発表したが、今後のオリンパスのカメラが変わったり、研究開発に対する考え方や製品のロードマップが変わると心配していた人も多いと思う。OMDSの課題は、ユーザーが自信を持ってm4/3システムに投資できることを認識して貰うことだ。そのための最善の策は革新的な製品を投入することで、2021年後半にエキサイティングな製品を発表する。それで多くの人が安心すると思っている。

  • (新製品発表について、もう少し詳しく教えて欲しい)
    詳細は言えないが、引き続き、マイクロフォーサーズのミッドレンジからハイエンドの製品に焦点を合わせている。

  • (コンシューマー市場で最大のニーズは何か?)
    コンパクトカメラはスマートフォンとの差別化が必要で、アクションカメラや全天球カメラなどの特殊用途向きカメラが増えている。タフシリーズは、ネイチャーフォトグラファーに非常に高く評価されている。専門的な分野のユーザーのニーズにも注意深く耳を傾けていく。

  • (タフシリーズのカメラは今後もラインナップしていくのか?)
    イエスだ。防水のスマートフォンは既にあるので、防水だけでは、必ずしも市場があるとは思わないが、特定のニーズを持つユーザー向けのタフカメラを発展させ続けていけば、そこに市場は常にあるだろう。

  • (カメラがスマートフォンと競争するために何ができる?)
    差別化要因の一つはレンズで、鳥の撮影などの様々なシーンに対応できるのがレンズ交換式カメラの存在理由だ。逆に言えば、スマートフォンとの明確な差別化ができるカメラを提供できなければ、苦境に陥るだろう。今後もm4/3で携帯性に優れ、瞬間を捉えることができるシステムを開発していく。43センサーの強みは高速読み出しで、このフォーマットはコンピューショナルフォトグラフィー(手持ちハイレゾショットがその一例)にも理想的だ。

  • (フルサイズで採用されることが多くなっている積層型CMOSはm4/3でも利用できるのか?)
    将来の具体的な計画については言えないが、積層型CMOSのような技術を検討する可能性はある。常に最新のテクノロジーを開発し採用することで、m4/3規格の可能性を最大に引き出すことを目指している。

  • (4/3センサーの解像度の制限は?どの程度の高画素化で実用的でなくなるのか?)
    m4/3の画素数は20MPに制限されているわけではなく、当社のProレンズは100MPのセンサーにも十分に対応する性能を備えている。しかし、高画素化は処理速度と高感度の画質に大きく影響し、機能が制限される恐れもあるので、解像度と画質、性能の最適なバランスを慎重に検討していく。

  • (OMDSはスチル重視と見なされているが動画の戦略は?)
    スチルは非常に重要だが、動画を無視しているわけではない。レンズ交換式カメラの動画の課題の一つは手ブレ補正で、ジンバルを持っていない人も多いので、すぐに動画撮影できるオールインワンシステムが必要だ。また動画専用AFシステムを提供することで、動画撮影の向上に貢献できると考えている。

  • (150-400mm F4.5 TC 1.25x IS PROはいつ手元に届くのか?)
    150-400mmは、我々の期待を遥かに超える信じられないほどの予約注文があった。通常、この種のレンズは発売後数ヶ月で需要が落ち込むが、このレンズの需要は落ち込んでいない。生産設備はフル稼働しているが、1本のレンズを造るだけでも時間がかかるので、残念ながらいつ届けられるのかは分からない。

  • (E-M10 IVのようなエントリーレベルのレンズ交換式カメラ市場はいつまであると思う?)
    人々が写真への興味を失わない限り、エントリー機の市場はなくならないと思う。問題は、人々がエントリーモデルに、どのような機能を期待しているかということだ。スマートフォンが進化するほどエントリー機との違いは小さくなるので、エントリーレベルの定義を変える必要があるかもしれない。

  • (エントリーモデルはより高性能で高価になるのか?)
    それは間違いなく可能性の一つだ。

  • (将来の製品開発でどの分野に重点を置いて改善や開発を行うのか?)
    4/3センサーの可能性を最大限に活用したいと考えている。センサーが小さいと不利だと信じている人がいるが、小さい方が有利だと考えている。小型センサーの物理的な欠点は将来解消されるだろう。我々は小型センサーの認識を変える製品と技術を開発し続ける。「センサーが小さいのは(以前は)デメリットだと思っていた」と言われる日が待ち遠しい。

  • (新型コロナのパンデミックの影響は?)
    サプライチェーンの問題はそれほどなかったが、移動の制限や遅延が多く、カメラ市場に大きな影響を与えた。幸いなことに迅速に対応することができた。現在では市場は回復し初めており、顧客の要望に応える新製品を開発している。

  • (OMDSへの移行して製品開発のロードマップに変更はあったか?)
    製品の開発計画にまったく影響はない。今後も、これまでと変わらず計画通りに新製品を届けていく。

 

2021年後半に登場する「革新的な新製品」がどのようなものになるのか興味深いところですね。モデルチェンジの順番からいくとハイエンド機のE-M1X後継機の可能性が高そうな気もしますが、どうなることでしょうか。

また、技術の進歩で将来はm4/3のデメリットは解消されると述べられていますが、まずは次世代機のセンサーで、高感度性能やダイナミックレンジなどがどこまで進化するのか注目したいところですね。