キヤノン「RF85mm F2 MACRO IS STM」は開放から非常にシャープなレンズだが妥協している部分もある

OpticalLimitsに、キヤノンの中望遠単焦点レンズ「RF85mm F2 MACRO IS STM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 85mm f/2 STM IS macro - Review / Test Report

  • 鏡筒は良好な品質だが、防塵防滴仕様ではなく、プロをターゲットとしていないことは明らかだ。サイズはEF85mm F1.8よりも大きい。
  • 内側の鏡筒はフォーカシングで繰り出すが、これは少々時代遅れに感じられる。繰り出したときにわずかにぐらつくのも残念だ。
  • AFはUSMでなく引き続きコスト削減のためにSTMが採用されている。AF速度は非常に速いが、いくらか作動音が聞こえる。
  • 5段分の手ブレ補正を内蔵し、暗所ではより明るいレンズを以上の能力を発揮することもあるが、協調補正時の公称8段分の効果は割り引いて受け取っておいた方がよい。

  • 歪曲は未補正のRAWで1.1%の穏やかな糸巻き型だが、本格的なマクロレンズより少し高い値だ。もちろん、自動補正で完全に歪曲を取り除ける(自動補正時に-0.029%)ので、通常は全く心配いらない。
  • 周辺光量落ちは未補正のRAWで開放時に-1.98EVでかなり大きいが、F2.8で-0.78EVと大幅に改善し、F4以降で解消する。自動補正はかなり強くかけられており、開放時に-0.5EVと1.5段分も持ち上げており、それに伴って周辺部のノイズも多くなる。
  • このレンズの解像力は開放から非常に印象的だ。中央は開放で既に素晴らしい値で、周辺部と隅もとても良好な値だ。解像力は絞ると更に高くなり、ピークのF4では画面全域で素晴らしい画質になる。F5.6からF11でわずかに回折の影響が見られ、F16では顕著に解像力が低下する。像面の湾曲は小さい。

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  • 倍率色収差は隅で平均0.3ピクセル前後で、無視できる値だ。
  • 玉ボケは内部が非常に滑らかで輪郭もほとんど無く、素晴らしい描写だ。玉ボケの形状はF2からF4で円形に維持されており、これは他の多くのレンズよりも優れている。
  • 前ボケは非常に滑らかでバターのようだが、後ボケはいくらか輪郭が固くなる。
  • 口径食は開放では目立つが、F2.8でかなり改善し、F4でほとんど解消する。

  • 軸上色収差を良好に補正しているレンズは少ないが、このレンズはその中に含まれておらず、手前のボケにかなりの紫の色、後ろのボケに緑の色がつく。しかし、ボケの色付きはF2.8でかなり改善し、F4でわずかに残るだけになる。
  • RFマウントで唯一のサードパーティー製AFレンズのサムヤンAF85mm F1.4 RFとの比較では、サムヤンは性能ではキヤノンに追いついていないが、明るいので、予算が限られていて浅い被写界深度が欲しい場合は検討する価値があるだろう。

  • RF85mm F2 は高画素機でも開放から既に非常にシャープで優れた画質だ。ボケは良い部分と悪い部分があり、玉ボケは良好だが口径食が目立つ。また、前ボケは滑らかだが、より重要な後ボケが少しうるさくなることがある。開放付近では軸上色収差も目立つ。
  • 鏡筒の造りは概ね良好だが、伸び縮みして繰り出すとガタつきが見られる鏡筒はまるで昔のレンズのようで、それほど素晴らしいものではない。また、防塵防滴仕様ではなく、AFは速いがノイズレスではない。このように手を抜いていると感じられる部分もある。しかし、このようないくつかの欠点にもかかわらず、このレンズはとても手頃な価格で、非常に汎用性に富んだ価値のあるレンズだ。大いに推薦する。

 

解像力に関しては開放から高解像力で全く問題なく、シャープで良く写るレンズという印象ですが、ポートレートレンズなので後ボケが若干硬いと言われているのが少々気になるところです。

並単なのでLレンズに比べると造りに妥協しているところがあるのは仕方ありませんが、並単と言ってもそれほど安価なレンズではないので、繰り出したときの鏡筒のガタつきは少々残念ですね。