ニコン「Z 28mm f/2.8」はSラインのレンズに比べると開放では甘いがf4に絞れば非常に満足のいく画質になる

CAMERALABSに、ニコンのコンパクトな広角単焦点レンズ「Z 28mm f/2.8」のレビューが掲載されています。

Nikon Z 28mm f2.8 review

  • 28mm f/2.8はZマウントのAFの広角レンズでは最もコンパクトなレンズだ。プラスチック製マウントを採用していることもあって重さは157gで、Z24mm f/2.8S(447g)やZ35mm f/1.8S(364g)よりも圧倒的に軽い。
  • フォーカスリングは正確なピント合わせができるが可変速で、動画で滑らかなフォーカシングが可能なリニア式に変更はできない。
  • このレンズはフォーカスリングとフロント部にはシーリングが施されているが、マウント部はシーリングされていない。

  • AF精度は良好で、40枚以上の一連のショットでもピントが外れている画像はなかった。近距離から無限遠へのフォーカシングでもほとんどAFのバラつきは見られないが、わずかにピントが外れる被写体もあった。フォーカスブリージングはほとんど見られない。
  • 軸上色収差(ボケの色付き)はf2.8とf4で見られ、前ボケに少しマゼンタの色が付く。また、f2.8からf4に絞ったときに多少フォーカスシフトが見られる。

  • 解像力チャートの撮影は焦点距離の45倍(約1.3m)で行った。このレンズは開放からしっかりした性能だが、Sラインの広角レンズと比べると、開放では中心からDXの隅の解像力が低く、隅はコントラストが低くなる。しかし、f4に絞ると目に見えて解像力とコントラストが改善する。
  • Z24mm f/2.8SとZ35mm f/2.8Sは像面湾曲が見られないのに対し、Z28mm f/2.8はかなり強い像面の湾曲がある。
  • レンズの性能は撮影距離でも変わるので、1km先の遠景でもテストした。遠景ではZ28mm f/2.8は開放ではコントラストが少し低いが、f4に絞ると大きく改善しSラインのレンズにほぼ追いつく。隅はF5.6までは強い周辺光量落ちが見られる。
  • 周辺光量落ちのラボテストでは、レンズプロファイルを適用して補正した場合でも開放では周辺光量落ちがかなり目立つが、f4以降では改善し問題はなくなる。

  • 夜景の撮影では、開放時の隅ではコマ収差が非常に目立つが、f4に絞れば大幅に改善する。DXでは開放でもコマ収差はそれほど問題ない。
  • 玉ボケは色の付いた強い縁取りと、弱い年輪ボケが見られ、f4で既に玉ボケは円形ではなくなる。前ボケはうるさく見えるが、後ボケは28mm f/2.8のレンズとしては悪くない。
  • 近接撮影は開放ではソフトで、中央でもコントラストが低下する。f5.6まで絞るとDXの隅では解像力とコントラストは大きく改善し、更に絞るとその外側(フルサイズの隅)でもシャープになる。
  • 逆光のテストでは、弱いゴーストは出るが、黒い部分は黒のままだ。

  • このレンズの最大の特徴は小型軽量と低価格で、光学性能は悪くはない。欠点は隅の強い周辺光量落ちとコマ収差だ。Sラインとの比較では、Sラインのレンズはf1.8の開放から自信を持って使えるがこのレンズは、コントラストと解像力が改善するf4まで絞りたくなる。
  • Z28mm f/2.8 はZ24mm f/1.8SやZ35mm f/1.8Sよりもはるかに小型軽量で安価だ。画質は同レベルではないが、それでもしっかりとした性能を維持しており、f4に絞れば非常に満足のいく画質が得られる。

  • 良い点:小型軽量で安価、通常の撮影距離では画面全体で良好な解像力、軸上色収差が少ない、マウント部以外はシーリングされている、マルチファンクションリング。
  • 悪い点:周辺光量落ちとコマ収差が目立つ、フォーカスシフトと像面の湾曲、接写時のワーキングディスタンスが短い、ボケが小さい、プラスチックマウント。

 

Z 28mm f/2.8はSラインの広角レンズほど高性能ではないものの、大きさや価格を考えれば十分な性能ですね。開放時の甘さが指摘されていますが、1段絞ればSライン並みに改善するということなので、実用上は全く問題なさそうです。ただ、開放ではコマ収差がかなり目立つようなので天体や夜景の撮影をする方は、少し高くなってもSラインのレンズを選択した方がよさそうですね。