キヤノン「EOS R3」はオーバーサンプリング4K60pで90分以上の長回しが可能

DPReviewTVに、キヤノンEOS R3のレビュー動画の完成版(最終版)が掲載されています。

DPReview TV: Canon EOS R3 final review

  • クリスとジョーダンはEOS R3の製品版のテストを行い、高感度、ダイナミックレンジ、視線入力AF、フラッシュ撮影など限界まで追い込んできた。EOS R3の初期インプレではプリプロダクションモデルで何度かオーバーヒート警告が出たが、製品版ではどうなったのか見て欲しい。

  • 電子シャッターとメカシャッターの画質:ISO12800の画像で確認しても両者の違いは全く分からなかったが、大幅に増感するとメカシャッターのダイナミックレンジが若干広く、メカシャッターのメリットはあることが分かる。しかし、その差は非常に小さく、電子シャッターのダイナミックレンジも満足いくものだ。

  • 高感度画質:EOS R6とのISO12800の高感度画質の比較では、R6が若干優っているが、ほとんど同じ結果だ。同様にパナソニックS5との比較では、似たような結果だがS5が少し優っている。同じ積層型センサーのα9 II との比較では、若干EOS R3が優っている。若干の違いはあるが、どの機種も基本的に同程度の高感度性能だ。
  • ダイナミックレンジ:5段分増感した画像でのEOS R6との比較では、ノイズレベル(ダイナミックレンジ)はほとんど同じで、ディテールではR3に明白なアドバンテージがある。

  • 動画のオーバーヒート:製品版での動画の長回しの再テストでは、全幅のオーバーサンプリング4K60pで90分以上、6K60p RAWで45分以上録画したがオーバーヒート警告は表示されなかった。唯一4K120pのみが8分22秒でオーバーヒート警告が表示され、11分3秒でカメラがシャットダウンした。4K120pはスローモーション撮影なので長回しをすることはめったにない。動画のオーバーヒートの問題はR5やR6よりもかなり改善している。
  • 動画のクオリティなど:画質の点で問題はほとんどないが、4K120pのみ画質の低下が見られた。RAW Liteフォーマットの動画のファイルサイズが小さいことには感銘を受けた。録画中にヒストグラムが表示できないのは残念で改善を求めたい。R3はR5よりも大型バッテリーと高速なローリングシャッターが採用されており、キヤノンで最高の動画用のミラーレス機だ。

  • 視線入力AF:視線入力は、私(クリス)は非常に効果的に機能し、とても直感的にAF測距点を選択できるが、ジョーダンは視線入力が安定せず、彼の妻もトライしたがキャリブレーションも終了ぜず適切に動作しなかった。視線入力は、様々な人の目への対応にまだ問題があるようだ。
  • AF性能:被写体認識AFでは木の後ろを走る人の撮影でも、手前の木に惑わされることなく、遠方から近くまで瞳を追尾でき、よい結果が得られた。しかし、明るい条件でもしばしば瞳AFが後ろに抜ける場合や、動物認識AFが上手く機能しないことがあった。EOS R3の被写体認識は全自動では撮影できないので、適切な被写体のモードを撮影者があらかじめ選択しておく必要がある。

  • フラッシュ撮影:適切に機能するがメカシャッターの1/200秒、電子シャッター1/180秒のシンクロは速くはない。ここではZ9、α1に後れを取っている。
  • アンチフリッカー機能:他社のシャッター速度を少しずらす方法とは異なり、R3は自動的にフリッカーの点滅速度をスキャンし適切なシャッター速度を設定できる。これは実に素晴らしい機能だ。

  • 結論:EOS R3は連写が速く高画質でバッファーも大きく、AF性能も好みで直感的に操作できるカメラだが、画素数が少なく非常に高価だ。キヤノンのカメラで野生動物用や報道用なら1D Xよりも断然R3だが、しかしZ9やα1はより高画素で魅力的な機能も搭載されている。

 

EOS R3のダイナミックレンジや高感度性能はこのクラスの他のカメラと同程度で、R6とあまり変わらないようですが、画質を悪化させることなくセンサーの高速読み出しを実現しているので、文句は言えないですね。

動画の長回しに関してはZ9には及ばなそうですが、テスト結果からR3も十分なオーバーヒート耐性があると見てよさそうです。視線入力は人によって使えたり使えなかったりということで、まだ改善が必要のようですが、適切に動作する人にとっては素晴らしい入力デバイスになりそうですね。