ニコン「Z 9」の画質は高速読み出しの代償はあるが「Z 7II」との差はわずか

DPReviewの画質比較ツールにニコンZ9のデータが追加され、Z9の画質に関するレビューが掲載されています。

Nikon Z9 studio scene shows great speed comes at little cost

  • Z9のセンサーの画素数やベース感度はZ7やZ7IIの単層型BSIセンサーと同じで、Z7・Z7IIのセンサーは既にこれまでに目にしたセンサーの中で最高の性能だったので、Z9の注目点は「画質がどれだけ良くなったか」よりも「積層型センサーの速度向上による代償は何か」ということになるだろう。

スタジオシーン

  • Z9のディテールは、Z7 IIを若干上回っている。これは恐らく拡大されたライブビューによって若干フォーカスが改善されたことと、シャッターショックが無いことが理由かもしれない。
  • モアレはZ9がローパスレスであることを示唆しているが、同時にZ 85mm F1.8がセンサーの解像力を容易に超えていることも示唆している。
  • Z9はZ7IIや直接のライバル達と比較して、高感度の性能は少し(高速読み出しの)代償があるように見えるが、これは並べて比較した場合にのみ分かるものだ。
  • JPEGは色調が良好な印象で、シャープネスはソニー機よりも弱く、α1の方がより精細に見える。また、高感度のノイズリダクションも、ソニーほどディテールを維持できていない。全体として、Z9はZ7IIとそれほど大きな差はなく、α1にもそれほど後れをとっていない。

nikon_Z9_iso12800_comp_dpr_001.jpg

ダイナミックレンジ

  • Z9はノイズがやや多いため、Z7IIやα1と比べて少しダイナミックレンジが狭くなっている。露出を控えめにしてハイライトを保護し、画像を暗部を持ち上げる場合、カメラのダイナミックレンジを限界まで使うと、Z9は若干ノイズが多くなるが、ISO64を使えば、α1のベース感度のISO100と比べて大きな差はない。
  • 感度を上げるとベースISOよりもノイズ性能は改善され、特にISO400以上でゲインが高に切り替わるとその効果が出る。ISO500以上ではISO感度を上げるメリットはほとんどなくなる。

圧縮RAWの画質

  • 3つの圧縮RAWモード(ロスレス、HE、HE*)で撮影を行い画質への影響があるのかどうか確認した。HEやHE*の圧縮モードでは、シャドー部の暗い部分で若干データロスがあるように見えるが、ノイズがごくわずかに増加するだけで、大部分の写真に影響はないだろう。
  • ハイライトの画質を確認したが、目に見えるほどの差は見られず並べて比較するか計測しなければ、ほとんど違いは感じられないと思う。

 

Z9のセンサーは8K60pや20コマ/秒の連写に対応する高速読み出しの積層型センサーですが、ノイズの増加はZ7IIの画像と並べて比較してかろうじて分かる程度なので、実写での差はほとんど無いと考えてよさそうです。

ダイナミックレンジもシャドー部を現像時に大きく持ち上げた場合に、最暗部のノイズで差が出る程度のようなので、こちらも問題はなさそうです。