OM SYSTEM OM-1のAFは飛躍的に進化したがまだ未完成に感じる

DPReviewに、OMSYSTEM OM-1の詳細なレビューが掲載されています。

OM System OM-1 review

  • センサーの読み出し速度は1/125秒前後で従来の2倍程度にとどまり、これは最速の積層型フルサイズセンサーの半分の速度だが、クアッドピクセルで8000万画素相当のフォトダイオードを読み出しているのでこれは同然と言えば当然だ。
  • 手持ちハイレゾショットは強力な画像処理エンジンにより、処理は7秒で完了する(E-M1 IIIは16秒)。
  • OM-1はグリップが従来よりも大きくなっているが、それ以外の操作系はよく似ている。写真で見るよりも小さいカメラで、個々の操作部もかなり小さい。個人的には十分操作しやすいサイズだが、指の大きい人だと、小さなボディと操作部の多さのバランスが良くないと感じる人もいるかもしれない。
  • FnレバーではAFモードの切り替えが可能だが、被写体認識や瞳AF等の切り替えはできない。Fnレバーで追尾モードと顔・瞳認識を切り替えられると便利だ。
  • EVFは576万ドットと旧型よりも遥かに高解像度になり、倍率0.83倍とどのような基準で見ても大きなファインダーだ。

  • メニューはOM-1で完全に作り直された。色分けされたのは良いことだが、メニュー構造の記憶が必要でレイアウトが使いにくいように感じる。オリンパスのメニューはニコンを参考にしていたが、OMDSのメニューはキヤノンを参考にしたのだろうと思う。メニュー内が項目が整理され、すべてのコンピューショナルフォトのモードが1つのページにまとめられたのは素晴らしい。
  • スーパーコントロールパネルも健在だが、Fnスイッチと同様にOM-1の新機能を反映したアップデートはされておらず、そのため、たとえば被写体検出モードやコンピューショナルフォトモードにアクセスする方法はない。
  • OM-1のボディはハイアマ向けのフルサイズカメラと較べて著しく小さいわけではないが、かなり軽く、どこにでも快適に持ち運ぶころができる。フルサイズと比べるとレンズが小さいのも、持ち運びには大きなメリットになる。

  • JPEGの画質は低感度ではE-M1IIIと大きな差はないが、OM-1は細部のディテールをより良好に描写しており、高感度ではOM-1の方がよりディテールがかなり良く維持されているように見える。しかし、JPEGの画質に関しては大きな改善ではない。
  • RAWではOM-1とE-M1IIIでノイズに目立った違いはない。しかし、RAWファイルはOM WorkspaceでAIを使ったノイズリダクションを使用して、ディテールを保持しながらノイズ低減ができる。ハイレゾショットは一般的な出力サイズで見ると、ノイズが2段分ほど改善している。
  • ダイナミックレンジのテストでは、シャドー部を持ち上げたときのノイズは他の最近のm4/3センサーと同程度で、センサーサイズを考慮すると最近の多くのセンサーの性能と一致する。ハイレゾショットを使えばダイナミックレンジも改善する。
  • 画質は旧型と基本的に同じ性能で、JPEGの処理で画質が向上しているのは、少々拍子抜けの感があるかもしれないが、今回のセンサーは、クアッドピクセルのクロスタイプAFと従来の2倍の読み出し速度を画質を大きく犠牲にすることなく実現している。この読み出し速度によって可能になることを考えると、これは素晴らしい結果だと思う。

  • AFは連写速度と共にOM-1で最も飛躍的に進化した分野で、被写体認識は被写体に合うモードがある場合の性能には感心したが、従来の追尾システム(C-AF+トラッキング)は改善されていない。
  • AFシステムは個々の部分はよく出来ているが、AFシステム全体としては、キヤノンやソニー、ニコンの最新のものと比べると洗練されていない。「フォーカスエリアを選択すると、必要に応じてカメラの全ての機能がそのエリアに適用される」システムに比べると、OM-1のAFシステムは少々未完成に感じる。

  • 動画の画質はUHD4KではE-M1IIIとの画質差はほとんど無いが、OM-1は4K60pに対応しており、60pでも画質の低下は見られない。デジタルISはディテールの代償はあるが、非常に滑らかで安定するので、結果的にはその方がメリットが大きいかもしれない。
  • 素晴らしいのは10bitモードを使用したときの変化で、より多くのディテールをセンサーから引き出すことができ、動画に特化したカメラに匹敵する画質を実現している。しかし、残念ながら60pではこのモードは使えない。10bitモードでは若干読み出しが遅くなるが、それでも4Kで7ms以下なので非常に優れている。
  • OM-1では、スチルと動画のモードが十分に分離されているのは良いニュースだ。露出は別々に設定でき、ホワイトバランスも共用するかどうかを設定できる。
  • OM-1の動画はパナソニックのGHシリーズほどは洗練されていないかもしれないが、動画品質と手ブレ補正の組み合わせによって、非常に強力な動画のためのツールとなっている。動画のAFに関してはスチルと同様で、被写体認識以外の追尾モードは頼りにならないが、顔認識は極めて良好に機能するので、ブイログ用カメラとしてとても役立つ。

  • OM-1はおそらく今までで最高のオールラウンドなm4/3カメラで、完璧なカメラではないがユーザーが少し工夫すればその性能を存分に発揮することができる。AFは大幅に進化しカメラが認識する被写体の撮影では強力だが、認識しない被写体の追尾には難がある。このカメラは他社のフルサイズのフラッグシップ機ほど洗練されたカメラではないが、多くのプロ用機の半分のコストで約2倍の速度で連写することができる。
  • OM-1は画質ではフルサイズカメラには及ばないものの、これだけの性能(速度、AF性能、IS性能、耐候性)をこの小さなパッケージで実現するカメラは他にはない。コンパクトさと画質はトレードオフになるが、ハイレゾショットは特定の状況下で画質の差を縮めるのに役立つ。
  • 良い点:
    - 魅力的な発色でこのフォーマットとしては素晴らしい画質
    - センサーサイズの割りに優れたダイナミックレンジ
    - AF追従で50コマ/秒の連写
    - 速くレスポンスに優れたAF
    - 被写体認識が良好に動作
    - パワフルな手ブレ補正とのコンビによる素晴らしい4K10bit動画
    - カスタマイズ機能が豊富
    - 撮影シーンに応じた多彩なマルチショットモード
    - USB経由の操作や充電

  • 悪い点:
    - C-AFの追尾が依然として期待外れ
    - AF機能がインターフェースと上手く統合されていない(顔の選択とAF測距点選択が別々に分かれているなど)
    - 8bitの動画は10bitのLOGやHDRよりもディテールが大きく劣る
    - 2ポジションレバーで期待する設定ができない
    - 手持ちハイレゾモードで動体の補正ができない
    - 充電器が付属していない

  

OM-1のAFはE-M1IIIから大きく進化しているようですが、まだ荒削りな部分も多いようなので、今後のアップデートに期待したいところです。画質に関してはそれほど大きな改善ではないようですが、JPEGでは全体的に改善されているようです。またハイレゾショットでの改善は非常に大きいようですね。

フルサイズのフラッグシップ機には及ばない部分もあるようですが、連写速度はOM-1が優ってますし、価格とレンズを含むシステム全体のサイズを考えると、非常に魅力的なカメラになっているという印象です。