ニコン「Z 800mm f/6.3 VR S」は手持ち撮影も可能で野生動物やスポーツに最適なレンズ

ePHOTOzineに、ニコンのPFレンズを採用したコンパクトな超望遠単焦点レンズ「Z 800m f/6.3 VR S」のレビューが掲載されています。

NIKKOR Z 800mm F/6.3 VR S Lens Review

  • 800mmのレンズをコンパクトと呼ぶのは躊躇するが、このレンズはまずまず軽量コンパクトで、VRが搭載されているので手持ち撮影も可能だ。
  • コントロールリングはデフォルトでは絞りリングになっており、動画撮影に理想的な静かな絞りリングだ。
  • フォーカスリングは、シャッターを半押しするとAF時でも有効になる。最大撮影倍率は0.16倍で5mまでピントが合う。フォーカシングはインナーフォーカスだ。
  • AFは高速で作動音はほとんどぜず、多くの場合は難なく被写体に合焦する。

  • 説明書では、三脚使用時もVRの使用が推奨されており、三脚に据えても振動が消えるまで少なくとも10秒かかかり、わずかな振動で揺れる可能性があるので、解像力テストはVRを有効にして測定している。
  • 中央の解像力はf/6.3からf/11まで素晴らしい値(excellent)、f/16ではとても良好な値(very good)で、f/22とf/33では解像力が低下しそこそこの値(fair)になる。隅はf/6.3でとても良好な値(very good)、f/8で素晴らしい値(excellent)、f/11とf/16でとても良好な値(very good)、f/22とf/32ではそこそこの値(fiar)だ。絞り込むと回折の影響があるのは間違いないが、おそらくシャッタースピードの低下で振動も解像力に影響しているのだろう。

nikon_z800mmf63vrs_mtf_epz_001.jpg

  • 倍率色収差は自動補正を無効にして計測している。色収差は絞り全域で1ピクセル以下の低い値だが、最近レビューしたいくつかのレンズのような極めて低い値ではない。実写では色ズレは目立たないが、必要があれば自動補正や後処理による補正で対処できる。
  • フレアは非常に良く抑えられており、大きなレンズフードがレンズ前面に当たる光を遮るのに役立っている。PFフレアは大きな問題はないようだが、これはたぶん被写体の照明状況に依存するだろう。
  • 歪曲は1.22%の糸巻き型でまずまず小さい。後処理での補正も可能だが、このレンズのほとんどの用途では問題になることはないだろう。

  • ボケは美しく、焦点距離が長いので大きな後ボケを得るのも難しくない。
  • 周辺光量落ちは開放で-0.9EV、f/8で-0.8EV、f/11で-0.7EVととても穏やかで、隅が暗くなるような兆候は見られない。
  • VRはニコンは5.5段分の効果を主張しているが、実際にこの効果が確認できた。具体的には、レビュアーのテストでは4段分までは極めてシャープな結果が、6段分までは許容範囲内の結果が得られた。

  • ロングレンジのスポーツ撮影や、鳥、動物の撮影では800mmの長い焦点距離が違いを生む可能性もある。適度な距離から小さな鳥を大きく撮れるのは素晴らしいことだ。Z800mm f/6.3は価格は高いが、ロングレンジの撮影に力を入れている人には、高価な大口径の超望遠と比べると非常にリーズナブルで素晴らしいレンズだろう。VRは信じられないほどの効果で、手持ち撮影も可能だ。野生動物やスポーツの撮影に理想的な高性能な超望遠レンズで大いに推薦する。
  • 良い点:素晴らしい解像力、理に適った大きさ重さ、効果的なVR、PFレンズによる色収差の低減。周辺光量落ちが少ない、歪曲が小さい、フレアが少ない、速く静かなAF、防塵防滴、カスマイズ可能なコントロールリング、メモリーボタン。
  • 悪い点:大きなレンズを難なく扱うには練習が必要、PFフレアが出る可能性がある、必然的に価格が高い。

 

Z 800mm f/6.3は800mmの超望遠としては非常に軽量コンパクトなレンズですが、解像力は開放から非常に高く色収差も抑えられており、申し分の無い性能と言ってよさそうです。高性能な本格的な超望遠レンズが、手持ちで楽に振り回せる大きさにまとめられているのはポイントが高いですね。

PFフレアに関しては出る可能性はあると述べられているものの、実写テストではPFフレアは見られなかったようなので、実写で大きな問題になる可能性は少なそうですね。価格で安くはないですが、スペックを考えればむしろリーズナブルといってもよさそうです。