若者にフィルムカメラが流行っている背景

現在ビジネスにフィルムカメラブームに関する記事が掲載されています。

あえて「不便なフィルムカメラ」を使う若者が増えてきている背景事情

  • 「SNSを自在に使いこなすデジタルネイティブたちの間で、フィルムカメラが流行っている」――そんな話題がメディアで報じられるようになってから、すでに6、7年ほどが経つ。

    今や観光地や繁華街では古いフィルムカメラや「写ルンです」あるいは「チェキ」などのインスタントカメラを片手に歩く若者をよく見かけるようになった。また筆者が担当している写真専門学校で聞くと、半数以上の学生がフィルムカメラを所有していた。

    写真フィルムの価格も上がり続けている。36枚撮りのカラーネガフィルムで比較すれば、10年前の店頭価格は1本あたり700円前後だったが、いまや2000円と3倍近くし、加えてフィルム現像と写真のデータ化に千数百円は掛かる。しかし、このコスパの悪さにもかかわらず人気は衰えず、若いユーザーたちはフィルム写真には「デジタルにない魅力がある」と口を揃える。

    (フィルムカメラが流行っている)もうひとつの理由は、デジタルカメラが「写りすぎる」ことだ。コンピュータ制御によって失敗が少なく、隅々まで明瞭に撮れるデジタルカメラ。それに対して、フィルムカメラはクリアさに欠けるものの人間的な温かみを感じさせる。そんな印象を持つ若者たちが多いと言う。

    インスタグラムにフィルムカメラで撮影した写真を投稿するケースも目立っている。「若い人たちに聞くと、フィルターでフィルム写真っぽく加工するのと、フィルムから直接スキャンした画像をアップするのでは「イイね!」の数が違ってくるそうだ。

    フィルムカメラの静かな人気は世界的に広がっている。今年1月14日付の『ニューヨークタイムズ』によるとインターネットオークション世界最大手のeBayでは、キヤノン、ペンタックス、ニコン、ライカのフィルムカメラの売上がコロナ禍の2年間で42〜79%の増加率を記録した。事業担当の副社長は、今やフィルムカメラは、スニーカーやトレーディングカードと並んで、「投資志向の買い物客向けの新しいカテゴリーとして台頭してきた」と語っている。

    フィルムカメラの生産も再開する可能性があるのではないか。この点を稲田氏と村上氏に聞いたところ、揃って悲観的な答えが返ってきた。現状は厳しいが、それでもフィルムカメラに対するニーズは、アナログ製品全体の見直しと相まって増していくようには思う。この静かな波をビジネスチャンスと捉え、アナログ技術の良さを活かした新しい市場と文化の創出として考えるスタートアップ企業の登場を個人的には期待している。

 

コダックが生産終了したいくつかのフィルムを再生産しているので、フィルムカメラが多少復活してきているのは間違いなさそうですが、新しいカメラを開発してペイできるほどの規模ではなさそうですね。とは言え、今のフィルムカメラブームがなければ、フィルムや印画紙等の感材が入手困難になっていたかもしれないので、フィルムカメラファンにとっては有り難い状況かもしれませんね。