ニコンの「DC 105mm f/1.8」「DC 105mm f/2.2」の特許

ニコンがフルサイズミラーレス用の「105mm F1.8」「105mm F2.2」の実施例を含む球面収差がコントロール可能なDCレンズの技術に関する特許を取得しています。

IP Force

  • 特許権者:株式会社ニコン
    特許:7099529
    出願番号:P 2020538283
    登録日:2022-07-04
    発行日:2022-07-12
    国際出願番号:JP2019030872
    国際公開番号:W WO2020039912
    発明の名称: 光学系、光学機器、および光学系の製造方法

  • 本実施形態の光学系は、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態に亘って諸収差を良好に補正することができ、オートフォーカスにもマニュアルフォーカスにも適した大口径の光学系を実現することができる。
  • 本実施形態に係る光学系は、無限遠物体合焦状態から近距離物体合焦状態に亘って諸収差、特に球面収差とコマ収差を良好に補正することができる。
  • 本実施形態に係る光学系は、前記後続レンズ群が、光軸に沿って移動することによりデフォーカス領域のボケ味を変化させるDC群を含む。
  • 球面収差をはじめ、諸収差を良好に補正することにより無収差に近い光学系を達成すると、ピントの合った前後のデフォーカス領域のボケ方が均質ではあるが用途によっては急にボケてしまい、使いにくいと評価されることもある。そのため、デフォーカス領域のボケ味に影響を与える収差のうち、主に球面収差のみを使用者の意図に合わせて変化させることが出来る光学系が望ましい。
  • 通常、レンズ間或いはレンズ群間の間隔変化で収差を変化させると、球面収差だけではなくて他の収差も変化してしまう。本実施形態に係る光学系は、光軸に沿って移動することによりデフォーカス領域のボケ味を変化させるDC群を含み、条件式(12)を満足することにより、ボケ味において好ましくないコマ収差、非点収差、色収差などの変化は極力抑えて、球面収差のみが変化するようにしている。
  • 本実施形態に係る光学系は、DC群を光軸方向に移動させ、DC群と、DC群の前後のレンズ群との間隔を変化させることで球面収差を正負両方に変化させることが出来、被写体の前側、後側それぞれについてボケ味を変化させることが出来る。これにより、ピントが合っている被写体のシャープな描写を維持しつつ、被写界深度外の背景または被写界深度外の前景のボケ味を変化させることができる。

  • 実施例1(105mm f/1.8)
    焦点距離 102.01
    Fナンバー 1.85
    半画角 11.9
    像高 21.60
    全長 224.130
    バックフォーカス 18.300
    バックフォーカス(空気換算長) 17.755

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  • 実施例6(105mm f/2.2)
    焦点距離 102.09
    Fナンバー 2.25
    半画角 11.9
    像高 21.60
    全長 199.306
    バックフォーカス 18.797
    バックフォーカス(空気換算長) 18.252

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DCレンズのZマウント版が欲しいという声は結構多いようなので、この特許のレンズが製品化されれば、Zユーザーに歓迎されそうです。

光学系は非常に複雑ですが、「球面収差のみを変更させて他の収差は変化させず、ピントが合っている部分のシャープさを維持したままボケ味を変化させられる」ということなので、ピント面もソフトになってしまうソフトフォーカスレンズと違って扱いやすそうですね。