シグマ「24mm F1.4 DG DN Art」は星景写真用としては期待外れ

PCmagに、シグマの新しい大口径広角単焦点レンズ「24mm F1.4 DG DN Art」のレビューが掲載されています。

Sigma 24mm F1.4 DG DN Art Review

  • α7R IVとの組み合わせでは、シグマ20mm F1.4 DG DN Artのようにレンズが大きすぎたり、フロントヘビーになってしまうことはない。日常の撮影や手持ちでの使用、散策には24mm F1.4 DG DN Artの大きさの方が間違いなく好まれるだろう。
  • AFはステッピングモーターで、静かで非常に速く、わずか0.1秒で合焦する。
  • マニュアルフォーカスはEマウント機ではノンリニアで、これはフォーカスラックを繰り返したいビデオグラファーには向いてない。Lマウント機ではリニア、ノンリニアの切り替えが可能だ。
  • フォーカスブリージングがいくらか見られ、遠距離から近距離にピントを合わせるとわずかに画角が広くなる。スチルでは影響は無いが、動画では懸念事項だ。一部のEマウント機はブリージング補正機能を搭載しているが、サードパーティー製レンズでは利用できない。
  • 最大撮影倍率は1:7.1で、寄れる広角レンズを探している場合は1:2まで寄れるシグマ24mm F3.5やタムロン24mm F2.8の方が適している。

  • ラボテスト(解像力):α7R IVとの組み合わせでは、中央は開放で4450ラインの素晴らしい値(excellent)で、F2.8で5000ライン(outstanding)の際立った値になる。このレンズには像面湾曲があるため、ラボテストでは隅の解像力の値は高くないが、実写では画面全域でシャープな画像が得られる。
  • 天体写真の実写では、F1.4開放で画面全域でシャープだが、残念ながらサジタルコマフレアは期待に応えられておらず、画面隅の明るい星は点像ではなく紫色の十字になる。もし、天体写真を専門的に撮るなら、コマフレアの抑えられた20mm F1.4 DG DN Artを強く勧める。
  • 歪曲はRAWではタル型が少し見られるが、十分に補正されており、歪曲よりも開放時の周辺光量落ちの方が厄介だ。
  • ボケは満足いくもので、後ボケは柔らかく玉ボケも滑らかだが、軸上色収差(ボケの色付き)が少し見られる。倍率色収差は全く見られない。
  • 光芒はF16でベストの状態になるが、あまり鮮明なものではない。太陽を画面に入れた撮影でもフレアは問題なかった。

  • 24mm F1.4 DG DN Artの価格は約800ドルで、ほとんどの点で1400ドルのソニーFE 24mm F1.4 GMに追いついているが、プロやハイアマは動画に最適化されたリニアなフォーカスや、ブリージング補正への対応、軽さのためにFE24mm F1.4 GMを好むかもしれない。
  • 24mm F1.4 DG DN Artは、AF速く画質はシャープで防塵防滴仕様で一般的な用途では大きな不満はない。しかし、周辺部ではサジタルコマフレアが見られ、天体写真用としての期待を十分に満たしていないことにがっかりしている。天体写真用としては20mm F1.4 DG DN Artの方が適している。
  • 良い点:際立った解像力の光学系、背景をボカせる明るさ、素早く静かなAF。
  • 悪い点:いくらかフォーカスブリージングが見られる、星の写真でサジタルコマフレアが見られる、光芒があまりシャープではない。

 

24mm F1.4 DG DN Artのキャッチフレーズは「日常使いできる星景レンズ」で、星景写真を前面に押し出しているレンズなので、サジタルコマフレアが結構残っている(サンプル画像)のは意外でした。

とは言え、このレンズは開放から高解像力で色収差も少なく、天体以外の用途では申し分のない性能のレンズのようなので、価格を考えると訴求力はかなり高そうですね。