富士フイルム「X-H2S」は「X-T4」とほぼ同等の画質だが少しダイナミックレンジが狭い

DPReviewの画質比較ツールに富士フイルムX-H2のデータが追加され、高感度性能とダイナミックレンジに関するレビューが掲載されています。

Fujifilm X-H2S studio scene: minimal IQ cost for high-speed capabilities

  • X-H2SとX-T3、X-T4との(JPEGの)シャープネスの違いは、X-H2Sの露出がわずかに暗いためにコントラストが強くなっていることと、おそらくピントがわずかにずれているためと思われる。しかし、RAW画像で見ると、その違いはほとんど感じられない。

    X-H2Sは積層型CMOSの動作速度と引き換えに、高感度ISO性能にそれほど大きな代償がないことがわかった。その違いは高感度で見られるが、多くの状況では大きな違いではない。

    ノイズリダクションは、高感度でもディテールが維持され、低コントラスト部分のディテールも完全に塗りつぶすことはなく、これまでの機種と同様にとても合理的にかけられている。

    X-T4と比較して、X-H2Sの色再現にほとんど変化はないが、この2機種の最適な露出は1/60秒と1/50秒の間にあるため、X-T4の画像は適正よりも少し明るく、X-H2Sは少し暗くなっている。

    全体として、これは優れた結果だ。X-T3、X-T4の画質が良好だったので、大幅な速度の向上にもかかわらず、X-H2が同等の画質を維持できているのは評価できる。

fujifilx_X-H2_noise_comp_ISO12800_dpr_001.jpg

  • ダイナミックレンジのテストでは、ベースISOの画像を同じ露出でISO3200まで持ち上げてみると、明らかにノイズが増加しているのがわかる。X-H2SはX-T4よりもノイズは多く、暗部の階調でその違いは大きくなる。ノイズレベルは、電子シャッターを使用するとわずかに増加する。

    ベースISOの画像を露出アンダーにして撮影してから持ち上げた場合(高コントラストのシーンを撮影するケースなどで使用する)でも同様で、X-H2SはX-T4よりもシャドー部のノイズが多く、電子シャッターではさらにノイズが多くなる。

    露出を大きく持ち上げない場合は、X-H2Sは+4EVまでのシャドーの持ち上げ、電子シャッターで+3EVまでの持ち上げならX-T4と比較して同等だ。

    これは、ニコンZ9の積層型センサーがZ7 IIとの比較で見られた結果と本質的に同じだ。高速読み出しの結果、読み出しノイズがごくわずかに増え、ダイナミックレンジが減少していると見ていいだろう。

 

X-H2Sは積層型センサーの採用で読み出しを大幅に高速化していますが、高感度ノイズへの影響はかなり少なく、X-T3やX-T4との高感度の違いは、並べて詳細に比較しないと気付かないレベルと言ってよさそうです。

ダイナミックレンジに関してはX-T4よりも狭く、シャドー部を持ち上げるとノイズが目立つようですが、かなりシャドー部を大きく持ち上げなければX-T4との差はつかないようなので、実際に使用する上ではダイナミックレンズの違いはそれほど気にする必要はなさそうです。