PCmagに、ニコンの標準マイクロレンズ「Z MC 50mm f/2.8」のレビューが掲載されています。
・Nikon Nikkor Z MC 50mm F2.8 Review
- このレンズはフォーカシングで内側の鏡筒が繰り出すので、AFは無限遠から最短まで約0.5秒かかる。フォーカスリミッターは近距離にフォーカス範囲を制限できるが、遠距離に制限することはできない。
- このレンズのフォーカス方法では極端にフォーカースブリージングが大きくなり、近距離での画角が著しく狭くなる。ある被写体から別の被写体にピントを移す動画撮影では、このレンズを使わない方がいい。
- フォーカスリングはノンリニアで、ゆっくり回すとフォーカスの微調整ができる。フォーカスリングはコントロールリングにもなるが、極めて敏感なので、少し触れただけで大きく設定が変わってしまう。リングの感度を調整できるボディはZ9だけだ。
- 最短撮影距離は6.3インチだが、これはセンサーから被写体までの距離で、レンズ前面から被写体までの距離(ワーキングディスタンス)は約1.5インチしかない。
- レンズ内手ブレ補正は搭載されていないが、フルサイズ機にはすべてIBISが搭載されているので、これは大きな問題ではないだろう。しかし、マクロ域の手持ち撮影ではファインダーでブレが目立つ。Z MC 105mmはレンズ内手ブレ補正を搭載しており、ファインダーのブレが軽減され、手持ち撮影しやすい。これは、更に投資して105mmを購入する理由の一つだ。
- ラボテスト:解像力テストはZ7IIとの組み合わせで行った。解像力は開放で4000ラインの素晴らしい値で、絞った時は4400~4600ラインの際立った値になる。回折の影響はF11までは見られず、F16でもわずかだった。解像力はこのレンズの強みだ。
- F22まで絞ると光芒が現れるが、風景写真家が求めるようなシャープなものではなく、非常にソフトだ。
- 逆光時のフレアは良く抑えられているが、太陽が画面の隅に入るとゴーストが出ることがある。
- 蜘蛛の巣の画像では、蜘蛛の糸に紫と緑の色が付いており、かなり軸上色収差があることに気付いた。Z MC 105mm F2.8はテスト時に軸上色収差は見られず、要求の厳しい撮影により適している。
- 歪曲は未補正のRAWでは糸巻き型が少し見られるが、LightRoomには補正プロファイルがあり、JPEGでも自動修正されるので、複写用にも躊躇なく使える。
- 周辺光量落ちは、開放で遠くの被写体を撮影すると少し見られる。
- 倍率色収差の問題は見られない。
- ボケは二線ボケの傾向があり、後ボケは少しうるさく見える。またハイライトの軸上色収差は非マクロ域では気になることがある。
- Z MC 50mm f/2.8はミドルレンジ価格帯のレンズで期待通りの性能を発揮する。光学系はZ7IIの45MPセンサーから他の単焦点レンズと同等のディテールを引き出すことができる。また、防塵防滴で堅牢な造りなのはプラスポイントだ。
- このレンズにはボケが少しうるさいことや、隅のハロ、軸上色収差などのいくつかの欠点もある。また、AFもやや遅く、レンズ内手ブレ補正が省略されているので、三脚なしでできることは限られている。より適切に収差が補正されたZ MC 105mm f/2.8の方がテクニカルなマクロ撮影には遥かに適しており、手ブレ補正が搭載されているので手持ちのマクロ撮影では非常に役に立つ。
- Z MC 50mm f/2.8をZ 50mm f/1.8 Sの代替のレンズとして検討している場合は、f/1.8 Sの方がよりシャープであることを知っておいて欲しい。
- Z MC 50mm f/2.8はZ MC 105mm f/2.8 VR SやZ 50mm f/1.8 S ほどのインパクトは無いものの、50mm f/2.8の汎用性の高さは、105mm f/2.8や50mm f/1.8 Sの性能的な優位のメリットを上回るかもしれない。
- Z MC 50mm F2.8はクローズアップに適した優れた性能のレンズだが、Z MC 105mm f/2.8 VR Sのような傑出した光学性能のレンズではない。
- 良い点:シャープな光学系、等倍の倍率、フォーカスリミッター、防塵防滴・フッ素コーティング、ES-2フィルムデジタイズアダプター対応。
- 悪い点:AFが比較的遅い、手ブレ補正が無い、軸上色収差が出やすい、過敏なコントロールリング。
Z MC 50mm f/2.8は収差の補正や手持ちのマクロ撮影のしやすさなどの点で、Z MC 105mm f/2.8 VR Sには及ばないようですが、非Sレンズなので光学性能でSレンズの105mm f/2.8に及ばないのは仕方のないところですね。
ボケはサンプルではレビューの評価通りやや二線ボケが目立つ印象ですが、ボケが大きくなるマクロ域ならそれほど気にならなそうです。収差の少なさではもちろんSレンズに軍配が上がりますが、このレンズは寄れて小型軽量な標準レンズとして非常に便利に使えそうなレンズという印象です。
Z9ユーザー
MCレンズはきっちりブツ撮りや屋外で花・昆虫撮りなら105mmで、カジュアルなスナップに50mmという、現状Zの王道使いをしていて、今のところこれで100%満足です。
MC50mmはフィルムスキャナにも使えますし、稼働率からいうと105mmより50mmです。「遊べる」レンズでもありますね。
ただ、ブツ撮りでもボケを楽しみたいなら、私は問答無用で105mmより50mm/f1.2です。Z6使いの娘がフィギュアと小物をメルカリに出すとき「50mm/f1.2貸して-」と迷わず飛び込んできました。すぐ売れたのはレンズのおかげかはわかりません(笑)
ききかか
このサイズ感は「zf」の為にあるようなものかと。(妄想)
zf専用のクラシカルなデザイン・タイプも出して、セットでほしい。(妄想膨らむ)
Kentie
Z MC50 の写りもなかなかのもんです
Z MC105 の写りが「トンでもない」から見劣りするだけで…
Fマウントのマイクロ60とか105と比べると,Z MC50 はその写りにおいてもコンパクトさにおいても,確実に大口径&短フランジバックの恩恵を受けているなと実感します
ただ,ボケに関しては(個人的な印象ですが)Z MC50 も Z MC105 もFマウントのマイクロと比べてややガサついた感じがします
Z50/1.2 はどうなのだろうと興味が湧くのですが…とりあえずは我慢我慢!
どもん
MC50については同印象です。
小型化を優先したのだと理解していますが、
AF動作時の微振動、駆動速度など、割り切っている面が感じられます。
ボケについては、大きくボカせる場合は問題ないでしょうけど、
通常の撮影距離で撮ったときどうなのかは気になるレベル。
従来60mm、そして歴代55mmに銘レンズがありますが、
それと比較すると、ちょっと路線が違うのかも知れません。
KAZ
往年の55mmf3.5の時代からマイクロニッコールを使い続けてきましたが、このZ用50mmf2.8は、標準マクロとしては総合的に見て最高だと感じています。
レビューには、ZMC105mmf2.8には及ばないとありますが、そもそも、焦点距離が2倍ある望遠マクロとはパースペクティブが大きく異なるので、同列では比較できないのではないでしょうか。
接写に拘りがあるのならば、この50mmと105mmの両刀遣いでいくべきだろうと考えます。