キヤノンはRFマウントのライセンスはケースバイケースで対応する

phototrendに、CP+2023会場で行われた、キヤノン開発陣のインタビューが掲載されています。

Interview Canon CP+ 2023

  • (現在のカメラ市場の動向について)
    カメラ市場は縮小し続けてきたが、ここ2、3年で底を打って安定してきたと考えている。レンズ交換式カメラの販売台数はここ2年で550万台から600万台に増加した。一眼レフの減少が鈍化し、ミラーレスカメラが成長しているので、この傾向は今年も続くと予想している。ユーザー側は動画に向かう傾向が強くなっている。また、未来を見据えるなら2Dだけではダメで、次のステップは当然3D、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)で、これらのトレンドにも目を向けていかなければならない。

  • (現在のキヤノンのフラッグシップカメラは?)
    最上位のカメラは明らかにEOS R3で、これがフラッグシップと言えると思う。EOS-1DとEOS R3を比較すると高度な機能の点では同等なので、EOS R3はフラッグシップの名に値するが、「3」と名付けたのは、現在開発している「1」があり、この機種が最上級モデルになるためだ。

  • (EOS R6 II がEOS R6から短期間で発売されたのははぜ?)
    技術が進化するスピードはとてつもなく速い。EOS R6を発売した時点で、AI AFを搭載し、より優れた被写体認識を搭載したEOS R6 II を発売することは決まっていた。競合他社に負けないようにするためには、EOS R6 II の投入はベストなタイミングだったと思う。

  • (EOS R50はEOS M50からどの程度インスピレーションを受けたのか? EOS Mシリーズはこれで終わりなのか?)
    EOS R50は小型軽量なことが特徴だが、EOS Mシリーズはマウントが小さく更に小型軽量だ。EOS Mシリーズは依然として顧客からの強い要望があり、その高い需要に応える必要があるため継続して提供していく。

  • (APS-C機はフルサイズ用レンズの使用が前提なのか? それとも専用の小型レンズがユーザーから求められると思うか?)
    3本目のRF-Sレンズ(RF-S55-210mm F5-7.1 IS STM)を発売する。もちろんフルサイズのRFレンズも使用することができるので、様々なニーズに応えられるレンズが既に沢山あると思う。

  • (EOS R8はぜ「8」なのか? APS-CのEOS R7やEOS R10と紛らわしいのでは?)
    我々はセンサーサイズによってカメラを分類するのは止めることにした。それぞれのカメラの特徴に基づいて分類し、番号を割り当てていきたいと考えている。新しいエントリーレベルのフルサイズ機には新しい数字がふさわしいと思う。EOS R8に「8」を採用したのはそのためだ。

  • (EOS R8にIBISが搭載されていない理由は?)
    IBISを搭載するとカメラが重くなり価格も高くなる。EOS R8はエントリークラスのフルサイズ機なので、小型軽量であることを強調したかった。

  • (現在のベストセラーの交換レンズは?)
    今一番人気のレンズは「RF70-200mm F2.8 L IS USM」「RF24-105mm F4-7.1 IS STM」「RF100-500mm F4.5-7.1L IS USM」だ。

  • (多くの人がRFマウントのオープン化を待っている。近い将来サードパーティー製のRFレンズが登場するのか?)
    確かに、多くのサードパーティーからの問い合わせがあり、我々は彼らの要望を聞いているが、この件に関して我々に方向性やポリシーがあるわけではない。詳細は言えないが、当社の戦略に沿うものであれば、ケースバイケースで必要な対応をする。その一例がコシナのRFレンズの発売だ。コシナのフォクトレンダー50mm F1はRFマウントを介してボディと通信可能な初のサードパーティー製レンズだ。他のメーカーとも協議している。

  • (キヤノンと競合他社は一眼レフを終了したようで、CP+では一眼レフは1台もみかけなかった)
    昨年は550~600万台のカメラを販売したが、そのうちの7割がミラーレスカメラだ。CP+は新製品発表の場なので、一眼レフを見かけないのはそのためだ。しかし、一眼レフは販売台数の30%を占めており、まだ需要はある。世界で販売されている一眼レフの大部分はキヤノン製だ。一眼レフの突然の終了や、ミラーレスへの即時切り替えは考えていない。一眼レフは徐々に衰退はするかもしれないが、需要はまだある。

  • (2023年のキヤノンの課題は?)
    レンズ交換式カメラ市場のミラーレスカメラのカテゴリでシェアを獲得したいと考えており、これが2023年の主要な目標だ。ハードウェアの面では、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)への取り組みだ。

  • (ソニーからCreator's Cloudが発表されたがどう思うか?)
    キヤノンはImage.canonでRAWファイルのクラウドへの取り込みが可能になり、ディープラーニングによるRAWファイル編集サービスを提供している。我々の優先事項は、画質の向上だけでなく更に一歩踏み込んで動画編集もできるようにすることだ。しかし、当面は高解像度写真編集に注力し、ソニーとは異なるアプローチで臨む。

 

キヤノンがEOS R1を開発していることは誰もが予想していたことですが、キヤノンが公式に最上位モデルEOS R1の開発を認めたのはこれが初めてですね。現在はEOS R3がキヤノンのフラッグシップ機ですが、これはR1が登場するまでの暫定ということになりそうです。

RFマウントのライセンスに関しては、ポリシーがあるわけではなくサードパーティー各社とケースバイケースで対応すると述べられており、また、コシナ以外のレンズメーカーとも協議していると述べられているので、シグマやタムロンから将来RFマウントレンズが登場する可能性もあるかもしれませんね。

EOS Mシリーズに関しては高い需要があり継続すると述べられているので、差し当たってすぐに終了することはなさそうです。また、一眼レフの需要は台数ベースでまだ30%もあり、突然の終了はないということなので、新製品が登場するかどうかはともかくとして販売はしばらく続きそうですね。