タムロンは可能なら全てのEマウントレンズのZマウント版を開発したいと考えている

phototrendに、CP+2023会場で行われたタムロン開発陣へのインタビューが掲載されています。

Interview Tamron CP+ 2023

  • (タムロンの業績が好調な理由は?)
    円安も一因だが、ミラーレスに焦点を当ててレンズラインナップを強化し、ハイエンドレンズでもコストを削減するというタムロンの戦略によるものでもある。

  • (現在、単焦点よりも多くのズームレンズを発売している)
    90mmマクロをはじめ、単焦点レンズも多くの要望があり、検討している。しかし、競合他社はすでにミラーレス用のマクロを投入しているため、より魅力的なマクロを開発しなければならない。今後の発表に期待して欲しい。

  • (24-70mmのような昔ながらスペックを持つレンズ需要は大きいと思うが?)
    28-75mm F2.8は大きさ重さに焦点を当てて、より小型軽量にしている。24-70mmでは競合他社と同じサイズになる可能性がある。我々の実績は、従来のスペックを超えたレンズの市場があることを示している。

  • (Zマウントレンズの開発について詳しく教えて欲しい)
    EマウントとZマウントで同じ光学設計を採用して開発期間を短縮している。しかし、通信はマウントごとに異なるので、Zマウント用に新しいソフトを開発し集積回路を変更する必要があり、開発には時間を要した。

  • (Zマウントでのタムロンの戦略は?)
    今年はZマウントのラインナップを拡大する予定だが、タムロンのレンズには他には無い独自性があり、Zマウントユーザーに多くの選択肢を提供できると考えている。可能ならEマウントレンズのラインナップ全体をZマウント用に開発したいと考えているが、具体的にどのモデルを開発するかはまだ決定していない。

  • (Xマウントの次のステップは?)
    タムロンのXマウントレンズはどれも予想以上に売れている。現在販売されているレンズはいずれもEマウント用の開発されたレンズのXマウント版だ。次のスップは新規のAPS-Cレンズになる。

  • (次はEマウントのXマウントの両方のマウントで新レンズが登場する?)
    はい、おそらく。

  • (APS-Cの新しいZマウントレンズは?)
    分析によると、APS-CのZマウントレンズは現在あまり売れていないので、十分な需要があるかどうか見極める必要がある。

  • (現在のレンズのトレンドは?)
    カメラメーカーが動画を重視しているので、動画に適した設計をすることが重要だと考えている。もちろん、軽量コンパクト化には常に力を入れている。

  • (Lens UtilityはAndroidでしか利用できないがiPhone用を出す予定は?)
    出したいと思っているが、iPhoneの場合はアップル社の制限によりケーブルを使えないので、ワイヤレスシステムを開発する必要がある。iOS用もリリースする予定だが、開発には時間がかかるだろう。

  • (一眼レフ用のレンズはまだ製造しているのか?)
    はい。特に150-600mmや18-400mmのような望遠や高倍率のズームはまだ需要がある。しかし、一眼レフの販売台数が減っているので、新しい一眼レフ用レンズを開発するかどうかは分からない。市場の動向を見て判断する。

  • (35-150mm F2.8のような独創的なハイエンド向けのレンズが今後も登場するのか?)
    写真市場が縮小するなかエンスーが増えていくと考えており、その結果、ハイエンドレンズの需要が高まると思っている。現在、次のハイエンドレンズについて考えているところなので、今後の発表に期待して欲しい。

  • (お気に入りのレンズは?)
    我々は高倍率ズームのパイオニアなので、28-200mm F2.8-5.6 Di III RXDを挙げないわけにはいかないだろう。このレンズは28mmでF2.8と明るく旅行でとても実用的だ。2つ目は28-75mm F2.8 Di III VCDで非常に軽く便利なレンズだ。このレンズは敢えて広角端を24mmではなく28mmにして大成功を収めたので、このレンズがとても気に入っている。

 

「タムロンが発売可能なZマウントレンズは、ニコン純正レンズと競合しないものに限られている」という噂もありましたが、今回の「全てのEマウントレンズのZマウント版を開発したい」というタムロンの発言からは、そのような制約はなさそうに聞こえますね。

また、Xマウントに関しては予想以上に売れているということで、次回からはソニーEマウント版との同時発売も期待できそうです。

新型のタムキュー(90mm F2.8マクロ)に関しては、競合他社よりも魅力的なものを開発すると述べられているので、例えば、より倍率を高めるなど何らかの差別化が図られそうです。