パナソニックはフルサイズミラーレスを大幅に拡充し攻勢に出る

Imaging Resourceに、CP+2023会場で行われたパナソニックの山根洋介氏のインタビューが掲載されています。

Panasonic Q&A at CP+ 2023

  • (以前にカメラ市場とパナソニックの売上は順調に伸びていると言ってたがその後どうなっているのか? 2023年の予想は?)
    2022年のカメラ市場は金額ベースで二桁成長している。特に30%以上の成長が見込まれるフルサイズミラーレスが市場を牽引した。2023年は市場は横ばいで推移すると予想しているが、フルサイズミラーレスが一眼レフに代わり成長を続けると想定しており、パナソニックはS5 II、S5 IIxを中心にフルサイズミラーレスカメラを大幅に拡充し、攻勢に出るつもりだ。

  • (S5 II のバックオーダーは改善しているのか?)
    S5 II は想定を遥かに超える注文があったため、予約していても発売日に届けられなかった顧客がいた。できるだけ早く市場の需要に応えられるように最善を尽くしている。

  • (S5 II とS5 IIx の2つのカメラをリリースしたのはなぜ?)
    S5 II はスチルと動画の幅広いユーザーに向けたオールラウンドカメラだ。S5 IIx は更に動画機能を強化したモデルで、ハイレベルな映像制作をしたいクリエイターをターゲットにしている。パナソニックは幅広いクリエイターにサービスを提供する戦略だ。

  • (S5 II の処理エンジンの設計にライカはどのように貢献している?)
    ライカが長い歴史の中で培ってきた画質へのこだわりとパナソニックの革新的なデジタルテクノロジーの融合で、高い解像性能と豊かな色再現、自然なノイズリダクションを実現している。コアデバイスの開発を中心に今後のテーマを検討中だ。両社は、今後、それぞれの製品をより魅力的にするためのテクノロジーを共同開発していく。

  • (将来マクロフォーサーズに位相差AFを搭載する予定は?)
    対象となるユーザーや顧客のメリットを見極めて最適なAF方式を採用する。m4/3でも機種の特性に応じて位相差AF搭載を検討していくので楽しみにしていて欲しい。(インタビューアー注:企業は将来の計画について明確にコメントはしないものなので、この発言は絶対的な肯定に近いものだ。位相差AF搭載m4/3カメラの登場は確実だと思う)

  • (S5 II のファームウェアアップデートで注力している分野は?)
    プロの写真家にとって重要なシーンの改善にこだわっている。1. 被写体がカメラに直接近づいてくるシーン、2. 照明のような点光源のあるシーン、3. 夕暮れなどの逆光のシーン、4. 低い暗闇などの暗いシーン、5. 商品レビューのシーン、6. 複数の被写体があるシーン、以上の6つのシーンでAF精度を高めてく。

  • (S5 II のAI AFが既存の機種に適用される可能性はあるのか?)
    S5 IIでは超高速演算が可能な新しいエンジンを搭載することで、AI AFが要求する性能を実現している。従来機への適応については引き続き検討していくが、エンジンの処理性能が異なるため、S5 IIと同等のAI AF性能を実現することは困難だ。

  • (GH6のデュアルゲインが他機種に採用されない理由は?)
    デュアル ネイティブ ISOは、高感度でのノイズ性能とダイナミック レンジを向上させるが、読み出し回路がかなり複雑になるという代償がある。結果として製造の歩留まりは幾分低くなり、コストが増加する。また、S5II のように画素が大きい場合は、高感度ノイズの問題はm4/3機よりも少なく、高感度を向上させるためにデュアル ネイティブ ISOを使用する必要性はそれほどない。

  • (ユーチューバーはGHシリーズからSシリーズに移行するのか?)
    ユーチューバーのニーズは、ハイエンドからミッドレンジまで幅広く拡大すると予想されるので、機能の異なるフルサイズとm4/3の2つのシステムを用意し、クリエイターに最適なシステムを提供していく。

  • (AIによる画像処理はどこに向かうのか?)
    スマートフォンで撮影した画像や動画は、誰が撮っても同じ画質だが、システムカメラの特徴は、常に撮影者のセンスとテクニックが作品に反映されることだ。自分の手でコンテンツを造る楽しさを感じてもらいたいという想いでカメラを開発している。

 

パナソニックは「フルサイズミラーレスを大幅に拡充し攻勢に出る」と述べているので、S5 II を皮切りに、Lマウントの新製品が速いペースで登場しそうですね。S1シリーズのモデルチェンジも近いのでしょうか。

m4/3機への位相差AFの採用に関しては、別のインタビューでも言及していましたが、ここでも「位相差AF搭載を検討していくので楽しみにしていて欲しい」と述べていて、インタビューアーは位相差AF搭載機の登場は確実と見ているようです。m4/3への位相差AFの採用は、G9後継機やG100後継あたりからになるのでしょうか。