ソニーは2013年4月に「5年以内にαがレンズ交換式でナンバーワンになる」という目標を立てた

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ソニーのミラーレス「NEX」、ヒットと残された弱点

  • ソニーに限らず当時(NEX登場時)のミラーレスには大きな弱点もあった。当時は、コントラストAFを使っていた。動きがあるものを撮るときは「ミラーレスはフォーカスが遅い」という弱点は明白だった。
  • この欠点は当初から分かっていたので、「像面位相差AF」の開発が、08年の前半くらいからイメージセンサーの部隊と一緒に始まった。
  • 実は最初に仕込んだのは「NEX-5」(2010年)だったが、性能が出ず断念し、12年11月の「NEX-5R」「NEX-6」が初搭載となった。そこから徐々に開発が進み、性能がよくなってきて、14年の「α6000」から劇的にAFの性能が改善する。

「石塚さん、ソニーのデジカメはこのままじゃダメだ」

  • トランスルーセントミラー搭載機はソニーの技術とコニカミノルタの技術の融合だ、と、社内ではとても期待されていたが、残念ながら期待したほどは売れなかった。
  • Aマウントは、コニカミノルタ出身の人はもちろん、ソニーでも「カメラ好き、写真好き」な人からの強い支持があった。「ちゃんとした写真を撮るときはやっぱりAマウントだよね」という。EマウントはEマウントで、「何を言っているんだ、ソニーらしい小型軽量はこっちだ」と。対立とまではいかないが、信じているものがお互い少し違うという。
  • Aマウントのフラッグシップ機α99はフルサイズセンサーを搭載している。これも大変な力作だが、残念ながら売れなかった。EマウントのNEXも最初はよかったが、ちょっと迷走を始めつつあった。片や、Aマウントは入門機から上位機種までフルラインナップをちゃんとやっていたが、シェアが取れない。そして開発費はダブルでかかる。
  • 社外のアナリストの方と会食をして「このままじゃ一番になれないどころか、そのうちつぶれちゃいますよ。持ちませんよ」「早く何かやった方がいい」って、発破を掛けられた。確かに、EマウントのNEX系が鳴かず飛ばずになってきて、Aマウントは収益に貢献できていない、コンデジは近いうちにスマホにやられる、ということは、「現状維持は悪手だ」ということははっきりしている。
  • 当時、事業ユニットはハンディカムとサイバーショットとαの3つあった。「集中するとしたら、それはαの事業だ」とそう決意した。だんだん飽和したり、縮退したりしていく事業はもうあんまりフォーカスしないで、リソースを思いきりαにシフトしようと。
  • 「5年以内にソニーのαが、レンズ交換式カメラでナンバーワンになるぞ」という目標宣言をした。「A1プロジェクト」と名付けて、13年の4月にキックオフした。(つづく)

 

ソニーはEマウントの最初期から像面位相差AFを開発していたということで、ミラーレスのAFに関しては先見の明がありましたね。ソニーのAFが強いのは、像面位相差AF開発の長い積み重ねによるものが大きそうです。

Aマウント機はトランスルーセントミーラー機になってもあまり売れず、NEXも迷走状態になるなど、ソニーはレンズ交換式カメラの初期にはかなり苦戦したようですが、これが事業再編のきっかけとなって、後のEマウントの大成功につながったので、結果的にはAマウントやNEXが中途半端に成功しなくてよかったのかもしれませんね。