日経ビジネスのソニーのインタビュー記事「ソニーデジカメ戦記」に新しい記事が追加されています。
- ソニーに限らず当時(NEX登場時)のミラーレスには大きな弱点もあった。当時は、コントラストAFを使っていた。動きがあるものを撮るときは「ミラーレスはフォーカスが遅い」という弱点は明白だった。
- この欠点は当初から分かっていたので、「像面位相差AF」の開発が、08年の前半くらいからイメージセンサーの部隊と一緒に始まった。
- 実は最初に仕込んだのは「NEX-5」(2010年)だったが、性能が出ず断念し、12年11月の「NEX-5R」「NEX-6」が初搭載となった。そこから徐々に開発が進み、性能がよくなってきて、14年の「α6000」から劇的にAFの性能が改善する。
- トランスルーセントミラー搭載機はソニーの技術とコニカミノルタの技術の融合だ、と、社内ではとても期待されていたが、残念ながら期待したほどは売れなかった。
- Aマウントは、コニカミノルタ出身の人はもちろん、ソニーでも「カメラ好き、写真好き」な人からの強い支持があった。「ちゃんとした写真を撮るときはやっぱりAマウントだよね」という。EマウントはEマウントで、「何を言っているんだ、ソニーらしい小型軽量はこっちだ」と。対立とまではいかないが、信じているものがお互い少し違うという。
- Aマウントのフラッグシップ機α99はフルサイズセンサーを搭載している。これも大変な力作だが、残念ながら売れなかった。EマウントのNEXも最初はよかったが、ちょっと迷走を始めつつあった。片や、Aマウントは入門機から上位機種までフルラインナップをちゃんとやっていたが、シェアが取れない。そして開発費はダブルでかかる。
- 社外のアナリストの方と会食をして「このままじゃ一番になれないどころか、そのうちつぶれちゃいますよ。持ちませんよ」「早く何かやった方がいい」って、発破を掛けられた。確かに、EマウントのNEX系が鳴かず飛ばずになってきて、Aマウントは収益に貢献できていない、コンデジは近いうちにスマホにやられる、ということは、「現状維持は悪手だ」ということははっきりしている。
- 当時、事業ユニットはハンディカムとサイバーショットとαの3つあった。「集中するとしたら、それはαの事業だ」とそう決意した。だんだん飽和したり、縮退したりしていく事業はもうあんまりフォーカスしないで、リソースを思いきりαにシフトしようと。
- 「5年以内にソニーのαが、レンズ交換式カメラでナンバーワンになるぞ」という目標宣言をした。「A1プロジェクト」と名付けて、13年の4月にキックオフした。(つづく)
ソニーはEマウントの最初期から像面位相差AFを開発していたということで、ミラーレスのAFに関しては先見の明がありましたね。ソニーのAFが強いのは、像面位相差AF開発の長い積み重ねによるものが大きそうです。
Aマウント機はトランスルーセントミーラー機になってもあまり売れず、NEXも迷走状態になるなど、ソニーはレンズ交換式カメラの初期にはかなり苦戦したようですが、これが事業再編のきっかけとなって、後のEマウントの大成功につながったので、結果的にはAマウントやNEXが中途半端に成功しなくてよかったのかもしれませんね。
NEX
まさに選択と集中の成功例ですね。
一見達成できないような目標設定と自前技術が上手く融合したんだなと改めて感じます。
なまはげ
初めて買ったミラーレス一眼のα6000で、正面から走ってくる子供を、秒11コマで連写したら、全ピント合焦してたのには頭が下がりました。
swing
すごく良いところで次回に続く…!
続きが早く読みたいですね。すごく貴重な連載記事ですよねこれ。
ミラーレスの弱点についてですが、静止物に対してはパナG1の時点でかなり高速なんですよね。レンズ側の工夫が大きかったのだと思いますが。
下手な一眼レフより遙かに速かったような覚えがあります。
パナが像面位相差を拒絶してたのは、この頃の成功体験が尾を引いたのかなぁと思ったりします。
α99は今見てもすごいAFだと思いますね。
撮像中でもトランスルーセント側で測距継続している。すごい。
でもまぁ今の技術だと、撮像情報から像面位相差情報も得てるのだろうから見劣りすることはないんでしょうけど。
ソニーがαへの集中を決断できたのが、グローバルな分野であるバッテリー事業に石塚さんが一時出ていたことが大きいというのが興味深かった。
バッテリーの需要動向からスマホの躍進を予期できていたということで、これはもしかしたらセンサー事業との情報連携もあったかもしれませんが、ハンディカムやコンデジの縮退を予期できたのは大きかったんでしょうね。
次回辺りでα7初代の話が出てきそうな雰囲気で、Eマウントはフルサイズ考慮していたのか、我々のする床屋談義に決着がつくかもしれません。楽しみです。
to
このシリーズ、事業展開の舞台裏が赤裸々に語られてすごく読み応えがありますね。
大ヒットしたRX100を発売した翌年にはハンディカムとともにサイバーショットを縮小してαに集中すると決定していたことは意外でした。それぐらい早く事業判断しないと勝ち残れないんでしょうね。
ほ゜ち
Eマウントサイズについては、第7回ですでに
先のフルサイズを想定してなかった、Aマウントの資産を活かすためのサイズで、やっちゃえのノリで决めた
というように読みました
とはいえ初代フルサイズのα7発売に繋がるのに、どのような背景があったか次回明かされそうで楽しみです
あみ
コンデジが縮退するのを踏まえた前提で、その残す核にRX100持ってきたのも良い判断でしたね。
ナンバリングは停止し時代に合わせてvlogカメラとなりましたけど、系譜としてはRX100は今でも残っていますし。
今のソニーは、カメラの未来のどの辺りを見据えているのでしょうかね。
muku
自分が最初に買ったデジカメはサイバーショットFシリーズで
自撮りが三脚要らずで出来て大好きなカメラでした
コツメチャン
ミラーレスに最初にフルサイズを持ち込んだのは、たしかソニーのα7でしたよね。
怪我の功名ではあるものの、あれ以降カメラ市場はミラーレスにごっそり置き換わり、キヤノンニコンも追随せざるをえない形となりました。
初の1インチコンデジ(RX100)を出し、一時期はそれを皮切りに1インチコンデジが流行化したこともありました。
ソニーは、新しい市場を切り拓く斬新な製品をつくることのできる会社だと感じています。
中には失敗作みたいな製品も正直ありますが、成功のためには失敗も必要なんですよね。
光芒大師
顔認識はそれまでありましたが、瞳AFを最初に搭載したのはSONYでした。それから熟成された被写体認識により、人物撮影においてピントを外す事が逆に難しいくらいになりました。VLOG機もそうですが、他社に先駆けた商品、企画力もそうですが、技術力はやはりSONYはトップレベルにあると思います。
hato
2018年、α7iii発売。
目標達成したんですね。
鬼のように強かったですもんね。
カメラウォッチャー
https://www.olympus.co.jp/jp/news/2011a/nr110112epl2j.html
瞳AFは、オリンパスが最初ですよ。
瞳追従AF連写は、ソニーのα6300が確か初だったと思います。
追従AF連写ができる様になってより積極的にアピールして、ソニーがミラーレスではAFに強い!と市場に認知された感はありますね。
追従のAFC連写が伴ってナンボ、みたいな話に動体撮る人からは捉えられますからね
カメラの技術の歴史は面白いですね。
たろう
>swingさん
Eマウントが最初からフルサイズを想定していたかどうかは、たしか前回の記事で語られていたと思います!
今後も連載のどこかでその話に触れそうですけどね〜
光芒大師
カメラウォッチャーさんありがとうございます
オリンパスに搭載された瞳AFはバストショット以上の大きさで顔検出AF撮影すると、瞳にピントが合うものでしたね。
世間的に瞳AFが認知され始めたのはα7IIIでしたね〜
自分もそこからフルサイズデビューしました
ちばちば
NEX、あまり売れなかったのですね。
自分はNEXを気に入って使っていましたが、α6000シリーズへの衣替えを機に、ソニーから離れました。それで満足しています。
α7シリーズはフルサイズのレンズには小さすぎると思ってます。
Aマウントを使っていて、同じように離れていった方がもいるでしょう。
立場により、見え方が違うのかと。
モニカ
初めて買ったレンズ交換式カメラがNEX-5です。そこから5N、7、α6000…と以降ずっとSONYで来ています。
昔はPanasonicのAFが圧倒的で羨ましかったですが、今では4歳になったばかりの子供が重そうに腕をプルプルさせながらも親の写真をガチピンで撮れるほど優秀なAFに成長しました。本当にSONYを使ってきて良かったと感じています。
現在はα7Ⅳを使用していますが、α9のAFの方が好みでした。α9Ⅲの発表を楽しみに待ってます!
BB318
元記事で一言出てきた、SONY NEX-VG900のようなEマウントのカムコーダーは、
今なら当時と違って動画向けのレンズも多数ありますし、売れそうなんですけどね。
FXシリーズで出してほしいなぁ。
☆けむり
キヤノン、ニコンが主流だったビジネスにソニーが参入してきて、ニコンが台数的に後塵を拝し始めた。
これはデジカメ時代への変化にソニーの電子技術が大きく役に立った例ですね。
ではナンバーワンになれるか?それはソニー次第でしょう。
昔、車はトヨタ、日産にホンダが急伸してきて、日産が押しやられたが、ホンダの勢いが落ちて来た状態を見ると、ソニーもそう簡単ではないと思う。
特にカメラ部門ではそれぞれのシリーズが、ユーザーに分かりやすく進化している感じがしないのと、デザイン的にNEXから抜け出していない点が気になります。
ちゃちゃまる
キヤノンEF-Mマウントより小さいEマウントがついにフルサイズ50mmF1.2のレンズを発表したときはソニー頑張ったなぁ、と思うました。昔から小型高性能、ギミックな機構がソニーという電子機器メーカーの売りというイメージでしたが、ハイアマチュア機やプロ機では質実剛健が必要条件というというフルサイズカメラの世界で長く頑張ってきましたね。シャッターやマウント強度不足など指摘されながらも、フルサイズミラーレス初代α7はフルサイズなのにこんなに小さいと驚きましたし、二代目α7Ⅱはフルサイズミラーレスにボディ内手ぶれ補正入れて驚きました。オールドレンズの価格高騰という現象も起こしました。以前の記事でソニーの経営陣はEマウントは当初フルサイズは考えていなかったとインタビューで答えていましたが、この掲示板で光学設計的にEマウントがフルサイズを考慮して設計されたような痕跡がある的なコメントがあって、もしEマウント立ち上げの技術者が実はこっそりフルサイズも考えていたとしたら凄いですよね。
今でもフルサイズEマウントを見るとセンサーの四隅が欠けているように見えます。
あるようでない、ないようであるミラー
今もまだAマウントで撮影しています。
購入時はNEXでは動きものにはとてもじゃないけど使えないと思ったから。
トランスルーセントミラーは画期的だと思ったんですがカメラ通の間では光量が幾分かけずられるから画質が落ちるとか言われたものですが、それでも私にとっては大切な一台です。
確かAマウントはなくさないと幹部の方が言っていたような気もしますがその時の財務状況とその後の躍進を考えれば最善の決断だったのかも。
パーツもなくなりつつあることと回路の劣化もあるのか、以前よりも動作が緩慢になってきたのでミラーレスの情報を集めていますが…
いつの間にか異次元の進化ですね。
どれを選んでも後悔はなさそうな…
やっさん
Aマウントは売れなかった的な話を、内部の方の言葉で、最近ちょくちょく聞きますが、そもそもの販売戦略的に、CanonやNikonと比べて、本気で売る気があるのか?的な感じは、感じてはいましたので、Aマウントそのものが悪かったわけでもないと感じています。
2014年6月のα77Ⅱは、供給不足続きで、なかなか手に入らずでしたから、あの頃は、まだ一定のファンは居たはずですが、レンズはその4年も前から新製品が出ていない状態でしたよね。
99Ⅱが出るまでが、2016年11月と、77Ⅱから約2年半、77ⅡのAF積んでくれるだけでいいとの声も多かった中、梨の礫でしたから、その間に出た、NikonやCanonの機種を考えたら、そりゃユーザー離れますよね。って感じです。
いずれは終焉を迎えたにせよ、今の99Ⅱが、99Ⅲとして今に至り、間にもう1台あったら…各製品が、もう少し、スピーディーに開発されていたら、もう少し、華やかに終われたのでは?最後にもう1台出せたのでは?と思うと、世界初のAFマウントの終焉としては少し寂しいです。
77Ⅱと99Ⅱは、修理終了年に、オーバーホールする予定でいるので、最後にせめて、Zバッテリー対応の縦位置グリップ、出してくれないかなぁ…と思う、今日この頃です(笑)