富士フイルム「XF56mmF1.2R WR」は驚くべき解像力だがAFがウィークポイント

LensTipに、昨年9月にモデルチェンジした富士フイルムの大口径中望遠単焦点レンズ「XF 56mmF1.2 R WR」のレビューが掲載されています。

Lens review Fujifilm Fujinon XF 56 mm f/1.2 R WR

  • フォーカスリングは電子式で、非常に正確なピント合わせができる。最短から無限遠までの回転角は約120度だ。
  • 中央の解像力は開放で75.3lpmm(良像の基準値は44~45lpmm)のセンセーショナルな結果で、F1.4に絞ると78.3lpmmに改善する。更に絞ると90lpmmを超え、これまでの記録を更新することができた。このレンズの中央の性能が優れていることに疑問の余地はない。このレンズはより大口径のXF50mm F1.0よりも明らかに良い結果を出している。テスト機が異なるので旧型の解像力と直接比較はできないが、旧型よりも新型の方が明らかにシャープだ。
  • 隅の解像力も中央と同様に最高としか表現しようがない。解像力は中央よりは低いが、開放でも62lpmmを超える値で、良像の基準値を20lpmm近く上回っている。絞ると解像力は70lpmmを超え、F4では80lpmmに迫る。拍手喝采だ!

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  • 軸上色収差は開放でも見られず、旧型よりもかなり良い結果だ。
  • 倍率色収差は絞り全域で0.02%程度と、非常に低いレベルで、実写では全く気にならないレベルだ。
  • 前後の玉ボケには大きな違いはなく、フォーカスシフトも見られない。加えて、F1.2から高画質なので球面収差には大きな問題はないと考えられる。
  • 歪曲はJPEGでは+0.16%、未補正のRAWでは+0.13%で実質的にゼロだ。
  • コマ収差は旧型では中程度のレベルであまり芳しくなかったが、新型は開放でもダイオードの変形はごくわずかで、旧型よりもずっと良くなっている。
  • 非点収差は4.6%で「非常に低い」と「低い」レベルの境界線上だ。これは旧型よりも若干改善している。

  • 玉ボケは非常に綺麗で、2枚の非球面を採用しているが年輪ボケはみられず、強い輪郭も付かない。口径食は開放では見られ、1段絞っても見られるが、絞り込めば解消する。
  • 周辺光量落ちはJPEGでは開放で27%(-0.91EV)で、明らかに補正されており、自動補正を無効にすることはできない。RAWでは開放で47%(-1.82EV)とかなり大きい値で、これは旧型よりも少し悪化している。
  • 逆光耐性は全体的に非常に良好で、明確なコントラストの低下は見られずゴーストも少ないが、絞り込んで太陽を画面の隅に入れた場合はゴーストが発生することがある。

  • AFはリニアDCモーターで、残念ながら無音ではなく、動画を撮ると作動音が容易に録音されてしまう。AFは滑らかではなく、一瞬の揺れや小刻みな動きが見られ動作品質には不満が残る(これはX-T30で顕著だがX-T2でも見られた)。AF速度は最短から無限遠まで約1秒で、もっと改善できるはずだ。これほどAF性能が弱いレンズを見たのは久しぶりだ。
  • AFは速くはないが幸いなことに非常に正確で、スタジオでも屋外でも精度に大きな問題はなかった。
  • フォーカスブリージングは17%に達しており、これは実写でも気になる大きさだ。このカテゴリでは称賛することはできない。

  • XF56mmF1.2 R WRは旧型よりも優れているだけでなく、より大口径な50mmF1.0にも優っている。新型の56mmF1.2は中央は驚くべき解像力で、全体的に素晴らしい性能だ。大きな欠点はAFが遅いことで、そして、フォーカスブリージングは動画ファンには問題になるだろう。
  • 良い点:しっかりしたほとんど金属製で防塵防滴の鏡筒、中央のセンセーショナルな画質、隅の非常に良好な画質、軸上色収差が見られない、倍率色収差が素晴らしく良く補正されている、球面収差が見られない、コマ収差が良好、非点収差が少ない、心地よいボケ、良好な逆光耐性、AF精度が高い。
  • 悪い点:遅くノイジーなAF、周辺光量落ちが目立つ、フォーカスブリージング。

 

新しいXF56mmF1.2R WRは光学性能が旧型から格段に改善しており、全域で高い解像力にもかかわらずボケも実に綺麗で、光学性能の面では申し分のないレンズという印象です。

問題点として指摘されているのはAF性能で、速度が遅くノイジーでブリージングも目立つということなので、動体撮影や動画撮影にはあまり向いていないようですね。