ニコンZ8の開発では多くの選択肢があったがベビーZ9を求める声が多かった

DigitalCameraWorldに、ニコンのプラニングマネージャー大石啓二氏のインタビューが掲載されています。

"We had a lot of options" but customers wanted a baby Z9, says Nikon

  • (メカシャッターレスのメリット・デメリットは?)
    電子シャッターはシャッター寿命がなく、正確なシャッター速度を維持でき、音や振動が無いというメリットがある。一般に、電子シャッターはメカシャッターよりもスキャン速度が遅い傾向にあるが、Z8とZ9は積層センサーを採用しメカシャッターと同様の高速スキャンが可能で、メカシャッターと電子シャッターの両方のメリットを兼ね備えている。

  • (将来Z6のような機種やDX機でもメカシャッターレスになるのか?)
    Z8は積層センサーとの組み合わせでローリングシャッター歪みの問題を解決している。今後の製品でどのようなセンサーとシャッター機構を組み合わせるかは、顧客のニーズを踏まえて検討する。

  • (ニコンは2020年から2021年にかけてシェアが5%低下したと報じられているがZ8は転換点になるのか?)
    ニコンは現在、シェアの追求を優先するのではなく、顧客の期待を超える製品の提供に重点を置いてる。Z8で既存の顧客だけでなく、新たなニーズにも応えたい。

  • (Z8はなぜZ9と明確に異なる製品ではなくベビーZ9として開発することになったのか?)
    企画段階でいろいろと検討したが、Z9の性能をD850のようなより小型軽量ボディで活かしたいという声が多かったので、それを目指すことにした。

  • (Z8の機能は将来のアップデートでZ9に追加されるのか?)
    Z9がZ8の全ての機能に対応するかどうかについては言及できないが、Z9は発売以来大幅なファームウェアのアップデートを継続し、その価値を高め続けてきた。そのような体験を提供し続けていきたいと思っている。

  • (HEIFはJPEGを置き換えると思うか?)
    JPEGは長年使われてきたフォーマットで幅広いシステムに対応しているので、HEIFがJPEGを置き換えるとは思っていないが、スマートフォンなどの視聴環境がHEIFに対応することで、HEIFの普及が進むと予想している。

  • (Z8の2番目のカードスロットをSDにしたのはなぜ?)
    CFexpressは高速だが、より入手しやすいSDにもニーズがあると考えている。Z8は風景やポートレートなど高速連写を必要としない顧客の使用も想定したコンシューマ向け製品だ。ニコン推奨のUHS-IIのSDカードを使用する限り大幅なパフォーマンスの低下はないだろう。

  • (ミラーレスでD3500に相当する低価格帯のカメラはいつ登場するのか?)
    スマートフォンが急速に普及している現在、カメラへのニーズも以前とは変わってきており、ニコンはハイエンド製品に注力する戦略を取っている。しかし、スマートフォンからのステップアップ層のニーズは捉えており、一例として今後ますます重要となる動画への対応を行っている。

  • (ミラーレス技術の次の大きな進化は何になる?)
    高感度や画素数などの基本性能の向上だけでなく、将来を見据えた技術の研究を常に行っている。一方で、フィルムカメラ時代から長年培ってきた信頼性や操作性などのノウハウを継承した製品企画も行っている。幅広いニーズに応えるユニークな製品を投入していく。

  • (AIをカメラにどのように活用しているのか?)
    AIはAFでの被写体検出だけでなく、露出やオートホワイトバランスにも活用することができる。また、被写体の自動判別や撮影シーンの選択など撮影の自動化への活用も期待されており、新しい驚きの体験が生まれる可能性がある。撮影者はより構図に集中できるようになるのではないか。

 

Z8の開発では様々な意見があったようですが、小さなボディでZ9の性能を実現して欲しいという意見が多く、製品版のZ8が出来あったようですね。現時点ではZ8はかなり高評価のようなので、「ベビーZ9」は良い選択だったのかもしれませんね。

メカシャッターレスに関してはやはり積層センサーが前提になるようで、Z6/Z7クラスの中級機では非積層センサーのままでメカシャッターレス化するのは難しいかもしれません。