世界で初めて手ブレ補正を開発したのはパナソニック

LUMIX Magazineに、パナソニックの手ブレ補正システム開発の軌跡に関する記事が掲載されています。

【Vol.1】世界を変えた、Panasonic手ブレ補正技術の進化と軌跡

  • 実は手ブレ補正を世界で初めて発明したのはPanasonicなんです。そのキッカケは、実はハワイでの動画撮影にありました。

    当時のビデオカメラは肩に乗せて撮影するような大型で、ドライブ中に同僚が外の景色を撮ろうとすると非常にブレたそうです。しかし、その同僚の身体の揺れを防ごうとする回転運動を見た大嶋は、その動きが当時開発を手掛けていたジャイロセンサーの動きに近いことに気づきました。

    当時手掛けていたカーナビ用のジャイロセンサーの開発チームは、訳あって解散していた為、培った技術をカメラの手ブレ補正に応用できないかと思い付いたんです。

    そこで大嶋は、当時まだ大型でカメラへの搭載が難しかったジャイロセンサーの小型化から取り掛かり、更にブレ補正メカニズムや補正アルゴリズムの開発を成功させ、1988年に世界で初めて手ブレ補正機能を搭載したカメラ「PV-460」を商品化しました。

    国内ではなく海外市場に目を向け展示会に出展したところ、来場者からも驚きと感動の声を頂戴し、PV-460は大ヒット商品に!

    同時に、この手ブレ補正の技術は科学的にも高く評価され、学会でも発表。手ブレが与える影響を初めて検証した研究成果として、新規性・独自性の高い原著論文として認定されました。


  • (LUMIXの)ボディ内手ブレ補正(B.I.S.)の開発が本格的に着手されたのは2012年の話です。当時はSTM(ステッピングモーター)方式でイメージセンサーを動かし手ブレを補正していたのですが、STM方式では目標性能に届くまでに様々な課題があり、本当に苦労しました。もう見たくもありません(笑)

    メカ視点からこの10年で大きな転換点になったと言えるのが2016年。手ブレ補正の駆動方式をSTM方式からVCM(ボイスコイルモーター)方式に変更したこと。VCM方式に変更したことにより、上下左右だけではなく回転の動きにも対応できるようになりました。

    またSTM方式の弱点に「音」と「熱」がありました。この方式の手ブレ補正って実はものすごい熱が出るんです。モーターの駆動音や熱が動画撮影に悪影響を与えGX7では動画撮影中のB.I.S.駆動はできませんでしたが、これらの課題もVCM方式に変更したことで大きく緩和され、GX7MK2では動画中の手ブレ補正動作も可能となりました。

 

手ブレ補正を最初に開発したのがパナソニックだとは知りませんでした。ニコンのコンパクトカメラ700VR QDがVRを初搭載したのが1994年、キヤノンが交換レンズにISを初搭載したのが1995年なので、パナソニックが手ブレ補正を初めてビデオカメラに搭載したのはそれよりも6~7年も前のことなんですね。

LUMIXの初期のIBISの開発に関しては「もう見たくもありません(笑)」とのことで相当な苦労があったようですが、現在ではデュアルIS2等の技術で非常に強力な手ブレ補正を実現しているので、当時の開発の苦労は報われたと言ってよさそうですね。