カメラの画質はなぜスマートフォンほど速く進化しないのか?

DPReviewに、カメラの画質がスマートフォンほど速く進化しない理由についての考察記事が掲載されています。

Why isn't camera image quality improving as fast as smartphone IQ?

  • スマートフォンの画質はこの10年で飛躍的に向上し、少し前にほとんどの人にとって「十分な画質」のレベルを超えた。それでは、なぜミラーレスカメラの画質はスマートフォンと同じような速度で向上していかないのだろうか? その要因はいくつかあるが、大型センサーが最新技術に乗り遅れているからではない。

    スマートフォンのセンサーはカメラの大型センサーよりも何年も前に裏面照射の技術を仕様しているが、大型センサーでは配線が受光部に締める割合が小さくなるために裏面照射のメリットはかなり小さくなる。積層型センサーの技術は、α9に採用される5年前にスマートフォンに採用されている。この技術は大型センサーでは製造が難しく、今のところ高速読み出しを必要とするカメラでのみ採用されている。

    また、クアッドベイヤー/テトラセルカラーフィルター配置のような技術も採用されているが、これらは狭い画素ピッチの問題の回避策であり、大型センサーに採用してもメリットは少ないだろう。

    すべての専用カメラはある程度はこうしたスマートフォンの技術開発の恩恵を受けている。開発された技術は後に大型センサーの生産にも利用される。しかし、スマートフォンの画質が向上したのは、複数の画像の高度な合成や機械学習による処理によるものだ。センサーは読み出しの高速化でこれらの技術に貢献してきたが、画質の向上はセンサー出力の品質向上によるものではない。

    非常に高価な大型の積層型センサーでさえ、小型センサーの超高速読み出しには及ばないので、大型センサーでスマートフォンのような演算による高画質化を実現するのは容易ではない。しかし、あなたはそれを望むだろうか? 写真は何のためにあるのか立ち止まって考えてみる価値はあるだろう。

    スマートフォンはToFセンサーを使えば背景をぼかすことが容易にできるようになるが、これは多くの写真家がレンズ交換式カメラに求めるものなのだろうか? おそらく、スマートフォンと専用カメラの境界線は技術的なものではなく哲学的なものになっていくだろう。

 

ここ何年かでスマートフォンのカメラの画質は驚くほど良くなっており、確かに専用カメラよりも画質の進化が速いように感じますが、スマートフォンは後処理を中心とした進化が大きいので、DPReviewの言うように専用のデジカメに多くのユーザーが求める画質とは進化の方向性が異なるかもしれませんね。

最近のセンサーは読み出し速度や位相差AFの性能向上に力を入れているので、ダイナミックレンジや高感度性能などは数年前からあまり進化していませんが、有機センサー等の何らかの新技術が登場してくれば、RAW画質の飛躍的な改善もあるかもしれませんね。