ソニー「α9 III」は低感度のノイズを許容して高感度性能を強化している

PetaPixelがYouTubeで、ソニー「α9 III」の初期レビュー動画を公開しています。

Sony a9 III Initial Review: This Changes EVERYTHING!

  • α9IIIのグリップは見た目が変わり少し快適になった。α9IIIのボディは縁が丸みを帯びた形になり、古典的な箱形の形状から脱却している。上部のカスタムボタンはより盛り上がった形になり押しやすくなっている。
  • 944万ドットのEVFは改良されており、α1ではしばしば解像度が低下することがあったが、α9 IIIはリフレッシュレート120Hzまでは解像度の低下は見られない。しかし240Hzでは解像度が低下する。しかし、正直なところ120Hzで不足する状況はあまり思いつかない。

  • AFは信頼性が高く的中率が優れている。AFはα1と非常に良く似た759点の測距点でセンサーの95.6%をカバーしており、α7R Vと基本的に同じAFアルゴリズムを採用している。私のテストした限りでは、AFの的中率は優れていると確信している。
  • バッファのテストでは、可逆圧縮ではバッファがいっぱいになるまでに127枚、つまり120コマ/秒で1秒強になる。不可逆圧縮ではバッファがいっぱいになるまでに200~240枚程度だ。
  • バッファクリアは付属していたソニー製のTough CFExpress TypeAカードで11秒強で、これは非常に印象的だ。また、V90のSDカードでは約23秒と悪くなかった。低速のSDカードでは約1分かかった。
  • サードパーティー製レンズを使用している場合は、連写は明らかに15コマ/秒に制限される。これは、α9 IIIのようなグローバルシャッターで120コマ/秒で連写できるカメラにとっては大きな制限だ。

  • 画質に関しては、プリプロダクションモデルでまだRAWを使用できないので深く掘り下げるのは製品版が来るまで待つつもりだが、ベースISOが250でS-Log3のネイティブISOが2000なので、低感度のダイナミックレンジに影響がある可能性がある。しかし、同時に高感度性能が良好である可能性もある。α7R VとのISO2000とISO20000のJPEGでの比較では、全体のディテールは6000万画素機のα7R Vが優っているが、高感度性能はかなり近く、α9 IIIは思っていたよりも遥かに優れている。
  • α9 IIIはデュアルゲインではないことを確認している。これまで撮影した画像から、α9 III はおそらく低感度のノイズを許容することで一部のディテールを犠牲にし、高感度性能を強化している。これはアクションやスポーツの撮影が目的のカメラにとっては許容できるトレードオフだろう。しかし、RAWを評価するまでは確かなことは分からない。(※この部分はPetaPixelの同じレビューのWeb記事版より引用しました)

  • 動画はローリングシャッター歪みが全くないことにとても興奮した。これまでにもグローバルシャッターのシネマカメラを見てきたが、これほどコンパクトで優れたAFと手ブレ補正を備えたカメラは他にはない。α9 IIIは移動しながらアクションを録画する用途では強力なカメラだ。
  • このカメラにどのような課題があるのか、製品版が手に入ったらすぐにテストするつもりだが、α9IIIに他社が注目することは間違いないだろう。これまで確認した画像からは高感度性能は良好に見えるが、更に詳しいテストが必要だ。α9 IIIがスポーツやジャーナリストをターゲットにした特殊なカメラであることは忘れないようにしたい。このカメラがストロボ写真をどのように変革するのかもエキサイティングだ。

 

まだα9IIIはプリプロダクションモデルで、JPEG限定での評価なので、正式レビューでは内容が変わるかもしれませんが、現時点ではレビュアーのクリス氏は、α9 IIIは高感度性能はα7R V並みに優秀な一方で低感度の性能を犠牲にしていると感じたようです。

また、動画レビュアーのジョーダン氏はα9IIIの性能に感銘を受けたようで、たしかに、動画の14分50秒あたりにある長い棒を素早く振り回すシーンでも棒が1mmも歪まないのはローリングシャッター機では得られない映像ですね。