ソニー「α9 III」の被写体認識AFは「α7R V」を上回る性能で驚くほど高精度

価格.comマガジンに、ソニーのグローバルシャッター搭載機「α9 III」のレビューが掲載されています。

ソニー「α9 III」のグローバルシャッター方式が実現する"新しい撮影体験"

  • グローバルシャッター方式は、1発で画像をスキャンするので読み出しに時間差がなく、結果、画像の歪みは原理的に発生しない。動画撮影でも、いわゆる"こんにゃく現象"と呼ばれる映像の歪みは発生しなくなる。
  • まず見ていただきたいのが、野球のバッティングシーンを撮影した結果だ。通常の電子シャッター撮影の場合、素早く動くバットがどうしてもいびつな形になってしまうが、「α9 III」ではまったく歪んでいないことがわかる。パッと見では、「バットを止めて撮影しているのでは?」と思うくらいではないだろうか。

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  • 「α9 III」は、連写時であっても上限1/16000秒でのフラッシュ同調が可能で、かつ発光量にも制限がないので、日中シンクロ撮影において非常に自由度の高い撮影が行える。ただし、絞り値がF1.8より明るいと、フラッシュの有無に関わらずシャッタースピードが上限1/16000秒に制限されることに注意したい。
  • さらに、常用感度がISO250スタートと高いことも理解しておきたい点で、「明るい屋外」「F1.2などF1.8よりも明るい絞り値」「常用感度内」といった条件で撮りたい場合は、電子シャッターの恩恵がそれほど受けられず露出オーバーになりやすい。この点を考慮すると、このカメラは、絞り値にはそれほどこだわらず、シャッターチャンス重視で使うカメラと言えるだろう。

  • バドミントンの作例を撮影して特に驚かされたのは、「α9 III」の被写体認識AFの精度。「AIプロセッシングユニット」を搭載するうえ、最高約120回/秒の高速AF演算にも対応しているため、とにかくAFの精度が高い。撮り比べたわけではないが、被写体認識AFの性能は「α7R V」を上回っていると感じた。
  • 「α9 III」は夢のようなスペックを実現しているので「何でもオールマイティーに撮れる」と思うかもしれないが、「絞り値がF1.8より明るい場合はシャッタースピードが上限1/16000秒に制限される」「常用感度がISO250スタート」「製品発表時点では対応フラッシュが「HVL-F60RM2」「HVL-F46RM」しかない」点を押さえておきたい。こうした点を踏まえると、「α9 III」は、細かい設定や画質は二の次にして、シャッターチャンスに徹底的にこだわる場合に使いたい動体撮影特化型カメラと言えるだろう。

 

スイング中のバットが全く歪まずに写っているのは、グローバルシャッターの威力を感じますね。AF性能も相当優秀なようなので、素早く動く被写体を電子シャッターで超高速連写するような方にとっては、α9 IIIは実に訴求力の高いカメラになりそうです。

ただ、本文で指摘されているように、いくつかの制約もありベース感度も高いので、風景やポートレートなどなんでも撮りたいという方にはあまり向いていないかもしれませんね。あとは、画質面が気になるところですが、これはRAWが解禁されてからの詳しいレビューに期待したいところです。