PCmagに、ソニーのグローバルシャッター搭載の高速連写機「α9 III」のレビューが掲載されています。
- α9 III は初代α7基本的な操作系を踏襲しながらも、少し曲線的なボディで操作感はより優れ、グリップも遥かに快適になっている。しかし、サイズと重さはそれほど大きく異なっているわけではない。作りのクオリティは6000ドルの価格に恥じないものだ。
- ボディは耐候性に優れており雨の中でも安心して使用できる。メカシャッターレスだが、レンズ交換時のセンサー保護のためのセンサーシールドが搭載されている。この機能はデフォルトで無効になっているので、メニューから有効にする必要がある。
- グリップはα7R Vよりも少し深くなっており、シャッターボタンの角度が大きくなっている。このデザインによりより大きなレンズとの相性が良くなった。
- ボタンのバックライトは搭載されていない。スポーツ写真家でこれを残念に思う人はいないと思うが、ウェディングやイベントの写真ではバックライトは有用だ。
- EVFは940万ドットの解像度と120fpsのリフレッシュレートにより素晴らしい見え味を実現している。この大きさと鮮明さ、滑らかさはこれまでテストしたカメラの中で最高のものの一つだ。とは言え、EVFのダイナミックレンジはEOS R3のHDR EVFには及ばない。
- モニタはα7R Vと同じ2軸のヒンジによるもので、チルトとバリアングルの両方の利点を持つ。
- バッファクリアはロスレスRAW+JPEGで140枚の連写ではSDXCで25秒、CFexpressでは15秒だった。
- フラッシュは1/80000秒での同調が可能だが、互換性の問題があり、Godox V1では適切に動作しなかった。Godoxは可能ならα9 IIIの対応ファームウェアを開発すると述べているが、サードパーティーがアップデートでα9 IIIに対応できるかどうかは分からない。
- AFはクラストップのトラッキングシステムが採用され、被写体認識は賢く被写体の頭部や目を認識する。AF性能は完璧と呼ぶのが適切で、被写体を外すことはあるが、めったにない。被写体認識は競合他社のものを超える性能だ。しかし、EOS R3やZ9との差はわずかで、いずれもプロレベルの性能だ。
- 連写は5コマ/秒~120コマ/秒が利用可能だが、120コマ/秒は対応レンズでのみ可能で、またサードパーティー製レンズでは15コマ/秒に制限される。
- グローバルシャッターは画期的だが、画質にはある程度のトレードオフがある。ベース感度が高くなっており、これはダイナミックレンジに影響する。高感度では暗い部分でノイズがわずかに多くなり、(後処理で)ハイライトを回復するためのダイナミックレンジの余裕もあまりない。ノイズの点ではα9 III はISO6400までは大部分のフルサイズ機と同等だが、ISO12800では劣っている。それ以上の感度ではEOS R3やZ9よりも約1段分後れを取っている。
- この画質のトレードオフはα9 IIIがターゲットとする市場においては、大きなトレードオフだとは言い難いだろう。風景やポートレートの写真家がα9 IIIに注目するとは思えない。動体の写真家はノイズを気にはするだろうが、α9 IIIの高感度はAPS-C機と同等であり、動体を止めることに関してはグローバルシャッターはメカシャッターにも勝る。
- グローバルシャッターは動画でも使用でき、レースやゴルフスイングなどの速い動きでの動画の歪みの心配が完全に解消される。しかし、このカメラは4Kを超えるサイズでの動画出力はできない。
- α9 III は長時間の録画が可能で、熱によりシャットダウンするまでに4K60pで68分間録画できた。
- ノイズとダイナミックレンジについての問題は動画にも当てはまるが、このカメラの利点は画質ではなく、ローリングシャッター歪みが完全になくなることだ。
- 内蔵マイクはボイスメモ用に十分なクリアさだが、Vlogやドキュメンタリーのクリエイターは外部マイクが必要だ。
- α9 III はスピード重視で画質は現代の水準に比べて後れを取っており、高いコストを支払っている。しかし、スポーツやアクションの写真家は、画像のノイズよりも瞬間を完璧に捉えることが重要で、このニーズを満たすカメラでα9 IIIに匹敵するものは市場にはない。ただし、多少連写が多少遅くても気にしない場合はEOS R3やZ8も一級品の選択肢になる。
- 良い点:革新的なグローバルシャッター、14bitRAW、120コマ/秒、プリキャプチャ、被写体認識AF、大きく鮮明なEVF、マルチアングルモニタ、CFexpressとSDXCのデュアルカードスロット。
- 悪い点:ダイナミックレンジが狭く高感度でノイズが多い、サードパーティー製フラッシュに互換性の問題がある、全てのレンズが120コマ/秒に対応しているわけではない、ProRes録画の省略。
α9 III は、画質に関しては高感度域ではローリングシャッター機に約1段分後れを取っており、APS-C機と同等という結果で、この結果はdpreviewのテストとほぼ一致していますね。
とは言え、ディストーションフリーや超高速連写、フラッシュの全速同調は一部のカテゴリのカメラマンには画質のマイナス面を吹き飛ばすくらい魅力的なカメラになりそうです。ただ、レンズもフラッシュもサードパーティー製品との相性は良くなさそうですね。
Canon boy
このカメラは完璧ではないのかもしれないが、間違いなく今後のカメラ事情を大きく左右する一台になると思う。
ただ、背伸びしてこのカメラだけ買っても、このカメラの真の力を引き出すためには同じかそれ以上の周辺機器への投資が必要になるのでしょう。
個人的には画質云々より、これでしか撮れないような作品が出て来るのが楽しみですね。
タスク
ISO250〜6400はローリングシャッター機と同じ画質で範囲を外れると画質が落ちるということは、やはりデュアルベースISOが無くて対応出来るISO範囲が狭いのが根本原因な気がします
グローバルシャッターでデュアルベースISOに対応する技術が開発されれば画質のトレードオフも無くなるのではと期待してます
フタアミン
1/80000秒でフラッシュが同調できるのはいいなあ
セラビー
やはりα7R Vと同じマルチアングルモニタがやはり使われていくのでしょうか。
液晶はバリアングルよりチルトの方が好みですが、この機構だと縦位置撮影では結局バリアングルを使うことになるので、それなら機構をシンプル化してバリアングルのみにした方が小型化、コストダウン、破損の可能性が減ると思うのです。
バスケ爆睡
バスケ撮影では、ISO感度は2000~5000辺りを使用するので、この情報の通りなら差し支えなさそうです。
現在α7IVを使用使用していますが、ローリングシャッター歪みが多少出ていますので(気になる人は少数っぽいですが)、α9IIIが楽しみになってきました。
ミノルタ
高感度ISOで画質の低下が話題になってますが
一番大きな欠点は、試写だとバッファの容量が少なく
連写したらすぐに詰まることでした。
iPut
グローバルシャッターは唯一無二なので、これだけでもメリットはありますね。
α9IIの電子シャッター音は「明後日の方向」から聞こえていましたが、その点は直っているのでしょうかね?
taku
購入を検討されている方には朗報ですね。
一度体験するとローリングシャッターには戻れない
このカメラにはそんな雰囲気があります。
イルコファン
1/80000秒での同調は現実的ではないと思います。
純正ストロボ使用時でも公式にて「明るさと色味が変化する場合があります」と注釈があります。
イルコさんも動画にてその理由を説明されています。
タマチ
歪とかフリッカーとかのリスク無しに各種イベントを無音高速シャッターで撮りたいという強いニーズがあるので
発売日に買って各種改善が図られた後継機ないし上位機が出るまで使い倒す予定です。
正直安くは無いので、自分の利用想定ISO感度では画質が及第なのは嬉しいニュースです
あとフラッシュのみの廉価な機材でも、動きのある人物の屋内撮影や夜間撮影が多様に楽しめそうです
このあたりの試行錯誤は初物好きユーザーの醍醐味だと思いますが、私もとても楽しみ
xylogen
ふと思ったのですが高感度でノイズが多く感じるのは、このカメラのグローバルシャッター対応のセンサーにdual native ISO機能が無いからなんでしょうか。それならこの挙動に納得です。