キヤノンはサードパーティーのレンズメーカーと秘密保持契約を結んでいる

Phototrendに、CP+会場で行われたキヤノン開発陣のインタビューが掲載されています。

Interview Canon CP+ 2024

  • (キヤノンのイメージング部門の財務状況やカメラの市場シェアは?)
    昨年は売上高と利益の双方において非常に良い成長を遂げた。レンズ交換式カメラに関しては、世界市場ではキヤノンが現在48%のシェアを占めており、ここ数年はこのレベルにある。ミラーレスのカテゴリでは市場最大のシェアを占めており、レンズ交換式カメラのカテゴリではキヤノンが1位だ。

  • (APS-C用のRF-Sレンズをフルサイズのようなペースで開発する予定はあるか?)
    APS-C用のレンズに関しては、本格的にラインナップの強化に取り組んでいる。しかし、フルサイズ用のレンズがすでに幅広くラインアップされており、それらも全てAPS-C機で使用できる。

  • (RFマウントがオープンになったがサードパーティー製レンズをどのように検証しているのか? 技術仕様に準拠するだけでいいのか?)
    明確にしておきたいが、我々はマウントのオープン戦略を採用しておらず現時点でAFのサードパーティー製レンズは存在しない。とは言え、顧客のニーズを満たすためには製品の多様性が必要で、現在、以前よりも遥かに多くのサードパーティーメーカーとコミュニメーションを取っている。今、言えることは、他のメーカーと秘密保持契約を結んでいるということだけで、どのようなレンズが登場するのかや市場でのレンズ位置付けについても話すことはできない。これ以上は何も言えない。
  • (サードパーティー製のレンズは純正レンズと同様にボディの機能にアクセスし性能を引き出せるのか?)
    率直に行って最高の機能を実現できるのは、キヤノンのボディとレンズの組み合わせのみだ。サードパーティーは可能な限り良い結果を達成しようと努力すると思うが、キヤノンはレンズやボディに関するあらゆる情報を把握しており、レンズだけを作るメーカーでは限界があると思う。

  • (AIをどのように使用しているのか?)
    AI に関しては、主にオートフォーカスの性能向上に使用しており、ディープラーニングを利用して被写体認識を支援している。また、AIは画像処理の分野で活躍しており、たとえば、AIはノイズの改善、鮮明度の向上、収差の補正を行っている。また、AI の使用に関する当社の方針と哲学は画像処理であり、人工的な画像の生成ではないことを強調しておきたい。我々はAIテクノロジーを使用して、画像を補正し、より確実に元の状態に近付けたいと考えている。

  • (ソニーがグローバルシャッター搭載機を発表したが、キヤノンもEOS R1でこの技術に取り組んでいるのか?)
    まず最初に、我々は既に産業用のグローバルシャッターセンサーを持っていることを忘れないで欲しい。ミラーレスカメラへのグローバルシャッターの搭載は、ローリングシャッター歪みが無くなることや全速同調などのメリットもあるが、画質が悪くなるというデメリットもある。このメリットとデメリットのバランスを見ながら今後検討してきたいと思う。
  • (グローバルシャッターのメリットのためなら画像のノイズを気にしないというプロもいるが?)
    その点で妥協してもいいという声があることは承知しているが、当社の主力製品に採用する場合には画質は妥協できるものではなく、それが我々の哲学だ。とは言え、製品のカテゴリに応じての検討は必要で、ユーザーからのフィードバックに耳を傾けたいと思う。

  • (EOS Mシステムはどうなっているのか?)
    EOS R50とR100は市場で非常に好評だ。一部の地域では引き続きEOS Mシリーズの販売が好調だが、他の市場ではRシリーズの方が好まれている。それが現在の状況だ。システムの維持は市場次第だ。

  • (EOS R1についてもう少し詳しく教えて欲しい)
    いつ発売されるかはまだ言えないが、今年はオリンピックの年であるという事実がそこにある。カメラマンが高性能なカメラを使用できれば理想的であり、我々はその準備をしている。
  • (プロが機材に適応するにはある程度の時間が必要だと思うが、新しいカメラを数ヶ月前から試用することができるのか?)
    プロが実際の競技で機材を使いこなせるようになるには約6ヶ月の学習が必要だ。したがって、我々が主力製品を準備しているとしたら、一部のカメラマンはこの新製品を使用して練習する必要があることを意味している(笑)パリオリンピックでは白いLレンズを装着したキヤノンのボディを沢山目にすることになるだろう。

 

インタビューアーの勘違いなのか故意なのかは分かりませんが、RFマウントが既にオープンになっている前提で質問して、キヤノンからサードパーティー製レンズに対する回答を得ているのは面白いですね。

キヤノンはサードパーティーと秘密保持契約を結んいるということなので、サードパーティーの参入に関して何も進展が無いというわけではなさそうです。シグマもタムロンもRFマウントに関してインタビューで「何も言えない」の一点張りなのは、この秘密保持契約のためかもしれませんね。

また、EOS R1の発表に関しては明言を避けていますが、既にこのカメラがオリンピックを撮影する一部のプロの手に渡っていることを認めているので、オリンピックにこのカメラが投入されるのは確実と見てよさそうです。