キヤノンはRFマウントを取り巻く環境が変化したためレンズメーカーとの対話を始めた

PetaPixelに、キヤノンのイメージンググループ副管掌のサードパーティー製レンズに関するインタビューが掲載されています。

Canon is Actively Working to Bring Third-Party Lenses to RF Mount

  • キヤノンは、サードパーティ製のAFレンズをRFマウントで使用できるようにして欲しいという要望があるのは承知しており、まだ何も確定していないものの、それを実現するために積極的な議論を行っている。

    ここまで、キヤノンはサードパーティのRFマウント用のAFレンズの製造を阻止してきた。キヤノンは自社の知的財産の保護に非常に真剣に取り組んでおり、マウントをリバースエンジニアリングしている企業に対して差し止め措置をしたほどだ。

    「キヤノンは、これらの製品がキヤノンの特許権および意匠権を侵害していると考え、キヤノンの知的財産権を侵害するすべての行為を停止するよう要請した」と同社は2022年9月に述べている。

    2024年現在、キヤノンは主要なカメラメーカーの中で唯一、サードパーティが自社のミラーレスカメラに完全対応したレンズ(※AFレンズのことです)の製造を認めていないが、それも間もなく変わるかもしれない。先週、横浜で開催されたCP+で行われたPetaPixelのインタビューで、同社の幹部は、キヤノンは以前よりもこの考えに対してオープンになっていると述べた。

    「昨年とは少し変化している」とキヤノンイメージンググループ副管掌はPetaPixelに述べた。「40本以上のレンズを発売し、製品ラインナップがより多様化した。それに伴って、昨年からサードパーティとのコミュニケーションが更に進展している」。具体的な進捗について「50%以上」と述べおり、「まだ漠然としているが、少なくとも我々は議論を始めているということだ」と付け加えている。

    キヤノンがこれまでサードパーティのレンズを許可してこなかった理由については予想外に率直な答えをした。それは単純にビジネスのためだ。

    「基本的に、我々がサードパーティと協力したり、パートナーシップを結ばなかった理由は、サードパーティーとパートナーシップを結ばないという我々のビジネス戦略によるものだ。我々のビジネスは、何らかの技術を持っていれば、それを社内でクローズにして利益を出そうとするものだ。それが我々のビジネスの基本だ。しかし、RFを発売してから6年が経ち、本体と40本以上のレンズで十分な製品ラインナップが整ってきた。そのため、RFマウントを取り巻くビジネス環境が変化した。それに基づいて、このビジネスに新たな地平を開くことを戦略として検討している。このため、我々はサードパーティとの議論を始めた」と彼は述べている。

    市場のリーダーとして、キヤノンは写真家にRFマウントの導入を促すためにサードパーティーに目を向ける必要を感じなかった。同社のカメラは世界的にベストセラーであり、キヤノンは現在、ミラーレスでアメリカ合衆国でナンバーワンであると述べています。既に人気があるため、同社はより多くのサードパーティレンズによって写真家をRFマウントに誘う必要はない。

    それでも、キヤノンは写真家にとってレンズの選択肢が増えることが重要だと理解しており、そのため現在、RFマウントを開放するための議論を行っている。これは、シグマやタムロンのRFマウント対応レンズがすぐに発売されるという意味ではないが、数年以内にRFマウントレンズが登場する可能性があると期待する根拠にはなるだろう。

 

これまでキヤノンはサードパーティー製AFレンズに対して非常に厳しい姿勢を取ってきましたが、純正RFレンズのラインナップが揃ってきたことで、キヤノンのサードパーティーに対する姿勢も少し変化してきたようですね。

まだ対話を始めたばかりで具体的なことは決まっていなようですが、キヤノンがサードパーティーと対話する方針に転換したことで、サードパーティー製AFレンズの登場にある程度は期待が持てそうな雰囲気になってきたという印象です。