キヤノン「RF10-20mm F4 L IS STM」は単焦点レンズに匹敵する優れた画質

OpticalLimitsに、キヤノンの超広角ズーム「RF10-20mm F4 L STM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 10-20mm f/4 L IS STM Review

  • このレンズは比較的軽量コンパクトなレンズで、造りは予想通り優れている。鏡筒はRFレンズではエンジニアリングプラスチックに切り替わっているが、非常にしっかりしている。
  • STMは通常は低価格レンズに使用されるAFモーターで、(Lレンズへの採用を)疑問に思う人もいるかもしれないが、AFは速く静かで実際には何の問題もない。

  • 歪曲はRAWでは10mmで9.2%と極端に大きなタル型で、14mmでは6.2%と減少するがそれでもまだかなり高い値だ。20mmでは1.7%と妥当な値になる。自動補正使用時は歪曲は完全に抑えられる。10mmではわずかに補正が強すぎて糸巻き型になるが、0.2%と無視できるレベルだ。
  • 周辺光量落ちは、歪曲と周辺光量落ちの補正を無効にすると10mmでは画面の墨が黒くなり(-12.4stop)絞り込んでも改善しない。14mm開放では-2.9stopの強い周辺光量落ちがあり、絞ると少しだけ改善する。20mmでは周辺光量落ちは比較的少なくなるが、開放では-2.05EVと依然として顕著だ。自動補正有効時は10mm開放で-2.1stopで許容できるレベルまで軽減される。

  • 中央の解像力は開放からズーム全域で際立った値で、隅もとても良好な値だ。10mmでは一番隅の部分は「良い」にしかならないが、それでもなお、このような極端な広角では注目に値する性能だ。もう1つ特筆すべき点は、14mmと20mmでの一貫した性能だ。多くの広角ズームでは広角端で良い結果を得るために望遠端の性能が犠牲になっているが、このレンズはそうではない。実際に10mmよりも14mm/20mmの方が高画質だ。回折の影響はF11から大きくなる。

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  • 倍率色収差は全域で1ピクセル前後の値で、非常に良く補正されている。ピクセル等倍で見れば色収差に気が付くかもしれないが、実際には問題はない。
  • 光芒はF4ですでにわずかに見え、絞り込むほど強くなる。光芒が好きな人はこのレンズを気にるだろう。
  • 逆光では(太陽の位置に)注意すればフレアの影響を最小限にすることができ、ゴーストやコントラスト低下も見られないが、状況によってはゴーストが非常に目立つことがある。

  • このレンズは高価だが、この焦点距離の単焦点レンズに匹敵する優れた画質だ。14mmと20mmでは画面全域で非常にシャープで、10mmでもこのような焦点距離のレンズとしては優秀だ。このレンズはデジタル補正前提で常に自動補正は有効にしておくことが推奨される。高価なレンズだが、予算があるならそれだけの価値のあるレンズだ。強くお勧めする。

 

RF10-20mm F4Lは10mmスタートの超広角ズームとしては比較的コンパクトにまとまっていますが、この広い画角にもかかわらずズーム全域で開放から画面の隅まで実用的な画質を実現しているのは素晴らしいですね。

歪曲と周辺光量落ちは未補正の状態では極端に大きいですが、電子補正前提で隅は歪曲補正で切り取って使うよう設計されたレンズなので、素の状態の測定値はあまり気にする必要はなさそうです。