パナソニック「LUMIX S1R II」のAF性能は競合製品より大きく劣っている

DPReviewに、パナソニックの新しいフルサイズミラーレスカメラ「DC-S1RII」のレビューが掲載されています。

High-res hybrid: Panasonic Lumix DC-S1RII review

  • S1RIIには旧型の4700万画素センサーやSL3の6100万画素センサーではなく、解像度は少し低いが高速な4400万画素BSIセンサーが採用されており、デュアルゲインに対応している。
  • 読み出しはセンサーは積層と比べるとかなり遅く、電子シャッターでは14bitで約1/27秒、12bitでは約1/50秒かかる。
  • ボディは初代S1のような大きなものではなくS5IIベースの小型軽量化されたものを採用している。ボディはS5IIと同サイズだが、グリップが大きくなっているので、大型レンズ装着時でも快適に使用できる。
  • ファンを内蔵しているが、GHシリーズほど長回しの信頼性はない。それでも長時間の録画は可能だ。
  • バッテリーはS5IIと同じものになったため初代S1Rと比べて大幅に容量が小さくなっているが、それでもCIPA規格でモニタ使用時に350枚(EVF使用時は300枚)撮影でき、これは十分に満足できる数字だ。しかし、α7R Vのような安心できるバッテリーライフではない。
  • 画質テストの結果は非常に良好で、期待通りのディテールだ。ディテールは61MPのα7R Vには劣るもののEOS R5 IIやZ8、初代S1Rと比べて大きな差はない。
  • モアレが目立つのでローパスフィルターは搭載されていないようだ。しかし、競合機種と比べてモアレが極端に目立つというわけではない。

  • 色再現性はキヤノンよりも肌が少しピンクがかるが、ライバル各社とほとんど同じだ。
  • ノイズは低~中感度では比較的良好だが、高感度ではRAWにノイズリダクションがかかり、ノイズがぼやけているように見える。JPEGのノイズリダクションはノイズ抑制とディテール保持のバランスに非常に優れているが、最高感度ではやや過剰にかかっている。
  • ダイナミックレンジはベース感度が旧型よりも低いため、直接比較することはできないが、結果はほぼ同等と言って良いだろう。センサーはデュアルゲインのBSIなので、高感度ではノイズが良好に抑えられている。

  • AFは多くの最新カメラと異なり、通常のAFトラッキングと、被写体認識の追尾は別々の機能になっており、認識できなかった被写体にピントを合わせたくても自動的に通常の追尾に切り替わることはなく、被写体追尾を解除する必要がある。S5IIでは自動的に通常トラッキングに切り替わるので、これはS1RIIの残念な点だ。
  • AF性能は優れていると感じることもあるが、全体的にはキヤノン、ニコン、ソニーよりもかなり信頼性が低かった。デフォルトよりもカスタム設定のセット3モードが被写体追尾性能に優れていることが分かったが、それでも速度が変化する被写体には苦戦するケースが多かった。
  • 最も懸念されるのは、トラッキングAFがピントを合わせるべき対象を全く見つけらない場合、赤いボックスが点滅表示されるだけで、それ以上ピントを合わせようとしないことだ。これはカメラの信頼性を損なうほど不快なものだ。

  • 結論:画質に関しては期待通り非常に優れており、JPEGは魅力的でRAWはディテールと柔軟性を兼ね備えている。ハイレゾモードはおそらく最も使いやすいものだ。ボディと操作性にも感銘を受けた。このカメラの最大の懸念はAFで、追尾性能は従来の機種よりも向上しているが、それでも競合製品と比べて大きく劣っている。通常のトラッキングと被写体認識を分離しているのも異例で、これがAFの信頼性を低下させている。
  • S1RIIは競合機種よりも価格が安く動画性能に非常に優れたカメラだが、動体を撮影するならAF性能は、少し価格が高くなっても競合機種を購入する十分な理由になるだろう。この問題はファームウェアで修正できるかもしれないが、現時点ではS1RIIは賞を与えるほど傑出しているカメラだとは思えない。

 

AFに関しては非常に辛口な評価になっていて、DPReviewがここまで強く言うのは珍しいことですね。被写体認識と通常のトラッキングAFの切り替え方法がS5IIと異なり自動で行われないのが原因と述べられていますが、なぜそのような仕様になっているのは少々不思議ですね。

AFに関しては、できればファームウェアアップデートで改善して欲しいところです。その他の点では画質やボディのエルゴノミクス、動画性能などは非常に高い評価なので、AFの評価が惜しいですね。