PentaPixelのYoutubeチャンネルで、シグマの山木和人社長のインタビュー動画が公開されています。
・Looking Back on Sigma's MONSTER 2025
- (販売店から「14mm F1.4 がまだ非常に人気があるが、現在は受注生産になっている」と聞いた。これはなぜか?)
シグマでは開発から製造までをすべて1つの工場で行っており、他社に製造委託はしていないので、生産能力には限界がある。現在、非常に人気のある製品がいくつかある一方で、14mm F1.4は主に天体写真家に人気のあるニッチな製品で、こうしたニッチなレンズは年に1回程度しか生産するチャンスがない。生産できるのは、撮影需要が比較的落ち着く1〜2月頃になる。そのため、事前にどのくらいの注文があるかを把握してから一括で生産し、販売代理店を通じて顧客に届ける形をとっている。こうすることで、主力レンズの生産を妨げずに済む。 - (今後、他のニッチレンズも同じような受注生産制に移行する可能性はあるのか?)
今回の「14mm F1.4」がこの方式の初の試みで、このやり方で顧客が満足するかどうか、検証しているところだ。もし不満の声が多ければ、見直すことも考えている。現在のイメージとしては、毎年1月〜2月にその年の生産分をまとめて作る形なので、もし4月に顧客が「欲しい」と思っても、その次の生産まで少し待ってもらう形になる。 - (生産能力を拡大する計画は?)
大手の外部サプライヤーと協力すれば、確かに生産能力を大きく拡大することは可能だが、私はそうしたくはない。なぜなら、我々が作る全てのシグマ製品が「最高品質」であることを保証したいからだ。あくまで自社工場内での生産にこだわり、継続的に設備投資と人員採用を進めていく。とはいえ、急激に増やすことはできない。生産能力の拡大は、緩やかに、着実に進めていくつもりだ。 - (BFの反響は?)
市場からの反応は、予想をはるかに上回るものだった。発表前は、賛否が半々くらいだろうと予想していたのだが、実際には圧倒的にポジティブな反応が多く、とても驚いた。このことはもちろん、非常に嬉しく思っている。 - (パナソニックが3台ものプロ向けボディを同時に発表したこともあって、Lマウント製品の需要はここ数か月でさらに伸びているように感じるが、御社もその影響を感じるか?)
はい、Lマウント用レンズの需要は引き続き増加している。これは我々のFPシリーズだけでなく、パナソニックやライカの新型カメラの登場によるところも大きい。 - (今後は写真よりも動画・シネマ分野へのシフトを考えているのか?)
映像・シネマ市場は確かに戦略的に重要な分野だが、だからと言って、我々が写真市場から離れるというわけではない。映像分野の強化を進めつつ、写真分野にも引き続き注力していく。 - (シネマレンズAizu Prime Lineシリーズについて)
コンセプトとしては「現代的でクリーンな描写」を持つシネレンズだが、同時に「ヴィンテージの味わい」も取り入れたいと考えた。そのため、開発チームでは多くのヴィンテージレンズを実際に購入し、その質感やフレア、トーンの落ち方などを研究した。 -
(これらのシネマレンズはすべてPLマウントだが、将来的にミラーレス用(LマウントやRFなど)が出る可能性はあるのか?)
最近のトレンドとして、ミラーレスカメラで映像を撮るユーザーが増えているのは確かで、その変化を、注意深く見守っている。現時点では明確な計画は言えないが、市場の動向を見て柔軟に対応したいと考えている。 - (レンズ設計の現場では「誰も作ったことのない夢のようなレンズを作りたい!」という提案はよく出るのか?)
もちろんだ。我々な定期的に商品企画会議を行っていて、どんな社員でも自由にアイデアを提案できる。シグマの強みは、全員が写真愛好家であり、カメラ好きであることだ。みんな自分なりの"理想のレンズ"を持っている。単に他社製品の廉価版を作るだけでは存在意義がない。シグマの使命は、他社が作らない、独創的な製品を作ることだ。それによって写真文化を発展させたいと考えている。
今後はニッチレンズは、受注生産で年1度の生産になる可能性があるようですね。在庫切れのレンズは、予約するタイミングによっては最悪1年近く待つことになってしまうので、ニッチレンズは計画的に購入(あるいは予約)することが必要になりそうです。
Lマウントシステムに関しては、今年はシグマ、パナソニック、ライカから魅力的なボディがそれぞれ登場したので、盛り上がっているのも理解できますね。来年以降も更にLマウントが存在感を増していくことができるのか注目したいところです。
また、シグマの強みは「全員写真愛好家で、カメラ好き」と述べられていますが、確かにシグマの製品は単にマーケティングで売れそうというだけの製品ではなく、マニア目線で魅力的なスペックのレンズが出てくることが多いような気がします。
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