タムロン「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2」は中央と隅の解像力の差が大きい

LensTipに、タムロンのフルサイズミラーレス用の広角単焦点レンズ「20mm F/2.8 Di III OSD M1:2」のレビューが掲載されています。

Tamron 20 mm f/2.8 Di III OSD M 1:2

  • フォーカスリングはフォーカスバイワイヤ(モーター駆動)で、十分な重さがあり滑らかに回転する。フォーカスリングの回転角は、速く回すと約180度、ゆっくり回すと650度で、非常に正確なピント合わせが可能だ。
  • 中央の解像力は開放から非常に良好(56lpmm前後で良像の基準値は39-41lpmm)で、全く問題ない。解像力のピークはF5.6で、このとき60lpmmを超える。隅は、開放では実用的な解像力とは言えず(33lpmm前後)、中央のように称賛はできないが、幸いなことに少し(F3.2まで)絞ればしっかりした解像力になる。中央と隅の解像力の差が大きすぎるのが気になるところだが、F5.6に絞れば全域でシャープになる。

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  • 軸上色収差は、開放でも色付きは気にならず、全く問題ない。
  • 倍率色収差は開放では非常に小さい値で、絞ると0.06%まで値を増すが、心配はない。
  • フォーカスシフト(絞りによるピントの移動)は、F2.8からF4に絞ったときに若干見られる。
  • 歪曲はAPS-Cで-4.24%、フルサイズで-8.29%のタル型で、冗談のような大きさだ。正直言って、単焦点でこのような激的に悪い結果は記憶にない。
  • コマ収差は、隅は中央と比べて光点が若干肥大するが、全く問題はなく、称賛に値する。
  • 非点収差は4.2%の非常に低いレベルで、非の打ち所がない。
  • 玉ボケはこの種のレンズとしてはまずまずだが、輪郭線とリングボケが少々見られる。隅の口径食は、2段絞っても解消しない。
  • 周辺光量落ちは開放で63%(-2.89EV)と芳しくなく、絞るとF4で53%(-2.20EV)、F5.6で47%(-1.87EV)と少し改善するが、期待ほどは改善しない。
  • 逆光耐性は良好で、ゴーストやフレアを出すのに苦労した。ゴーストが出ても強いものではく、面積も小さい。
  • AFは極めて遅く、最短から無限遠まで1.5秒以上かかる。AF時間の多くは合焦点付近のピントの前後の動きに費やされている。合焦ミスが無いのが救いで、AF精度は申し分ない。
  • 私はこのレンズには魅了されなかった。もっと良好な性能を期待していた。歪曲の補正を諦めているので、隅の性能をもっと追求するべきだった。もう少し価格が下がれば、購入に反対する理由は少なくなるだろう。
  • 良い点:中央のとても良好な性能、軸上色収差の問題が見られない、倍率色収差がわずか、コマ収差が良く補正されている、非点収差が適切に補正されている、逆光耐性が優れている、静かで正確なAF、1:2のマクロ。
  • 悪い点:いくらか球面収差の補正に問題がある、周辺光量落ちが極めて大きい、歪曲が恐ろしいほど大きい、AFが遅い。

 

このレンズは、ePHOTOzineのレビューでは良好な評価でしたが、ここでは少々厳しい評価になっているようです。歪曲や周辺光量落ちが大きいのは、自動補正を前提としているためだと思われますが、補正済みの画像で見れば大きな問題はなく、価格を考えれば十分な性能という印象です。

AF速度に関しては、最新の70-180mm F/2.8が爆速と言われているので、OSDを使った3本の単焦点シリーズも、もう少し頑張って欲しかったですね。