キヤノンEF35mm F2 IS USM は欠点の少ない高性能なレンズ

photozone に、キヤノンEF35mm F2 IS USM のフルサイズ機によるレビューが掲載されています。

Canon EF 35mm f/2 USM IS - Review / Test Report

  • 鏡筒はハイクオリティなプラスチック製で、造りのクオリティは非常に高い。フォーカスリングはスムーズに回転する。フォーカシングでレンズの全長は変わらない。
  • AFはリングタイプUSMで、ほとんど無音で極めて速い。フルタイムマニュアルフォーカスが可能。
  • 手ブレ補正は公称では4段分だが、割り引いて受け取ったほうがいい。実写では1段分程度低い効果だった。
  • 歪曲は1%をわずかに下回っており、とても穏やかだ。
  • 周辺光量落ちは、開放で2.3EVで非常に目立つが、F2.8に絞ると大幅に改善(1.29EV)し、F4以上では問題はなくなる(F4で0.63EV)。
  • 解像力は、中央は開放からとても良好(very good)で、F2.8に絞ると素晴らしい値(excellent)に、F4とF5.6では際立った値(outstanding)になる。
  • 外側(周辺部と隅)の解像力は、開放では良い(good)~とても良い値(very good)だが、コントラストが比較的低いので、よりシャキッとしたハイコントラストの画像を得るには絞るのが望ましい。周辺部の解像力はF4からF5.6では、とても良い(very good)から素晴らしい値(excellent)になる。F11以上では回折の影響が見られ始める。
  • 倍率色収差は、周辺部で平均0.3ピクセル前後にとどまっており、無視して良い値だ。
  • ボケは、前ボケは若干うるさいが、より重要な後ボケは極めてスムーズで、旧型よりも顕著に改善されており、大部分のズームレンズより良い。このような良好なボケは、非球面レンズを使っている広角レンズでは極めて異例のことだ。ハイライトの描写(玉ボケ)は、若干縁取りが見られるが極めてクリーンだ。隅では若干状況が異なり、ハイライトの形が崩れ、縁取りも強くなる。
  • 軸上色収差(ボケの色ズレ)は、開放では中程度で、F2.8ではまだ若干の色収差の痕跡が見られるが、F4以上に絞れば解消する。フォーカスシフトは見られない。
  • キヤノン35mm F2 IS は、同じ焦点距離のシグマの35mm F1.4とは、思いの外異なるレンズで、シグマは(開放同士で比べてさえ)解像力で優るが、キヤノンはボケ味で優っている。そしてキヤノンはより軽量コンパクトだ。
  • このレンズは欠点の少ない高性能なレンズだ。周辺部は開放ではいくらかコントラストが低いが、少し絞れば非常にシャープになる。旧型で見られたボケ(特に後ボケ)の問題は改善されており、ボケ味は、このクラスの大部分のレンズよりも良好だ。この高性能を考えると、旧型と比べて高い価格にもそれほど大きな不満は無く、躊躇なくこのレンズを "大いに推薦" する。 

 

光学性能の評価は5点満点中4点で、とても高い評価になっています。このレンズは、SLRGearのレビューでは、開放付近が甘いということで、そこそこの評価でしたが、今回のphotozoneのテストでは開放から十分な性能が出ているようです。

このレンズは、解像力ではシグマ35mm F1.4 には及ばないようですが、ボケ味と軽量コンパクトさで優っていて、加えてISが付いているので、両者の選択はなかなか悩ましい問題かもしれませんね。