・Sigma S 150-600 mm f/5-6.3 DG OS HSM
- フォーカスリングの回転は均一で、非常に正確に動く。最短から無限遠までの回転角は180度だ。
- 手ブレ補正の効果は最大でも3段分を下回っており、少々予想外だ。これは古いシグマのレンズ群の性能で、他の最近のシグマのレンズは3.5段分(これはタムロン150-600mmと同等)に近い値だ。
- 中央の解像力は150-300mmでは開放から40lpmm(良像の基準は30-32lpmm付近)を超える完璧なクオリティで拍手喝采だ。若干絞ると44lpmmに達する。F5.6-F8に絞ると、よく知られたキヤノンEF135mm F2L やEF200mm F2.8 と同等の解像力で、シグマがいかに良いか分かる。この条件では、シグマはタムロンの150-600mm(開放で38lpmm、絞ると40lpmm)よりもずっと良好だ。
- 450-600mmのズーム域での中央の解像力は、150-300mmよりも下がるが、ここでもなお開放で38-39lpmmの非常に良い値だ。この値は、それほど大きな差ではないもののタムロン150-600mmよりも良好だ。シグマは450mmではキヤノンEF100-400mmの400mmよりも良い。
- APS-Cの隅の解像力は300mmが最も低いが、30lpmmに達しており、画質は十分だと見なすことができる。これ以外の焦点距離では300mmよりも若干良好で、一番良好な150mmでは絞ると38lpmmに近い高い解像力になる。タムロン150-600mmも似たような結果だが、タムロンは600mm開放では基準値を下回る解像力で若干問題があり、絞ってもわずかしか改善しない。ここでもタムロン・キヤノン(100-400mm)との比較ではシグマがベストだ。
- フルサイズの隅の解像力は、興味深いことにシグマは望遠側(450-600mm)はウィークポイントではなく、開放でさえ十分に実用的だ(30lpmm前後)。隅は150-300mmが最も解像力が低く、F8-F11まで絞らないと30lpmmを超えない。タムロン150-600mmはシグマと異なり、望遠端の解像力が最も低い。隅のシグマとタムロンの比較は、ほぼ引き分けだ。
- 軸上色収差は全く問題ない。倍率色収差は広角側ではごくわずかで、望遠側でのみ若干見られるが、「低い」と「中程度」の境界線上の値で不満はない。
- フォーカスシフトは、絞り値にかかわらず全く見られない。
- 歪曲はフルサイズで150mmでは0.54%の糸巻き型、600mmで0.75%の糸巻き型とわずかで、実写では問題ない。
- 周辺光量落ちはフルサイズでは広角端でも45%(-1.75EV)とかなり激しく、最も目立つ600mm開放では51%(-2.05EV)でかなり深刻だ。このレンズはタムロンよりもかなり大きく重いので、この結果は予想外だった。周辺光量落ちはタムロン150-600mmがずっと良好だ。
- 逆光では画面の隅に太陽があると、激しいフレアと大きなゴーストが現れ、コントラストも大きく失われる。幸いなことに太陽が画面の外に移動すると、フレアは消えて、コントラストも元に戻る。このレンズの逆光耐性は完璧からは程遠いが、それでもなおタムロン150-600mmよりも良好だ。
- AFは無限遠から最短まで平均でおよそ1秒で、素晴らしい速度とは言えないが、フォーカスリミッターを使えば問題はなくなり、望遠端でさえ0.3秒以下で素早く合焦する。動体は(人がレンズに向かって走ってくるテストでは)5D3との組み合わせで問題はないと言っても大丈夫だ。焦点距離や使用するボディにかかわらず、前ピンや後ピンの傾向はなかった。
- タムロン150-600mmと直接競合するのは、Contemporaryラインの150-600mmの方だろう。Sportsラインの150-600mmとタムロンの比較では、多くのカテゴリでシグマがタムロンよりも優れている(唯一、周辺光量落ちだけはタムロンが顕著に良い)が、シグマはずっと高価で重く、これは非常に大きな違いがある。タムロンは森や公園で三脚なしで散策に使えるが、シグマでは難しい。
- 良い点: 非常にしっかりとした防塵防滴の鏡筒、ズーム全域でどの絞りでも中央は素晴らしい画質、周辺部の良好な画質、色収差が少ない、球面収差が問題なく補正されている、歪曲がごくわずか、コマ収差がよく補正されている、非点収差が気付かないほど少ない、手際がよく静かなAF。
- 悪い点: 逆光耐性が今1つ、フルサイズでは周辺光量落ちが非常に大きい。
シグマ150-600mmSports は、ズーム全域で解像力が高く、望遠端が600mmにもかかわらず望遠端でも十分な解像力を維持しているのは素晴らしいですね。
タムロン150-600mmとの比較では、解像力など多くの項目でシグマ150-600mm Sports が優っているようですが、シグマの方が高価でずっと重いレンズなので、これは予想の範囲内の結果かもしれませんね。とは言え、周辺光量落ちではタムロンの方が良好ということなので、手放しでシグマの勝ちとは行かないようです。
[追記] 逆光に関する部分の訳が間違っていましたので修正しました。正しくは「シグマの逆光耐性は完璧からは程遠いものではあるが、それでもなおタムロン150-600mmよりも良好」でした。
hui
モータースポーツや鉄道写真ではヘッドライトの様な強い点光源への耐性は非常に気になります。
複数個の点光源となる事も多いので、太陽より厄介なのです。
あ
Contemporaryがまだリリースされていないから飛びつけない。Contemporaryのレンズ構成がこれと同じで、同じ解像度を持ってるなら、丈夫さや防塵防滴を無視してそっちを買うという手がある。軽ければ雨に対応するのも楽だから。
シグマのこの販売戦略は失敗なんじゃないかなぁ。
jms
あ さん
sportsとcontemporary はもちろんレンズ構成も違いますよ
陽気なパパ
感じてたことが全部当てはまるな~。
鳥撮りはトリミングするから周辺光量落ちはいいんだけど~。
KEN
シグマとタムロンの比較は意味があるが、キヤノンの100-400、135.
200は現行品とはいえフィルム時代の設計だからな…
私はキヤノンのリニュアルに期待します。
ポン吉太郎
周辺光量落ちは修正できますが解像力はどうしようもないので
値段相当だと思います。
タムロンさんの倍の値段なので優秀なのは当然かもしれませんが
シグマさんもDPPのようなソフトがあるので使い方次第かも
しれませんね。
私的には現在予算が足りず手が出せませんが欲しいレンズの一つ
です。
たぶんcontemporaryはタムロンさんと同等レベルになるのかなぁと勝手な妄想をしております(^_^;)
最近は純正の100-400の噂が再度出てきていますので焦点距離は
違えど価格帯でライバルになるのか見物しております。
予想以上に売れているようなので販売戦略は失敗ではなく大幅に成功だと私は思っております。
またsportsとcontemporaryと2種類出してくれるのは客層をよりつかめるので非常にありがたいメーカーだと思います。
ずん
周辺減光対策で絞らねばならず、かつ強い光源を入れてはいけない。
地味にシビアな運用を求められることになりそうです。
しかし最近のシグマは逆光に弱いという悪評を覆しつつあったのに
こういう大物でやらかしちゃうのは残念。。。
contemporaryでは気軽に使うためにも逆光はどうにかして欲しいですね。
RARARA
友人がシグマ150-600を購入したので比較する機会があり、趣味の航空機の写真を撮りました。
指摘のとうりに空が入ると周辺の落ち込みが激しく全く使えません。期待していたのにガッカリ!
KEN
タムロンはズーム回転方向が純正と逆だから、この理由で購入しません。
シグマは一貫性がないので、これも困ります。
この150-600はどっちなんでしょう?
Pop
最近のシグマを考えると、逆光性能の弱さは意外ですね。超望遠で太陽が入る構図はあまり撮らないでしょうが・・
周辺減光の補正は簡単ですから、RAW撮りの人は問題ないでしょう。もしくはトリミング前提で。
EOS学園生
周辺光量落ち、低逆光耐性という大きな問題点を抱えてるにしても、解像力はなかなかのものですね。
キヤノンとしては、厳しい戦いになりそうですね。
価格面では、リニューアルが噂される100-400L IIと比較されるでしょうが、焦点距離ではX1.4テレコン込みでの画質勝負となりますからね〜
私自身としては、キヤノン純正の底力に期待しています。
haga
以前のサンプル画像と今回のレポートからやはり購入しないほうが無難な気がしてきました。
hui
周辺光量落ちですが、ここまで大きいと明るさだけでなく
色味の復元も伴った相応のレタッチが要されると思います。
サイズの割にレンズフードが重い事も気になりました。
きゃのんユーザー
欲張らず、200-600とか200-500時にして欲しいですよね。
星撮人
タムロンの解像感はそもそも大幅に不足しているのでしょうか?もし許容できるレベルならば(勿論解像感の良いレンズは好きですが)、むしろシグマの周辺減光や逆光耐性の悪さは使いづらい気がするなぁ しかも価格が相当に違うというのでは...
やま
個人的には、一桁機と組み合わせて一日中手持ちで使えるというのがタムロンの一番のメリットです。
スペックには表されませんが、機動力を確保できるか?というのはとても重要ですね。
シグマのレンズがそれを犠牲にしてでも欲しいくらい優れている性能かというと、あと3歩くらい足りませんね。
moumou
フルサイズで周辺光量低下が気になる人は300mmF2.8+テレコンや600mmF4クラスを使わないと満足できないのでは。
今までの望遠端が400~600mmズームの開放の描写からすればかなり改善してるので周辺減光の影響を受け難いAPS-Cユーザーには魅力的な選択肢だと思います。
MTFもAPS-Cのイメージサークルなら画面全体で均質なので解像も高いレベルで安定してるようです。
(今までのレンズは望遠端開放ではかなり甘い解像でしたからね)
Contemporaryとの画質、重量、価格の差がどのくらいになるかも気になりますね。
にこにゃん
タムロンより大きいのに周辺光量落ちが目立つっていうのが意外ですね。タムロンよりも設計がヘタなのでは
無いでしょうか・・・。また、逆光性能がタムロンより弱いというのは当然の結果だと思います。
タムロンはナノコーティングを施していますから。
ナノクリ望遠レンズに近い逆光性能なのでしょう。
逆光性能は望遠レンズにおいて大事だと思います。
逆光性能が弱いレンズだと、光線状態が厳しくなると
途端に低コントラストになりますね。
ヘビーデューティーやビルドクオリティをうりに
してますが、悪条件に対しての光学性能も
しっかりして欲しいですね。値段が値段ですから。
蛍石FLDの使用によって解像や収差の無さは
とても良くなってきていますが、それ以外は
まだまだ純正には及ばない感じがします。
安曇野朝霧
使用し始めてから、1週間になります。
さすがに手持ちでは重いのですが、短時間なら何とかなります。
オートフォーカスは、サッカー、野鳥、飛行機の撮影でも満足できるレベルだと思います。
4年ほどCANON EF400mm F4 DO IS USMを使用していますが、同等かそれ以上の画像かなと思います。
また、しっかりした造りで、安心感があります。
msumsu
デジカメwatchで伊達淳一さんがレビューしてるけど、周辺減光多めって書いてますね。
600mmでF11に絞ってもけっこう出てます・・・
neco
広角で減光周辺有りはデザインの一部と思いますが、望遠で減光多いのはちょっと、、
穴から覗いているような感覚になってしまいます。
購入はもう少し改善されてから考えます。
話がそれますが、50-500mmの画質改良版は出ないのでしょうか?
50mmスタートというのは非常に使い勝手が良いので期待しているのですが。
KUMA
タムロンのテレ側解像度もシグマの以前の製品より、大分改善しているので問題はさほど感じないのですが、唯一の欠点は動体ものAFの精度です。(レンズ起因なのかボディとのマッチングなのかはわかりませんが。)
シグマでこれが解決されていれば大きな強みですが、逆に同じ程度であればコストパフォーマンスはさほど良くないと感じます。
願わくば、キャノン純正でこの焦点距離域のレンズを同価格帯で出して欲しい所。
逆に、サードの2社は今後はAF精度・速度・重量の観点で頑張って貰いたいものです。
電脳仙人
今年、タムロンの150-600を買ってますから、タムロンの使用感とこのレポートを天秤にかけて、コストバランス的にタムロンで正解だったかと思ってしまいます。逆に情報が少ないContemporaryラインの方が気になります。