・Fujifilm Fujinon XF 35 mm f/2 R WR
- フォーカスリングはモーター駆動で、非常に正確なピント合わせが可能だ。残念ながら、被写界深度目盛りは省略されている。フォーカシングでフィルター枠は回転しない。
- 解像力は、中央は開放で60lpmmを超え(良像の基準値は42-43lpmm)、F4に絞ると77lpmmに達する驚くべき値だ。
- 隅の解像力は中央ほど良くはない(ピークで52-53lpmm前後)。隅は開放が最も解像力が高く、絞るに従ってゆっくりと解像力が低下する。これは、このような明るいレンズでは珍しい現象だ。F2からF11では、非常にシャープというわけではないが隅まで実用的な解像力が得られる。
- このレンズの解像力に関する評価は否定的なものではなく、中央は見事なもので、隅もまずまずだ。
- 軸上色収差は開放では目立ち、残念なことにF2.8に絞っても解消しない。倍率色収差は開放付近では非常に少ない(0.05%前後)が、絞ると急激に大きくなり0.11%に達する。これは中程度の大きさだ。
- フォーカスシフトの問題は全く見られなかった。
- 歪曲はRAWでは-3.49%のタル型で、JPEGでは+0.68%の糸巻き型だった。JPEGでは歪曲が自動補正されているが、これは過剰補正だと思う。
- コマ収差は、このレンズのあまり強くない部分だ。非点収差は、この種のレンズとしては、低いレベルだ。
- 周辺光量落ちは、JPEGでは開放で18%(-0.57EV)で、JPEGを使用するなら周辺光量落ちは気にする必要はない。RAWでは、周辺光量落ちは開放で47%(-1.85EV)に達する大きな値だが、驚くほどの大きさではない。F2に絞ると29%(-1.01EV)、F4では22%(-0.73EV)になり、それ以上絞ってもわずかしか改善しない。
- 逆光耐性のテストの結果は、肯定的なものだった。太陽を画面内に入れると、開放では緑色のゴーストが現れるが、絞るか、太陽を画面の外に出せば解消する。逆光でこれほどコントラストがくっきりしているレンズは、これまでに見たことがない。
- AFはノイズレスだが、無限遠から最短までは0.7-0.8秒でAF速度は平均的だ。スタジオ内のテストでは合焦ミスは1~2%で、AF精度には全く問題はなかった。前ピンや後ピンの傾向も見られない。
- このレンズに弱点があるのは事実で、小さなF2のレンズに厳しい要求をするのは難しいかもしれないが、周辺光量落ちが大きくコマ収差も目立つ。歪曲の問題は自動補正によって引き起こされている。このレンズを購入するなら、妥協している部分に納得する必要があるが、それでも開放からの素晴らしい画質等の多くの見返りがあるだろう。
- 良い点: しっかりとした防塵防滴の鏡筒、中央の驚くほどの画質、隅の実用的な画質、倍率色収差が穏やか、球面収差の問題が無い、逆光耐性が良好、静かで正確なAF。
- 悪い点: 色収差(軸上色収差)が非常に大きい、コマ収差が非常に大きい、周辺光量落ちが大きい、歪曲が目立つ。
解像力は開放から十分に高く、特に中央の解像力は見事ですが、周辺部の解像力は絞っても落ちる一方で全く改善が見られないのが少々気になるところです。歪曲の過剰補正は、ファームウェアのアップデートで改善されるかもしれませんね。サンプルでは、広角レンズとしてはボケが非常に綺麗で、雰囲気のある描写をするレンズという印象です。
rebirth
f1.4のレンズみたいな評価ですね。
絞ると周辺の解像力が下がるって初めて聞きました。
虚弱体質
35ミリ単焦点なのに電子補正前提なんですね。。
APS-C向けの単焦点とはいえF2で35ミリを真面目にやるとかなり大きくなってしまうということなんでしょうか?
通りすがり
光学設計に魔法は無いってことですね。
APS-C向けでこの値段・サイズとF値、インナーフォーカス構成では
電子補正に頼らざるを得ないんでしょう。
マスタング
値段に見合ってませんかねぇ…?。
F1.4より安くて、インナーフォーカス化されているのに小型軽量。防塵防滴耐低温。
健闘していると思います。
F1.4を持っている人が置き換えるにはベストな性能とは言えないかもしれませんが。
sin
サンプル見ましたが、なんか解像度が低いような気がします。F2とはいえXFだからと期待が大きすぎたかもしれません。
とにかく速写性を求めるスナップ向きかもしれませんね。
Golaudchan
レンズ構成が、複雑。この明るさで非球面を複数使わざるを得ないとは。
インナーフォーカスは設計者に厳しいのだろうなぁ。
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujinon_lens_xf35mmf2_r_wr/specifications/
管理人
>sinさん
>サンプル見ましたが、なんか解像度が低いような気がします。
LensTipのサンプルは、シャープネスが最低に設定されているので、他のサイトの標準設定のサンプルと比べると、かなり甘く見えるのでご注意ください。
moto
フジのレンズとはいえ安価であればこんなものという感じか。
とはいえ必要な機能は揃ってるし、「好きな人」向けのレンズという感じかな。
しかし歪曲を過剰に補正する意味が分からない。何かメリットがあるのだろうか?
それにしてもデザインは・・・。フジはボディ、レンズ共に性能はいいのになあ。
sin
管理人さん
シャープネスを最低にしているとは知りませんでした。
レンズの評価をする方法としては妥当ですね。
ご指摘ありがとうございます。
なまず
歪曲については、今週公開予定のファームで改善されるんじゃないかと思います。
ige
サンプル画像を見ましたが、中~遠距離の写真では軸上色収差は目に付きません。軸上色収差のテストは極端な近接撮影で行っているようなので、近接撮影での画質劣化が大きいレンズのように思えます。
サンプルを見て気になったのは四隅の解像度で、画面周辺部まで解像度を維持するものの、四隅で急降下するタイプのようです。公式のMTF曲線も同様の傾向です。RAWで樽型の歪曲をJPEGで糸巻型に過剰補正という謎仕様になっているのは、四隅の解像度の低さを誤魔化すためか?と勘ぐってしまいます(糸巻型に歪曲させると四隅を画面外に持って行けるので)。
製品全体でみると、中央部の解像度の高さや防塵防滴など長所はあるものの、妙にバランスの悪い製品という印象を受けます。
ぱんた
絞って収差が大きくなるレンズはみた事ありますが(XF35mmF1.4も同じ)
周辺画質が悪くなるのは初めてですね(汗)
F1.4の方もデータ上は中心に比べ周辺の解像力が落ちますけども
実写ですと画質の低下は見られなかったと思いますが
F2モデルは落ちてるのが比較的顕著に確認できるでしょうか
saitama
XF35mmF1.4Rの大きな欠点がコマ収差だと思うので、ここは少し抑えて欲しかったな~。
kd
F1.4の方は明るくて、比較的小さく、値段も安いレンズだから、良かったけど、F2でコマ収差が目立つのは・・・