キヤノンEF35mm F1.4L II はこれまでで最もシャープなレンズの1つ

LensTip に、キヤノンの広角単焦点レンズ「EF35mm F1.4L II」のレビューが掲載されています。

Canon EF 35 mm f/1.4L II USM

  • 鏡筒は旧型に比べると大きく重くなっている。フォーカスリングは十分な重さがあり、スムーズに回転する。無限遠から最短までの回転角はおよそ150度と大きく、シグマ35mm F1.4 Art よりもずっと大きい。
  • 35mm F1.4L II の中央の解像力は、開放から39lpmm(良像の基準値は30-32lpmm)で、F2とF2.8で47lpmm付近にまで達する実に素晴らしい値だ(シグマ35mm F1.4 ArtはF2で45lpmm)。F4では48lpmmで、これはOtus85mm F1.4 とシグマ35mm F1.4 Art が持っていたレコード47.4lpmmを超える最高記録だ。
  • APS-Cの隅の解像力は、開放で35lpmm、F2からF8で40lpmmの非常にハイレベルな値をキープしており、最高としか言いようが無い。
  • フルサイズの隅の解像力は、開放では29.4lpmmで、良像の基準値をわずかに下回るが、シグマ35mm F1.4の28.1lpmmを上回る値だ。EF35mm F1.4L II はF1.6-1.8まで絞れば、良像の基準値内になり、F4-5.6では36-37lpmmに達する。これはシグマ35mm F1.4 よりも3lpmm高い値だ。
  • 解像力のカテゴリでは、EF35mm F1.4L II は、これまでにテストした35mmレンズの中ではベストで、これまでで最もシャープなレンズの1つだ。このレンズの開発者に拍手喝采したい。
  • 軸上色収差は、全く問題は見られない。倍率色収差は、絞り値にかかわらず0.04%のごくわずかなレベルで、賞賛に値する。シグマ35mm F1.4 もこれと同程度だが、ニコン35mm f/1.4Gは倍率色収差は0.2%で非常に大きい。
  • フォーカスシフト(絞った時のピント位置の移動)は全く見られない。
  • 歪曲はフルサイズで-0.55%のタル型で、旧型の35mm F1.4L(-1.60%のタル型)や、ニコンの35mm f/1.4G(-1.90%のタル型)、シグマ35mm F1.4(-1.09%のタル型)をノックアウトしている。EF35mm F1.4L II の歪曲の小ささは、このクラスは敵なしだ。
  • コマ収差はフルサイズの隅でも認められず、大口径の広角レンズとしては極めて良く補正されている。このクラスでこれに匹敵するのはシグマ35mm F1.4だけだ。
  • 非点収差はコマ収差に比べると少々目立つが、高いレベルではなく、中程度のレベルにも達していない。非点収差は、シグマがキヤノンに優った最初のカテゴリだ。
  • 周辺光量落ちは、フルサイズでは開放で64%(-2.95EV)で感心はしないが、旧型の35mm F1.4L(70%)や、シグマ35mm F1.4(66%)よりは良好だ。ここではニコン35mm f/1.4G(60%)やツァイス35mm F1.4(55%)がずっと良好だ。
  • 逆光耐性は期待はずれだが、レンズ構成が非常に複雑なので、特別に悪いというわけではない。太陽が画面外のかなり離れた場所にある場合でもフレア・ゴーストが現れるのが、わずらわしい。
  • AFはかなり静かだが、無音ではなく、モーターの音が聞こえる。AF速度は、旧型よりも遅くなっており、シグマと同程度だ。フォーカスリングの回転角が大きくなっているのが理由かもしれない。AFはスタジオ内のテストでは1度のミスもなく、AF精度はわずかな問題も無い。テストに使用した2台のボディで前ピンや後ピンの傾向も無かった。
  • EF35mm F1.4L II は、躊躇なく傑出したレンズだと言うことができる。このレンズは、これまでにテストしたレンズの中で最もシャープなレンズの1つで、テストした大部分のカテゴリで強力なライバル達よりも良好な性能だ。唯一、フレアが弱点で、これさえ無ければ完璧なレンズだったかもしれない。
  • 良い点: とても良好な造り、センセーショナルな中央の画質、良好な周辺部の画質、球面収差の問題が見られない、色収差が目に付かない、コマ収差がこのクラスで最もよく補正されている、非点収差の問題が無い、静かで正確なAF。
  • 悪い点: 周辺光量落ちが顕著、逆光耐性が今一つ。

 

35mm F1.4L II の解像力はこのクラスナンバーワンで、色収差や歪曲も非常によく補正されており、光学性能は極めて優秀と言ってよさそうです。ウィークポイントは逆光耐性で、レンズ構成が複雑なので厳しいのかもしれませんが、高価なレンズなので、ここはもう少しがんばって欲しいところです。