シグマ12-24mm F4 DG HSM Art は広角端は素晴らしい性能だが望遠側は甘い

dpreview に、シグマの超広角ズーム「12-24mm F4 DG HSM Art」のレビューが掲載されています。

Sigma 12-24mm F4 DG HSM Art Lens Review

  • 解像力は、12mmでは開放からとても良好で、絞るとF8までは更に良くなる。解像力は12~16mmでF5.6に絞ったときがベストだ。16~24mmでは全体的な解像力は大きく低下し、この焦点域ではF8に絞ったときがベストだ。隅の解像力は広角側は非常に良好だが、望遠側にズームするにつれて低下する。
  • 色収差はズーム全域で非常に良く補正されており、開放でも少ない。絞ったり、望遠側にズームすると、色収差は若干改善する。
  • 周辺光量落ちは、ズーム全域で驚くほど少なく、広角端の開放でさえ良好だ(12mm開放で0.72EV)。F8まで絞れば、ズーム全域で周辺光量落ちは完全に解消する。
  • 歪曲は12mmでは少しタル型の歪曲が見られる(1.98%)が、これはこの焦点距離では予想の範囲内だ。16mmでは歪曲は完全になくなる。12mmの歪曲は複雑な形で、補正が難しいが、歪曲は大きくないので困ることはないだろう。
  • 透過のテストでは、測定されたT値はT4.6-4.8で、これはF4から若干の光量ロスしていることを示唆している。
  • キヤノンEF11-24mm F4Lとの比較では、キヤノンは我々がこれまで見た広角レンズで最もシャープなレンズの1つで、広角端では、どの絞り値でもシグマより優れており、特に中央の解像力では優っている。望遠側にズームすると、キヤノンは更にシグマを引き離し、16mmでは、解像力に関してはシグマは目に見えて低い性能で、これはF5.6に絞っても同様だ。24mmではキヤノンとシグマの解像力は、月とスッポンほど違う。
  • シグマ12-24mm F4は、周辺光量落ちや色収差、歪曲ではキヤノンEF11-24mm F4Lに優っている。キヤノンは3.7EVの周辺光量落ちに苦しんでいるが、シグマの周辺光量落ちは、広角端の開放でわずか2/3EVだ。歪曲はどちらも良好だが、シグマがわずかに優っている。しかし、キヤノンの歪曲は形がより単純で、後処理で補正はしやすい。
  • 実写でのシグマとキヤノンの比較では、シグマは開放では望遠側では解像力が厳しいが、広角端の解像力ではキヤノンと互角で、色収差はシグマの方が良好だ。20mm以上の焦点距離では、シグマはキヤノンと比べて性能が低下し、これは絞っても変わらない。スタジオの解像力テストでは、シグマは24mmで絞ると性能改善が見られたが、実写で改善が見られないのは、望遠側でかなり深刻なフォーカスシフトが見られるためだと思われる。
  • シグマ12-24mm F4は、望遠端で、開放でピントを合わせた場合と、絞り込んでからピント合わせた結果を見れば分るように、このレンズで望遠端で最高の解像力を得るには絞り込んでピントを合わせなければならない。しかし、中央に最適化すると周辺部を諦めなけらばならない。言い換えると、このレンズで画面全域をシャープにするように最適化するのは、難しいということだ。キヤノンではこの現象は見られなかった。
  • フレア耐性は、キヤノンもシグマもとても良好で、極端に強く不快なフレアは現れない。
  • シグマ12-24mm F4 は広角端では素晴らしい性能だが、残念ながら望遠側ではライバルに対して苦しい。望遠側では深刻なフォーカスシフトが見られ、これは非常に扱いにくい。色収差や周辺光量落ち、歪曲は極めて良く補正されている。12~16mmで高性能な広角ズームを探しているなら、このレンズは非常に価値のあるレンズだろう。

 

シグマ12-24mm F4は、広角側の解像力はかなり優秀のようですが、中間域から望遠側ではキヤノン11-24mm F4Lに後れを取っているようです。とは言え、色収差や周辺光量落ちではリードしており、特に周辺光量落ちの少なさは、超広角とは思えないほどなので、全体としては一長一短と言った感じでしょうか。

ただ、望遠端のフォーカスシフトは、サンプルを見る限りではかなり大きいようなので、この点ではdpreviewの言うとおり少々扱いづらいかもしれませんね。