・Zeiss Batis 85mm f/1.8 (Sony) - Review / Test Report
- 鏡筒は金属製で、造りはツァイスブランドへの期待通りで見事なものだが、表面の仕上げは指紋や傷が非常に付きやすい。ツァイスが、なぜ鏡筒の表面にこのような仕上げを採用するに至ったのかは謎だが、ツァイスはこの仕上げを止めたくはないようだ。
- レンズキャップの出来は業界で最低のものだが、ツァイスはこれも採用し続けている。
- フォーカスリングは、ゴムの部分に極めてゴミが付きやすい。フォーカスリングの動きに問題は無いが、特に素晴らしいわけではない。フォーカシングでレンズの全長は変わらない。
- MF時には、ディスプレイに距離目盛りや被写界深度目盛りが表示される。これは技術的には興味深いものだが、多くの人にとっては、恐らくギミック以上のものではないだろう。
- AFはリニアモーターで、静かで、まずまずの速さだ。
- このレンズには手ブレ補正が内蔵されているが、面白いことにはレンズ名にはそれを示す記述が無い。手ブレ補正の効果についても公表されていないが、実写では3段分前後の効果だった。
- 歪曲は約2%の糸巻き型で、これは中望遠単焦点レンズとしてはかなり期待はずれだ。しかし、自動補正を使えば0.4%になる。
- 周辺光量落ちは、RAWでは開放で2.6EVに達する極めて大きな値で、この明るさのレンズとしては大きすぎる。F2.2に絞ると1EV改善し、1.67EVになる。周辺光量落ちは、F2.8に絞ると1.07EVで許容範囲内になり、F4以上では良好になる(F4で0.69EV)。自動補正を使用すると、周辺光量落ちは開放で1.2EVになり、周辺光量落ちが目立つのは開放時のみとなる。
- 解像力は、開放からすでに画面全域で見事な値で、これ以上は望めないだろう。絞ってもこれ以上は改善しない。F8を超えても回折の影響が少なく、極めて高い解像力を維持しているのは、少しばかり奇妙だ。解像力に関しては、42MP機のテストとしては見事としか言いようがない。
- テストした個体は偏芯はとても少なかった。また、像面の湾曲はわずかだった。
- 倍率色収差は、周辺部で平均0.7ピクセル前後の低い値で、多くのケースで心配はないだろう。
- 玉ボケは、開放では、完璧ではないものの滑らかで縁取りもなく素晴らしい描写だ。しかし、絞るとすぐに円形ではなくなり、F2.2ではカクカクとした形状になる。通常のボケもとても良好だが、パーフェクトではなく、細かいことを言うなら後ボケはいくらかうるさくみえる。前ボケは非常に滑らかだ。
- 軸上色収差は、残念ながらよく補正されておらず、F1.8からF4で目に付く。また、軸上色収差のテスト画像からは、絞りでピント位置が移動していない(フォーカスシフトが無い)ことが見て取れる。
- Batis 1.8/85 は、これまでにテストした中で指折りのレンズだ。このレンズは絞り開放でさえシャープ過ぎるくらいにシャープだ。そして、近接撮影でもこの高画質は維持されている。ウィークポイントは歪曲と周辺光量落ちで、自動補正の活用が必要だろう。ボケはとても良好だが、このレンズよりもっとボケの良いレンズもある。
- 鏡筒はガタがなくクオリティは素晴らしいが、表面の滑りやすい仕上げとゴミの付きやすいフォーカスリング、そして酷い出来のレンズキャップは好きになれない。
- 上記のウィークポイントを考慮に入れてもBatis 1.8/85は見事なレンズで、大いに推薦する。
光学性能の評価は4.5点(5点満点中)で、このサイトではトップクラスの評価となっています。解像力は、レンズに厳しい42MP機のテストでも、開放から隅まで驚きの高さで、文句のつけようがありませんね。
ボケは若干減点されていますが、実写サンプル画像を見る限りでは問題はなさそうです。周辺光量落ちは、開放だと確かに少し目立ちますね。
Luminaire
ツァイスが高性能なレンズを出して、非の打ちどころがない出来栄えだというのは想定通りの結論で、
そこまで褒めた上でようやく出せる本音として、ツァイス以外でもフォーカスリングやズームリングにラバーを採用されることが多いが、使っていればいずれ加水分解でベッタベタしてくるものを採用するのはどうなんだという感覚を
国境を越えたレビュアーの方と共有できたのは嬉しい。
経年劣化の激しいラバーコーティングではなく、エンジニアリングプラスチックでも問題ないと思うのです。
博多湾
最近手放しました。
理由は好みの問題。
私個人の主観だけど、ツアイスらしさ(ツアイス的脚色)が弱いんですよね。
狙った(好きな)絵にならなかったって不満ですね。
pちゃそ
十分な解像度があるので絞りで周辺減光のみをコントロールしやすそうです。
ポートレートにはレンズ補正を切って使いたいですね。