キヤノン「RF24-105mm F4L IS USM」は弱点はあるが優れた性能のレンズ

OpticalLimitsに、キヤノンEOS R用の標準ズームRF24-105mm F4L IS USM のレビューが掲載されています。

Canon RF 24-105mm f/4 USM L IS - Review / Test Report

  • 鏡筒の造りは、EF85mm F1.4L ISで採用された最近の軽量なLレンズの設計哲学を受け継いでいて、古いLレンズのような密度の濃い感じはしないが、とても良好な造りで、プロ用レンズの水準に達している。
  • ズームリングとフォーカスリングは、滑らかに回転する。鏡筒にはズームを固定するためのロックスイッチが用意されているが、ズームの自重落下は全く見られなかった。
  • AFモーターはナノUSMで、AFは非常に速く静かだ。マニュアルフォーカスはバイワイヤ(モーター駆動)で、ピント合わせの精度に関しては、このクラスでベストだ。
  • 手ブレ補正は公称5段分だが、実写では3.5段から最大でも4段分の効果だった。しかし、それでもなお、手ブレ補正は効果は良好だ。
  • 歪曲は、他社の多くのミラーレス用レンズと異なり、キヤノンのRFレンズ(まだテストしたRFレンズは2本だけだが)では自動補正に頼っていない。24mmでは3.3%の強いタル型だが、それでも許容範囲内の大きさだ。その他の焦点距離では、若干~中程度(40mmで0.88%、105mmで1.63%)の糸巻き型だった。
  • 周辺光量落ちは、自動補正OFFでは24mm開放で2.6EV、105mm開放で2.1EVで、これは一眼レフ用のEF24-105mm F4L IS II よりは大きいが、過度に大きいものではなく、ソニーのFE24-105mm F4 G OSSよりはずっと良好だ。自動補正をONにすると、周辺光量落ちは24mm開放で1EVを下回る。
  • 解像力は、24mmでは開放から画面全域で非常にシャープで、F5.6に絞ってもそれほど改善しない。40mmと70mmでは隅でわずかに解像力が落ちるが、それでもなお、とても良好な解像力だ。105mmでは隅で更に解像力が落ちるが、それほど悪くはなく良好だ。105mmでベストの結果を得るにはF8まで絞る必要がある。解像力に関しては、このレンズは非常に良い出来だ。

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  • 倍率色収差は、広角端では画面の隅で2ピクセルを超えており、酷いと言うほどではないが、自動補正を使用しないと、はっきりと目につく。絞ると倍率色収差はある程度改善する。
  • 玉ボケは9枚羽根の円形絞りのおかげで円形を保っているが、ボケの内部は年輪ボケが見られ少しうるさい。通常のボケは、後ボケはとても滑らかだが、前ボケは二線ボケが見られかなり荒い。ボケはそれほど素晴らしいとは言えない。
  • 一眼レフ用のEF24-105mm F4L IS II との比較では、スペック上はほぼ同じだが、性能は格が違うもので、この違いはマウントのフランジバックが短いことによるものだ。
  • このレンズは、弱点はあるものの優れたレンズだ。広角端は画面全域で非常に高性能だが、望遠端では隅が少し甘くなる(とは言え「良好」の範囲内だ)。倍率色収差は最近のレンズとしては若干目立つが、これは後処理で容易に補正できる。最も明確な弱点は恐らくボケだが、標準ズームでボケの良いレンズはほとんどない。まだ改善の余地はあるが、標準ズームの開発は非常に難しいので、キヤノンはとても良い仕事をしている。

 

RF24-105mm F4L ISの光学性能の評価は、5点満点中3.7点程度で、EF24-105mm F4L IS II が21MP機のテストで2.5~3点だったことを考えるとかなり評価が高くなっています。

解像力は、EF24-105mm F4L IS IIよりも全域で大幅に改善していますが、望遠側は開放では少し隅が甘くなるようです。このレンズは、色収差が大きいなどの弱点はあるものの、全体としてはかなり性能が改善されているという印象です。