Zマウント機は近い将来D5のAF性能に追い付く

ImagingResource に、CP+で行われたニコンのインタビューが掲載されています。

Nikon technical Q&A

  • (キヤノンのCEOが、レンズ交換式カメラ事業が2年で半減すると予想していたが、同意するか?)
    ミラーレス市場のリスクは小さいが、レンズ交換式カメラの市場は縮小している。しかし、レンズ交換式カメラの市場が半分になるとは思っていない。CP+の来場者数は、ミラーレス市場に対する強い興味の現れだ。我々は驚くような、刺激的な製品を発表し続けるつもりだ。フルサイズ製品によって市場は勢いを増しており、この勢いを維持したい。
  • (Z14-30mm f/4Sが、14mm開始にもかかわらずフィルター枠を備えているのはZマウントの恩恵か?)
    短いフランジバックと大きな口径は、Zマウントシステムの特徴で、これは全体的な設計に貢献している。Fマウントの広角ズームでは前群が後群よりも遥かに大きくなり、前面のレンズの曲率も大きいが、Zマウントの広角ズームでは、対称性の高いレンズ構成が可能になっており、これが収差の低減につながっている。前玉の曲率を小さくすることができるので、フィルターの取り付けも可能になる。
  • (Zマウントの大三元ズームで、光学性能やAF速度の違いを期待できるのか?)
    ユーザーは、光学性能の面で大きな恩恵を受けるだろう。また、このマウントは高速通信が可能なので、AFの精度とパフォーマンスが向上している。特に70-200mm f/2.8では、非常に高速で正確なAFと、高解像度を実感することができるだろう。超望遠やマクロでも同じようにメリットがある。
  • (高速AFのためには、通信速度はAFモーターと同じくらい重要?)
    レンズをAFで動かす時に、加速するのは簡単だが、それを止めるのが難しい。通信速度が速いと、例えば、1秒間に1回しかAFにブレーキをかけられなかったのが、1秒間に10回ブレーキをかけられるようになり、ブレーキの精度に大きな違いが出る。
  • (一眼レフとミラーレスの位相差AFの仕組みは同じ?)
    基本的な原理は同じだが、ミラーレスと一眼レフは測距のタイミングが異なり、一眼レフはミラーが下がっていないと測距できないが、ミラーレスでは常に測距できる。
  • (Z6とZ7は一眼レフよりも高度な動画機能を備えているが、将来のZマウントレンズで動画用レンズに特有の機能を搭載する予定は?)
    動画に対応するテクノロジーはZマウントレンズに既に組み込まれていて、フォーカスブリージングを抑えており、また、位相差AFの採用でウォブリング(AFの前後の動き)を低減している。全てのSラインのレンズは、常に動画を考慮して設計されている。
  • (ビデオグラファーは手動の絞りリングが好きな人も多いが?)
    マルチコントロールリングは手動絞りにもなる。コントロールリングには、絞りと露出補正の2つの機能を割り当てることができる。絞りは、動画モードに切り替えるとステップではなく連続的に変化する。
  • (Zマウントの登場によるFマウントのカメラとレンズの計画への影響は?)
    強力なラインナップの構築のためにZマウントにリソースを費やしているが、一眼レフも強固な顧客基盤があり、根強い需要があるので、我々はリソースの割当を最適化し、一眼レフにも力を入れたいと思っている。
  • (ZシリーズのAFはD5と同レベルには達してないが、どのように向上させるつもりか?)
    今後の開発についての回答は難しいが、瞳AFがアップデートで組み込まれることを既にアナウンスしている。我々は、更に新しい機能の追加を続けたいと思っている。ZシリーズのAFで、D5の動体追尾性能に追いつこうと開発を進めているところで、それはハードとソフトの両面で、技術的に近い将来に可能になると考えている。

 

Zマウントは光学的に有利なだけでなく、高速通信によってAF面でもかなりの恩恵があるようですね。AF性能でD5をしのぐZマウント機の登場がいつ頃になるのか、興味深いところです。

ただ、ニコンはFマウントにも力を入れていくということなので、まだ、しばらくの間はFマウントの新しいボディやレンズの登場も期待できそうですね。