キヤノン「RF85mm F1.2L」は開放から息を呑むような解像力

OpticalLimits に、キヤノンのEOS R用の大口径中望遠単焦点レンズ「RF85mm F1.2L USM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 85mm f/1.2 USM L - Review / Test Report

  • 鏡筒は金属とハイクオリティなプラスチック製で、造りの品質は際立っている。
  • AF速度は良好ではあるが、フォーカシングレンズ群が重いので、スポーツ撮影用レンズのような速さではない。作動音はほとんどしないが、ナノUSMやSTMほど完全なノイズレスではない。
  • フォーカスリングはバイワイヤ(モーター駆動)で、動きは滑らかで非常に正確だ。
  • 歪曲は自動補正が便利な手段だが、キヤノンは明らかに自動補正に頼っていない。このレンズの未補正の状態の歪曲は-0.008%のタル型で、まさに完璧だ。
  • 未補正の周辺光量落ちは開放では2.2EVだが、この値は、このような大口径レンズでは比較的穏やかだ。F2まで絞ると周辺光量落ちは大幅に減少(0.94EV)し、F4でほぼ解消(0.62EV)する。自動補正有効時は開放で0.61EVで、これは非常に周辺光量落ちが目立つ被写体でかろうじて気が付く程度だ。
  • 解像力は本当に息を呑むような値で、これは単に絞ったときだけでなく、開放のF1.2からだ。中央の解像力は開放から既に素晴らしい値(excellent)で、周辺部はとても良好(very good)のレベルを容易に超えている。絞ると解像力は若干上がり、見事な値になる。

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  • レンズの偏芯は非常によく抑えられている。像面の湾曲は見られない。
  • 倍率色収差は周辺部で平均0.3ピクセル前後で、気が付かないレベルだ。ここではキヤノンのBRレンズが良い仕事をしているようだ。
  • 玉ボケは年輪ボケはわずかしかなく輪郭も見られず素晴らしい。玉ボケは、F1.2からF2までは完全な円形が保たれている。画面の周辺部にいくと、鏡筒が大きいにもかかわらず、比較的早くから口径食の影響が見られるが、隅でもF2に絞ればほぼ円形になり、F2.8で完全に円形になる。
  • 前ボケはとろけるように滑らかだが、後ボケは少々複雑で、サンプル画像のトランプの王冠の部分はかなりうるさい描写になっている。全体的なボケは決して悪くはないが、コントラストの高い部分では若干問題が見られることがある。
  • 軸上色収差がよく補正されている大口径レンズはわずかしかないが、このレンズは完璧ではないものの非常によく軸上色収差が抑えられている。F1.2ではボケに色が付くのが見て取れるが、F1.6で大きく改善し、F2でほとんど解消する。
  • RF85mm F1.2Lは、光学性能の点では卓越した性能のレンズで、これまでテストしたこの種のレンズの中では指折りのレンズだ。口径を考えると解像力は異様に高く、多くのレンズはピークでRF85mm F1.2Lの開放の解像力に届けばいい方だ。ボケはコントラストが高い部分の後ボケの描写が好みではないが、多くの状況では気にならないだろう。玉ボケは上手い描写だ。手ブレ補正は搭載されていないが、非ISのレンズの方が偏芯が少ない傾向がある。もちろん、このレンズを大いに推薦する。

 

光学性能の評価は5点満点中4.66(4+2/3)で、極めて高い評価となっています。このレンズはF1.2の大口径にもかかわらず、開放から画面の隅々まで高解像力で、一昔前では考えられない光学性能ですね。

歪曲収差や色収差も非常によく補正されていて、周辺光量落ちも口径を考えれば許容範囲内と、全体的に申し分のない光学性能と言ってよさそうです。

ボケは焦点位置に近い後ボケが若干うるさく見える場合があるようですが、ほとんどのケースでは滑らかで非常に綺麗という印象です。