「PENTAX-D FA★85mm F1.4 」は際立った光学性能で非常に価値のあるレンズ

Pentax Forums に、リコーの新しい大口径中望遠単焦点レンズ「PENTAX-D FA★85mm F1.4 ED SDM AW」のレビューが掲載されています。

HD Pentax-D FA* 85mm F1.4 ED SDM AW Review

  • 前玉は凹レンズで、多くのレンズの前玉は凸レンズなので、これは珍しいものだ。前玉はSPコーティングされているので、簡単にクリーニングできる。
  • 鏡筒は総金属製で、仕上げは他のスターレンズ同様に非常に高品質だ。
  • サイズは非常に大きいが、K-1とのバランスは良好だ。K-3との組み合わせではレンズが少し大きいが、それでもなお、使い勝手は良好だ。

  • このレンズは大きくて重いが、カメラに装着して手に取ると、予想よりも遥かに快適に使える。
  • AFモーターは最新のSDMで、作動音はほとんどしない。AFは概して正確で反応が速くスピード感がある。AFはライブビュー時でもOVF使用時と同様に反応がよい。
  • フォーカスリングは十分な重さがあり、MFは快適だ。逆方向に回すときの遊びはない。最短から無限遠までの回転角は165度だ。

  • スタジオのAFテストでは、このレンズは、これまでテストした中で最高の速さに近く、特に暗所では、極めてAFが速いD FA70-210mm F4よりも高速で、驚くほどAFの速いもう1つのレンズDA★11-18mmよりも高速だ。新レンズが登場するたびにAF速度が向上しており、最近のペンタックスのAFの進歩は称賛に値する。
  • AFの迷いはほとんど見られず、唯一AFが迷ったのは、星明かりの下での撮影時だけだった。

  • 発色はニュートラルで色乗りが良く、ポートレートに最適だ。ディテールと階調はとても豊富だ。このレンズは極めてシャープだが、肌の色調や荒れを誇張することなく、解像力とのバランスを上手くとっている。
  • 光芒は期待していなかったが、F8以上では補足形の良い光線が現れる。最近のレンズではよい光芒が見られるレンズはまれで、このレンズの光芒は嬉しいサプライズだった。
  • FA77mm F1.8 Limitedとの比較では、D FA★85mm F1.4と描写は近く、これは77mmの高い品質を示すものだが、85mm F1.4はパープルフリンジが少ない点と、開放から中程度の絞りで中心部の解像力がより高い点で77mmより優れている。

  • 解像力テストはチャートを焦点距離の100倍(8.5メートル)で撮影して行った。中央の解像力は完璧に近く、F1.4でも素晴らしいが、絞るとF8までは少し改善する。開放時の解像力はこれまでのKマウントのレンズで最も高い。
  • 隅の解像力は十分だが、開放付近では中央よりもずっとソフトになる。F5.6まで絞ると大幅に改善するが、それでも中央の解像力には及ばない。この結果は、このレンズがポートレートで被写体を周囲から分離するのに最適化されており、(開放から)隅々までシャープになるようには設計されていないことを示している。

  • 周辺光量落ちは開放で1.9EVで、自動補正を使わないと目立つ。この結果は、正直言って素晴らしいとは言えない。F2に絞ると周辺光量落ちは0.9EVに改善し、F2.8以上では気付きにくいレベルになる。
  • ボケの描写は驚くほどで、開放では期待通りバターのように滑らかだ。玉ボケは丸く均一で、うるさく見える要素はない。このボケの品質が絞り込んでも維持されるのは、他のレンズにはない素晴らしい特性だ。
  • 逆光のテストでは、太陽が画面の中心にある場合にはフレアやゴーストは全く発生しなかった。太陽が画面の隅にある場合には、F8以上でゴーストが見られるが、これは控えめなものだ。開放付近ではフレアやゴーストは見られない。このレンズは、どのような場合でも、フレアやゴーストは目立たない。

  • 色収差は画面中央では目立たないが周辺部では見られ、それほど印象的ではないが、F5.6以上に絞れば解消する。
  • 歪曲は0.2%とほとんど無く、実写では全く影響はない。
  • わずか数日間のテストでも、息を呑むようなレンズがある。このD FA★85mm F1.4はそんなレンズだ。このレンズの光学性能は際立っており、ボケは最高クラスで、色の再現性と階調も見事だ。大きなサイズと価格が問題にならないなら、目立った欠点はなく、非常に価値のあるレンズだ。

  • 良い点:頑丈で高品質な造り、開放時の中央の解像力、滑らかなボケ、歪曲がほとんどない、豊かで美しい色再現、これまでテストした中で最速のAF、フレアとゴーストが良く抑えられている、満足のいく光芒。
  • 悪い点:周辺光量落ち、絞りを開いたときの色収差、開放付近で周辺部の解像力が高くないこと。

 

D FA★85mm F1.4は、現代のレンズらしいシャープさとボケの美しさを両立したレンズという印象です。テストの結果では、周辺部の解像力はそれほど高くはなく、色収差の補正も完全ではないようですが、実写での被写体が浮き上がるような立体感のある描写はとても魅力的ですね。