ソニー「α7C」は高画質でAFも優秀だが小さなEVFがマイナスポイント

DPReviewに、ソニーの軽量コンパクトなフルサイズミラーレスカメラ「α7C」のレビューが掲載されています。

Sony a7C review: Compact size, big sensor image quality

  • α7Cはマグネシウム合金のモノコック構造で、非常にしっかりとした造りだ。グリップは他のα7シリーズのカメラよりも浅いが、握り心地は悪くない。
  • ジョイスティックは搭載されていないが、AF測距点をタッチパネルで選択できる。これは優れたジョイスティックほどスムーズではないが、小型化のトレードオフの一つだろう。
  • EVFや最近の他のカメラに比べて、顕著に小さく低解像度だ。236万ドットの解像度はα7 III やパナソニックS5と同じだが、倍率は0.59倍とライバル機よりもかなり小さい。このEVFが、小型化のための最も大きなトレードオフだ。

  • シャッターユニットも新型で、最高速は1/4000秒だが、電子シャッターで1/8000秒が使用できる。
  • よいニュースは、小型化のためにバッテリー容量が犠牲になっていないことで、大型バッテリーのNP-FZ100が採用されており、バッテリーライフは実に優れている。
  • RAWの画質は高感度に至るまで、ノイズが少なく、ディテールが豊富だ。JPEGは半径の小さいシャープネスのおかげで、細部のディテールが非常に豊富だ。色も緑が黄色っぽくなる傾向が少なくなり見栄えがよい。高感度のノイズリダクションも非常に優れている。

  • α7Cとα7 III の最も重要な違いは、α7Cは電子先幕シャッターと電子シャッターしか搭載されていないことだ。電子先幕シャッターは速いシャッター速度で、ボケが歪むことがある。α7 III にはこれを回避できる完全なメカシャッターが搭載されている。
  • 圧縮RAWは出来が悪く、カメラのダイナミックレンジを活かすには非圧縮RAWを使う必要がある。非圧縮のRAWは十分なダイナミックレンジがあり、厳しい照明条件下でも撮影が可能だ。
  • AFは動体追尾が上手く機能し、家族の写真からスポーツまで、ほとんどのものに対応する。AFは動画モードでもスチル同様に良好だ。

  • 動画は4K24pは全幅読み出しで最もディテールが豊富だが、ローリングシャッター効果が目立つ。4K30pはそれほどローリングシャッター効果は目立たないが、1.2倍にクロップされる。フルHDはかなりソフトな画質で、エイリアシングが発生しやすい。
  • 動画は8bitなので、Logを使った場合でも、グレーディングの調整範囲は限られる。熱心なビデオグラファーには、他にもっと良い選択肢があるだろう。
  • 性能面ではα7Cは基本的にα7 III と同じで競争力はあるが、それ以上のものではない。しかし、α7Cの魅力はそのサイズで、キットレンズとの組み合わせではライバルよりも小さいシステムが組める。

  • 小さくコンパクトカメラのようなファインダーや、ジョイスティックの省略は明らかなトレードオフだが、その分、小型軽量でバッテリー寿命は長い。α7Cは旅行用として最高のカメラだ。
  • ソニーα7Cは小型化のために性能面で犠牲にしている部分は少なく、画質は非常に良くAFも優れているが、小さなEVFはその価値を少し落としている。動画とメニューシステムはライバルほど洗練されていないが、サイズの小ささとバッテリー寿命の長さは強力なコンビだ。

  • 良い点:優れた画質、素晴らしいAF、トップクラスのバッテリー寿命、システムを小さくできる沈胴式のキットズーム、USB充電、小型にもかかわらず5軸手ブレ補正を内蔵、小型化で造りの品質が犠牲になっていない。
  • 悪い点:ダイヤルが減っている、EVFが非常に小さい、カード書き込み中にメニューが操作できない、メニューが複雑で操作しにくい、完全なメカシャッターが無いのでボケが歪むことがある、圧縮RAWの出来が悪い、一部のライバルにある10bitの録画が無い。

sony_a7c_dp_030.jpg

α7Cの総合評価は86点の銀賞で、α7 III が89点の金賞と比べると一回り低い評価になっています。性能的にはα7 III ベースなので、画質やAFなどは十分以上の性能で高評価ですが、一方で小さいEVFやメカシャッターが電子先幕のみ、ジョイスティックの省略といった仕様が評価を落としているようですね。

とは言え、このコンパクトさはとても魅力的で、α7Cは気軽に持ち歩けるフルサイズ機が欲しい人には、非常に良い選択肢になりそうですね。