キヤノン「RF70-200mm F2.8L IS USM」は非常にコンパクトで一度使うとEF版には戻れない

DigitalCameraWorld に、キヤノンのコンパクトな大口径望遠ズーム「RF70-200mm F2.8L IS USM」のレビューが掲載されています。

Canon RF 70-200mm f/2.8L IS USM review

  • このレンズはEF版の70-200mm F2.8と比べて、全長は4分の3、重さは3分の2で、これはRF版の大きなメリットだ。
  • 鏡筒なEF版のインナーズームから繰り出し式に変わっており、広角端では全長がわずか146mm(EF版は199mm)と、このクラスで最短のレンズとなっており、カメラバックに立てて入れることができる。重さはEF版の1480グラムに対して、わずか1040グラムだ。
  • 手ブレ補正はEF版はわずか3段分の効果だが、RF版は5段分だ。また、最短撮影距離はEF版の1.2mに対して70cmまで短縮されている。しかし、実際の最大撮影倍率はそれほど高くない。

  • このレンズは笑ってしまうほど小さく、非常に使いやすいが、繰り出し式ズームはキットレンズっぽく、プレミアムレンズでは少し違和感がある。
  • 他のLレンズと同じ一級品の防塵防滴のシーリングを備えているが、しぶきやホコリの多い環境でズーミングを繰り返したときに、水やホコリがシーリングの中に入るのではないかと思ってしまう。キヤノンは空気は通し水やホコリは防ぐシーリングを使って対策をしているが、それでも異物が侵入するリスクは(インナーズームと比べて)高くなるだろう。
  • このレンズは繰り出し式を採用したことで、テレコンに対応できないという深刻な問題があり、これは焦点距離を伸ばしたい人にとっては大きな欠点だ。

  • ISにモード3が追加され、このモードではシャッターを切った瞬間しかISが作動しないので、被写体を追う時に自然な視界を得ることができ、バッテリーも節約できる。
  • 画質は全ての点でRF版がEF版よりもわずかに上だ。それほど大きな差ではないが、解像力もコントラストも全体的に少し改善しているのは間違いない。
  • 解像力はF4でピークになるが、開放でもかなりシャープなので、絞り値に関係なく素晴らしい画質が得られる。
  • AFは強力で、EF版よりも際立って速くキビキビと動く。EF版は特に動画では作動音が目立つが、RF版のツインナノUSMは、滑らかで忍者のように静かだ。

  • AF精度は初期のファームでは前ピンの問題があったが、最新ファームでは修正され、他のRFレンズと同様の信頼性がある。EOS R5/R6との組み合わせではキヤノンのAFの猛威を感じることだろう。
  • ISはEF版よりも大幅に安定していて、望遠端で撮影すると、すぐに違いが分かる。
  • スタジオでの解像力テストでは、中央は全ての焦点距離で開放から優れた値で、全域でシャープだ。隅の解像力はそれほど際立っているわけではないが、焦点距離と絞り値にかかわらず一貫して良好な値だ。

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  • 色収差は、広角側では高コントラストの部分では目立つが、135mm以上では無視できるレベルになる。
  • 歪曲は70mmではタル型になるが、直線的な被写体でない限り目立たないはずだ。90mm以降は糸巻き型になるが、200mmでも気になるほどの大きさではない。テストは全て自動補正を無効にして行っている。
  • RF70-200mm F2.8L IS USMの画質はEF版よりも少し鮮明で、繰り出し式ズームのおかげで27%もコンパクトだが、価格は大幅に高く、テレコンとの互換性がない。価格とテレコンの使用の可否は、多くの人を遠ざける要因になるかもしれない。

  • その他の全ての点で、このレンズは明らかにEF版に優っている。ISの安定性は遥かに上で、カメラバッグに立てて収納できるほど小さく、AFは速く静かで、軽いので一日中振りまわすことができる。
  • 高価なレンズだが、RFマウント機の性能を最大限に引き出したい場合は、がんばってこのレンズを使うことを勧める。このレンズを使った後は、大きくかさばるEF版に戻ることはできない。

  • 良い点:EF版と比べて大きさが3/4で重さが2/3、5段分の効果の手ブレ補正、静かで滑らかなAF。
  • 悪い点:価格がEF版の2倍(※国内では1.4倍程度です)、繰り出し式ズームはキットレンズを思わせる、テレコンが使えない。

 

ニコンはZマウントの70-200mm f/2.8 Sで画質の改善に力を入れてきましたが、キヤノンはRF70-200mm F2.8Lで軽量コンパクト化に力を入れていて、両社で方向性が分かれたのが興味深いところですね。

このレンズは大幅に軽量コンパクト化しながら、画質も改善され、AFやISも進化していて、非常に使い勝手の良いレンズに仕上がっているという印象です。ただ、大口径の望遠ズームでテレコンが使えないのは、大きな欠点ですね。