ソニー「FE35mm F1.8」は周辺光量落ちがかなり問題

LensTipに、ソニーのEマウント用の広角単焦点レンズ「FE35mm F1.8」のレビューが掲載されています。

Sony FE 35 mm f/1.8

  • フォーカスリングはバイワイヤ(モーターによる駆動)で、適切な重さがあり滑らかに動く。最短から無限遠までの回転角は約130度だ。

  • 中央の解像力は開放から実用になり、絞ると急速に改善する。F2.8で既に非常に良好な解像力で、ピークのF4とF5.6では70lpmmに達する(良像の基準値は39-41lpmm)。この解像力はより高価なSonnar 35mm F2.8よりも遥かに優れている。

  • 隅の解像力は開放では許容範囲を下回っており、適切な解像力を得るにはF2~F2.2まで絞る必要がある。ピークのF5.6では50lpmmをわずかに超える値で、中央よりもかなり低い。周辺部の解像力には際立った部分はないが、それでもなお、幅広い絞り範囲で鮮明な画像が得られる。解像力の評価は肯定的なもので、開放時の隅だけが弱点だが、少し絞れば改善するので許容範囲内だ。

sony_fe35mmf18_mtf_lt_001.jpg

  • 軸上色収差は非常に目立ち、1段絞っても目に付く。このレンズは低分散レンズを一切使用していないが、これが裏目に出ていると思う。軸上色収差のテスト画像では、フォーカスシフトは見られない。
  • 倍率色収差は軸上色収差よりもずっと良好で、開放付近では無視できるレベルだ。絞り込むと倍率色収差は増え、F4からF22で0.06%~0.07%になるが、これは心配する必要がないレベルだ。

  • 歪曲はフルサイズでも0.39%のわずかな糸巻き型だ。このレンズは、歪曲を電子補正ではなく、光学的に補正しているのは嬉しい。
  • コマ収差はAPS-Cの隅では見られないが、フルサイズの隅ではかなり目立つ。しかし、1段絞れば、コマ収差は大幅に改善される。
  • 非点収差はわずか2.4%の素晴らしい値で、これは称賛に値する。

  • 玉ボケはとても綺麗で、非球面レンズを使用しているにもかかわらず内部は非常に均一で、年輪ボケも見られない。縁取りは絞ると現れるが、それほど強いものではない。口径食は2段絞っても解消されない。
  • 周辺光量落ちは、開放で67%(-3.17EV)と非常に大きいことに加えて、絞ったときの改善がとても遅く、かなり問題がある。F2.8では64%(-2.98EV)、F4で61%(-2.76EV)で、更に絞れば改善はするが、F8で56%(-2.37EV)、F16でも49%(-1.95EV)で、満足の行くレベルではない。このレンズは、どのような絞り値でも周辺光量落ちが避けられない。

  • 逆光耐性はとても優れていて、開放ではほとんど問題はなく、絞ると若干のゴーストが出るが、それほど強烈なものではない。
  • AFは完全に無音だ。α7R II 使用時のAF速度は最短から無限遠までは約1秒と遅いが、最新のα7R IVとの組み合わせでは約0.3秒と非常に速くなる。AFを外したのは2%未満で、AF精度は全く問題ない。
  • このレンズの欠点(開放時の隅の画質、周辺光量落ち、コマ収差、軸上色収差)は、この種の小型の大口径広角レンズでは、すべて予想の範囲内のことだ。周辺光量落ちは常に目立ち、場合によっては妥協が必要だが、全体として、レンズ性能に関しては深刻な問題はない。しかし、700ドルの価格は高すぎると思う。

  • 良い点:頑丈でシーリングされた鏡筒、中央の優れた画質、倍率色収差が穏やか、球面収差の問題が見られない、歪曲が無視できる、非点収差が非常に少ない、優れた逆光耐性、素晴らしいボケ、静かで正確なAF。
  • 悪い点:開放時の隅の画質が今ひとつ、絞ってもあまり改善しない非常に強い周辺光量落ち、顕著なコマ収差、軸上色収差が目立つ。

 

解像力は開放時は隅が若干甘いですが、全体として十分なもので、無印レンズとしては十分な性能という印象です。逆光耐性の良さとボケの綺麗さはポイントが高いですね。

ただ、周辺光量落ちはかなり大きく、絞り込んでもあまり改善しないので、被写体によっては少々使いづらいかもしれません。また、コマ収差が目立つので天体写真にはあまり向かなそうですね。