Camera Labs に、ニコンのZマウント用の大口径広角ズーム「Z14-24mm f/2.8 S」と「AF-S14-24mm f/2.8 G」「Z14-30mm f/4 S」との比較レビューが掲載されています。
・Nikon Z 14-24mm f2.8 S review
- 重さは650グラムで、1000グラムのFマウント用のAF-S14-24mm f/2.8Gと比べると軽量で、ソニーとシグマのEマウント用のF2.8広角ズーム(847グラムと795グラム)よりも軽量だ。
- フードにフロントフィルターが取り付けられるが、112mmの巨大で高価なフィルターが必要だ。
- フォーカスリングは他のZレンズと同様に、回す速さによって回転角が変わり、ゆっくり回せば正確なピント合わせができるが、リニアな動きに切り替えることはできない。このため、動画で滑らかにフォーカシングするのはかなり難しい。
- 鏡筒の有機ELディスプレイは、デフォルトの設定では日当たりの良い場所では見にくいが、設定で明るくすることができる。
- AF精度は非常に優れており、40枚の一連の撮影でフォーカスミスはなかった。AF速度は無限遠から最短まで0.2秒と極めて速い(AF-S14-24mm f/2.8G+FTZでは0.5秒かかる)。AFの作動音はわずかにあり、動画では内蔵マイクからかすかに音を拾う。
- フォーカスブリージングは無限遠から最短で、24mmで2%、14mmで1%で、これはZ14-30mm f/4Sより少し大きい値だが、4~5%のAF-S14-24mm f/2.8Gよりも優れている。
- このレンズはズーミングではピント位置が変わらない(AF-S14-24mm f/2.8Gはズーミングでピント位置が変わる)。
- ズームリングは重く、1本の指で回すことはできない。コントロールリングは滑らかで小指でも簡単に回すことができる。
- F2.8以下の明るいレンズは軸上色収差が出やすいが、このレンズは軸上色収差がほとんど見られず、とても優れている。また、フォーカスシフトも見られない。
- 解像力テストでは、APS-Cの隅は開放からズーム全域で非常にシャープだが、フルサイズの隅はわずかに甘くなる。像面湾曲はズーム全域でほとんど見られない。
- 14mmでの解像力の比較:AF-S14-24mm f/2.8Gとの比較では、中央はZ14-24mm f/2.8Sが若干シャープで、周辺部に行くほど差が大きくなる。Z14-30mm f/4SとのF4での比較では、中央はZ14-30mm f/4Sが少しシャープだが、APS-Cの隅ではZ14-24mm f/2.8Sの方がシャープになり、フルサイズの隅では明らかにZ14-24mm f/2.8Sがシャープになる。
- 24mmでの解像力の比較:Z14-24mm f/2.8Sは画面全域でAF-S14-24mm f/2.8Gよりも優れている。Z14-30mm f/4Sとの比較では、Z14-24mm f/2.8Sは、F4でも隅はZ14-30mm f/4Sには及ばない。
- 解像力テストでは、全体的にZ14-24mm f/2.8SはFマウントのAF-S14-24mm f/2.8Gよりも優れている。そして、Z14-30mm f/4Sも以前のレビューで推薦されたのが正当な評価だったことを示している。
- 遠距離の実写テストでは、Z14-24mm f/2.8Sはズーム全域で非常に良好に見えるが、望遠端の隅はわずかに甘くなる。
- 14mmでの遠景の比較:AF-S14-24mm f/2.8GはZ14-24mm f/2.8Sよりも明らかに甘い。Z14-30mm f/4Sと比べても、フルサイズの隅ではZ14-24mm f/2.8Sは明確にリードしている。
- 24mmでの遠景の比較:AF-S14-24mm f/2.8GはZ14-24mm f/2.8Sより周辺部が顕著に甘くなる。Z14-30mm f/4Sは、解像力チャートの時と同様にZ14-24mm f/2.8Sよりも隅がシャープだ。
- 遠距離のテストでは、Z14-24mm f/2.8SはAF-S14-24mm f/2.8Gよりも優れているが、Z14-30mm f/4SはZ14-24mm f/2.8Sに僅差で迫っている。
- 周辺光量落ちは未補正ではF2.8では比較的目立つが、レンズプロファイルで上手く補正できる。
- 歪曲は14mmではタル型がかなり目立ち、24mmでは若干の糸巻き型になる。
- コマ収差は広角端ではかなり良く補正されている。望遠端では少しコマ収差が見られるが、AF-S14-24mm f/2.8GやZ14-30mm f/4Sよりは良好だ。
- 玉ボケは輪郭が強く、うるさくなりやすい(AF-S14-24mm f/2.8GやZ14-30mm f/4Sも同様)。年輪ボケは比較的目立たず、隅の口径食もかなり穏やかだ。軸上色収差による色付きも見られない。
- 逆光のテストでは、フレアやゴーストが非常に少なく、コントラストの低下もほとんど見られない。これは複雑なレンズ構成のズームとしては素晴らしい結果で、逆光耐性はAF-S14-24mm f/2.8Gよりも遥かに優れている。
- AF-S14-24mm f/2.8Gとの比較では、ほぼ全ての面でZ14-24mm f/2.8Sが優れているが、唯一、後ボケはAF-S14-24mm f/2.8Gの方が柔らかい。
- Z14-30mm f/4Sとの比較では良い勝負で、条件によってはZ14-30mm f/4Sの方が更にシャープなこともあった。Z14-30mm f/4Sは小型軽量でフィルターも小さな82mm径のものが使用でき、価格も半額なので、引き続き大いに推薦できるレンズだ。
- Z14-24mm f/2.8Sは、ワイド端がソニーの12-24mm F2.8GMのように広くならなかったのは残念だが、これはフロントフィルターを装着可能にするというニコンの目標と相反するものだったのだろう。このレンズの唯一の欠点は、ボケが少しうるさいことだ。
- このレンズは優れた設計の超広角ズームで、コントラスト、解像力、AF速度とAF精度、色収差、コマ収差の全てのテストで非常に優れた性能を発揮しており、45MPのZ7との組み合わせでもとても優れた画質が得られる。ニコンは価値のある大三元ズームを開発した。大いに推薦する!
- 良い点:DXの範囲での非常に優れた解像力とコントラスト、軸上色収差とコマ収差がほとんど見られない、優れた逆光耐性、口径食が少ない、高速で信頼性の高いAF、ズームしてもピント位置がずれない、ゼラチンフィルターが使用可能。
- 悪い点:ボケがもっと柔らかければよかった、フィルター径が大きい、価格が高い、付属のポーチが薄っぺらな造り。
Z14-24mm f/2.8Sは、MTFから期待した通りの非常にシャープでクリアな描写という印象です。
神レンズと言われているAF-S14-24mm f/2.8Gと比較してもかなりの性能差があるようで、Z14-24mm f/2.8Sは、広角レンズに有利なショートフランジバックのマウントの効果が如実に現れていますね。
F4のZ14-30mm f/4Sとの比較では、広角端ではZ14-24mm f/2.8Sが、望遠端ではZ14-30mm f/4Sが優れているようで、Z14-30mm f/4Sもなかなか健闘しているという印象です。F2.8の明るさに特にこだわりがなければ、Z14-30mm f/4Sが良い選択肢になりそうですね。
Fユーザー
神レンズの2.8GでもZレンズとまるで勝負にならないとは。
マウントの違いはやっぱ大きいですね。
zae
仕事で特に広角レンズが多いとミラーレスに移行するしかない感じですね
まだまだZレンズ少ないですけど
カタスマー
やはり広角はZマウントの強みが出ますね。
ズームでこの性能になるなら、それなりの実用的なサイズで収差皆無の20mm f1.2や14mm f1.8とかも作れるんでしょうか?
そしたら星撮りの方は大歓喜ですね。
Zユーザー
フォーカスリング回す速度で回転角が変わるのはスチルモードの時だけで
動画モードの時は回す速度変えても一定になります。
動画でなめらかなフォーカシングが難しいは間違っていますね。
ぱぶろん
14mmの遠景周辺での2.8Sと4Sとの差
文章からは大きな差がない印象を受けましたけど、画像を見たらちょっと比較にならないくらいの差がありますね...
14mmにもなると3mを超えると無限に突入しちゃうんでスナップでも遠景のほうが参考になるかもしれません
ウォルサム
「Zマウントならでは」みたいな印象を受ける方は多そうですし、実際わたくしもそう思っていました。
が、いざ現物を見ると後玉径は意外なほど小さい上、センサー面からの距離は広角端でも離れています。おそらくミラーレス用であればどのマウントでも採用できる光学系でしょう。
それはともかく、この高性能と明るさを驚くべき軽さに収めてきたのには驚愕です。14-30と並んで、Zは広角に魅力的なラインナップが揃いましたね。
まる
大きなボケや超望遠に拘らないなら、大三元とテレコンを揃えておけばあとは撮影に専念するだけの理想を作る期待に応えるレンズですね。FTZに頼りつつZ24-70/2.8を手に入れ次は70-200/2.8と思っていたところにコレを見せつけられで、軽さまで実現したことにこれは広角が先か?の誘惑を楽しんでます。来年のZ8か9?が出るまでにはお迎えしたいです。
X3
ウォルサムさんが言及されてますが、バックフォーカスやマウント径がギリギリを攻めたものでないことが、何らかの布石だと良いですね。