Sony Alpha Blogに、タムロンのAPS-C用の大口径標準ズーム「17-70mm F/2.8 Di III-A VC RXD(Model B070)」のレビューが掲載されています。
・Tamron 17-70mm F2.8 Di III-A VC RXD
- 造りの品質は良好で、他のタムロンのFEレンズのズームと同等だ。FEレンズシリーズと同様にフィルター径は67mmだ。
- このレンズは全長119mm、重さ525グラム(ソニーE16-55mm F2.8 G は全長100mm、重さ494グラム)で、他のAPS-C用の標準ズームよりも大きく重い。
- AFは速く静かで、正確だ。瞳AFと動体のトラッキングは非常に上手く機能する。
- 解像力は、この種のズームとしては素晴らしいもので、中央から隅まで均一性がとても高いが、望遠端の開放時は解像力が低下し「良い(good)」の値にしかならない。
- ポートレートの作例では、17~50mmまでは開放から優れた解像力だが、70mm開放では解像力が明確に落ちる。滑らかな背景のボケと高解像力を両立するには、50mmが最もバランスが良い。
- 周辺光量落ちは開放ではかなり目立つ。絞ると、17mmではF11で、35mmではF5.6で、55mmと70mmではF8で周辺光量落ちは解消する。
- 歪曲は17mmではタル型、で35~70mmではかなり強い糸巻き型になる。
- 倍率色収差は、70mmを除けば非常に少ない。
- 逆光耐性は良好だ。光芒はズームレンズとしては満足の行くものだ。
- 玉ボケはズーム域と絞り値にかかわらず、十分に円形を維持している。玉ボケの内部は、望遠側(50~70mm)では強い年輪ボケが見られ、輪郭に色付きが目立つ。後ボケは良好で、雑然とした背景でも非常に柔らかくボケる。
- 発色は自然でとても良好だ。コントラストも優れている。
- 手ブレ補正は、IBIS非搭載機では大きな恩恵がある。
- 動画のAFは非常に上手く機能するが、E16-55mm F2.8 Gと比較すると、近距離から遠距離に被写体を変えると、再フォーカスに時間がかかる。この場合、17-70mm F/2.8はレンズが動き始めるまでに約1秒待つ必要があり、その後素早く合焦する。E16-50mm F2.8 Gは0.2秒で再フォーカスが始まる。
ソニーE16-55mm F2.8 G との比較
- 解像力は、タムロンとソニーは非常によく似ていてどちらも優れているが、唯一、広角端の隅だけはタムロンの方が少し劣っている。タムロンは70mm開放ではあまり性能は良くないが、F4に絞るとすぐに優れた性能になる。ソニーは70mmをカバーしていないので、70mmはタムロンのアドバンテージだ。
- ボケはタムロンもソニーも良好だが、ソニーは玉ボケの年輪ボケが遥かに少なく、玉ボケではソニーが明らかに優っている。
- 色再現はどちらのレンズも非常に良好だ。
- 歪曲は広角端ではソニーの方が大きいが、35~55mmではソニーの方が小さい。
- 色収差はタムロンの方が若干優れている。
- 逆光耐性はソニーが多少優れていて、光芒はソニーが優れている。
- 結論:17-70mm F2.8は、AFの信頼性が高く、背景のボケはソフトで、色再現に優れ、解像力も非常に優れている、ウィークポイントは70mm開放時の解像力が「良い(good)」にしかならないことと、玉ボケに強い年輪ボケが見られることだ。ソニーE16-55mm F2.8 Gは、よりコンパクトで玉ボケが綺麗で、逆光耐性と光芒が優れている。
- IBIS非搭載のボディを使用していて動画のプライオリティが高い人で、玉ボケの年輪ボケが問題にならなければタムロンを強く勧める。
- 良い部分:17~55mmの画面全域の優れた解像力、滑らかな後ボケ、非常に優れた色再現、肌の優れた描写、素晴らしいAF、防滴構造、良好な造り、色収差が少ない、玉ボケの形。
- 平均的な部分:逆光耐性、光芒、価格、周辺光量落ちが大きく絞っても改善が遅い、鏡筒にボタンが無く操作系が最小限、サイズと重さ、近距離から遠距離への動画AF。
- 悪い部分:玉ボケの強い年輪ボケ、70mm開放時の解像力、歪曲が大きい。
タムロン17-70mm F/2.8は望遠端の開放時だけ少し甘くなるようですが、1段絞ればかなりシャープになるので、大きな問題はなさそうです。ポートレートの作例では、この70mm開放時の柔らかさが良い方向に作用しているという印象です。
玉ボケに関しては、かなりはっきりとした年輪ボケがあり輪郭も目立つので、今ひとつですが、後ボケは滑らかで悪くないですね。
TYPE R
うーん、このボケはちょっといただけないな。
VC付いてるのは魅力的なんだけど。
くーふく
55mmまではソニーとほぼ同じでその上の焦点域はおまけで使えます! と考えると大変お買い得な気はします。
胡麻斑
24-70/2.8系のボケ問題はなかなか解決に辿りつかない難題なんでしょうね。
惜しい感じ
にこにこん
とても興味あるズーム域と絞り値です。
各社研究してるかはわかりませんが、商品化しないのは、そこが理由なのでしょうか。
ぽにょ
ニコニコンさん
他社が出さないならウチが出そう、というタムロンの心意気が好きです。
RGVΓ
最近は風景写真でも玉ボケを脇役として入れる写真を撮る方が多いので年輪ボケは正直勘弁して欲しいところではあります。非球面レンズを使用すると年輪ボケは出やすいのですが、球面収差を少し残すことで年輪ボケを目立たなくし且つ2線ボケを避けるようにしているようです。タムロンレンズはとろけるようなボケが好評なため、もしかしたら球面収差を排除しすぎたのかもしれないですね。レンズ構成図を見るとタムロンは非球面レンズが3枚でソニーは4枚使用しているようですのでソニーの方が収差の調整が長けているのかもしれませんね(もしかしてミノルタのノウハウかな)。