富士フイルム「XF50mmF1.0 R WR」は期待を大きく下回る性能

LensTipに富士フイルムの大口径中望遠単焦点レンズ「XF50mmF1.0 R WR」のレビューが掲載されています。

Fujifilm Fujinon XF 50 mm f/1.0 R WR

  • フォーカスリングは電子式で、非常に正確なピント合わせができる。フォーカスリングの回転角は約180度で、リングを非常にゆっくりと回した場合は回転角は大きくなる。
  • 解像力は、中央は開放で48lpmmに達しており、良像の基準値(44~45lpmm)を少し上回っている。絞ると画質は急激に改善し、F4でピークの81.5lpmmに達する。
  • 全体として中央の解像力に不満はないが、このようなレンズにはレコードレベルの解像力が期待される。しかし、このレンズはそのレベルを少下回っていて、仔細に見ると少し不満を感じるかもしれない。安価なViltrox23mm F1.4がレコードを樹立したので、高価なXF50mmF1にも同じことが期待される。また、安価なXF50mmF2は82~83lpmmに達しており、高価なXF50mmF1.0がより良い結果を出せない理由が分からない。
  • 隅は、F1.0とF1.4の解像力はもっと改善して欲しい。実用的な画質を得るにはF1.6からF1.8まで絞る必要がある。絞り込めば60lpmm近い良好な解像力になるが、それでも我々の期待に応えるには十分ではない。中望遠レンズは通常中央と隅でそれほど大きな解像力の差はないものだが、このレンズは周辺部があまり良くはなく、ここでも安価なXF50mmF2に負けている。

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  • 軸上色収差は開放では目立ち、1段絞ってもまだ目に見える。ここでも、再度、このレンズにがっかりさせられた。
  • 倍率色収差は開放付近では無視できる大きさだが、F2以上に絞ると大きくなり0.08%付近で落ち着く。これは「低い」と「中程度」の境界線上の値なので、文句はない。
  • 球面収差のテストでは、前ボケの後ボケで描写が異なっており、これは球面収差が良好に補正されていない典型例で、このレンズのもう一つの欠点だ。

  • 歪曲はJPEGではゼロ(測定値は+0.08%)だが、RAWでは+0.81%の糸巻き型で、心配はないが、プレミアムレンズにはより大きな期待をしているので、開発者はもっと歪曲を抑えるように努めるべきだっだと思う。
  • コマ収差はサンプルから十分に補正されていないことがわかり、F1.0だけでなくF1.4でも目立つ。これは、このレンズのもう一つの欠点だ。
  • 非点収差は8.6%の穏やかな値で、ここでは文句はない。
  • 玉ボケは、非球面レンズを採用しているにもかかわらず年輪ボケが見られず、非常に良好に見える。問題は主に口径食による変形だが、これは2段絞れば解消する。

  • 周辺光量落ちは未補正では45%(-1.73EV)で、大きな値ではあるものの、同じ画角のフルサイズ用レンズが2~3EV落ちることを考えれば、悪くはない。周辺光量落ちは絞ると急激に改善し、F2でわずか18%(-0.57EV)になり、F2.8で解消する。
  • 逆光では、太陽が画面内にある場合と、画面のすぐ外側にある場合にフレアが現れ、絞るとゴーストが現れる。このゴーストは光源が画面の外側遠くにある場合でも現れる。このカテゴリでは明らかに失敗しており、これはこのクラスのレンズでは起きてはいけないことだ。
  • AFはほとんど無音だが、最短から無限遠までX-T2で0.8~1秒かかるので、速いとは言えない(X-T4でも0.7~0.8秒かかり、自慢できるような結果ではない)。AFはスタジオでも屋外でも常に的中しており、AF精度の高さは称賛に値する。これはX-T2でもX-T4でも同じだ。

  • XF50mmF1.0は中央は実にシャープだが、その価格を考えると、我々の期待はこのテスト結果を遥かに上回っていた。このようなレンズは真に際立った性能であることが示されて初めて市場で成功を収めることができるが、残念ながらXF50mmF1.0は全然優秀なレンズではない。これで力を誇示しようとしたとするなら、それは完全に失敗だ。
  • 良い点:しっかりした防塵防滴の鏡筒、中央の素晴らしい画質、倍率色収差の良好な補正、歪曲が少ない、非点収差が穏やか、ボケが非常に素晴らしい、静かで正確なAF。
  • 悪い点:開放付近の隅の画質、軸上色収差が目立ちすぎる、球面収差が目立つ、コマ収差が顕著、周辺光量落ちが目立つ、逆光耐性が今ひとつ、コストパフォーマンスが低い。

 

かなりの酷評ですが、XF50mmF1.0は球面収差を残すことで、開放付近の解像力をある程度犠牲にしてボケの美しさを追求したレンズなので、解像力や収差の値だけで評価すると、このレンズの良さが分からないような気がします。

DPReviewTVもこのレンズをワーストレンズに選んでいたので、海外のレビュアーには、解像力よりもボケを優先したハイエンドレンズは、理解が得られにくいのかもしれませんね。