シグマ「35mm F2 DG DN Contemporary」は見事な解像力だが周辺光量落ちがかなり目立つ

LensTipに、シグマ I series のEマウント・Lマウント用の広角端焦点レンズ「35mm F2 DG DN Contemporary」のレビューが掲載されています。

Sigma C 35 mm f/2 DG DN - lens review

  • このクラスのレンズとしては目立っているのは、鏡筒の材質が金属のみでプラスチックが使用されていなということだ。フードも金属製だ。
  • 絞りリングはエルゴノミクスに優れ、申し分のない出来だ。
  • フォーカスリングはバイワイヤー(電動)で、動きはとても滑らかだ。回転角は、速く回しても200度を超えるかなりの大きさで、非常に正確なピント合わせができる。

  • 中央の解像力は見事で、開放で55lpmm(良像の基準は39-41lpmm)で、F4に絞ると77.3lpmmと驚くほど高い値に達する。ミラーレス用の広角レンズの場合、隅の解像力が中央よりも大幅に低いものをよく見かけるが、このレンズはそのようなことはなく、フルサイズの隅でも55~56lpmmに達する。

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  • 中央の解像力をBatis2/40、ソニーFE35mm F1.8と比較すると、開放ではシグマが優っているが、F2.8では同等になり、F4ではシグマとツァイスがソニーよりも少し上回っている。これらの3本の中ではシグマがベストだ。
  • 軸上色収差は開放ではボケにわずかに色が付くが、深刻なものではなく、絞ればほとんど解消するので文句はない。
  • 倍率色収差は、絞り値の影響は少なく0.03~0.05%のレベルで推移する。これは「低い」と「非常に低い」の境界線上で、称賛に値する結果だ。

  • 球面収差のテストでは前後のボケは異なるものの、違いはそれほど顕著ではなく、目立ったフォーカスシフトも見られない。球面収差の補正には大きな問題はない。
  • 歪曲は-1.94%の顕著なタル型で、設計者が歪曲の完全な補正を優先していなかったことが分かる。ソニーFE35mm F1.8は歪曲はほとんどゼロで、Batis 2/40も歪曲はもっと良好に補正されている。
  • コマ収差は、ダイオードに画面の隅でわずかな変形が見られるが、ソニーFE35mm F1.8 やBatisi 2/40よりは遥かに優れている。
  • 非点収差は10.5%の中程度の値で、ライバルに劣っているが、深刻なものではなく不満はない。

  • 玉ボケは明確な年輪ボケが見られ、良好ではあるがそれ以上のものではない。F2.8に絞ると、口径食がほぼ解消するのが慰めだ。
  • 周辺光量落ちは開放で72%(-3.64EV)の酷い値で、F2.8でも57%(-2.44EV)の非常に大きな値だ。F4では43%(-1.65EV)、F5.6では35%(-1.24EV)で、まだ目につく。F8では34%(-1.20EV)で、それ以上絞っても改善は見られない。シグマがこのレンズで光学補正を諦めているのは歪曲だけではなく、周辺光量落ちのカテゴリも追加する必要がある。
  • 逆光耐性は良好で、フレアは見られるものの多くの場合は弱いものだ。若干問題なのは絞り込んでいて太陽が画面の中央付近にあるときに、若干フレアが強くなることと、開放で太陽が画面外にあるときでも、フレアとゴーストが見られる場合があることだ。逆光耐性は良好だがもう一歩で、ソニーFE35mm F1.8の方が少し優れている。

  • AF速度は驚くようなものではないが、最短から無限遠まで0.5秒で遅くはない。作動音は静かで不満はない。AF精度は良好だが際立って素晴らしいものではなく、適切に照明されているコントラストがある被写体でも、予期せずにピントを外すことがあった。幸いなことに、そのような状況は多くは発生しなかった。
  • 35mm F2 DG DN の弱点はそれほど多くはない。開発者は価格やサイズ、光学性能の間で適切なバランスを取るために妥協が必要で、歪曲や周辺光量落ちは、最も後処理で容易に補正できるものなので、小さなレンズの設計者はそれらの補正をしばしば諦める。しかし、全体の評価が肯定的なので、その妥協は報われている。このレンズはソニーFE35mm F1.8を打ち負かしており、高価なBatis 2/40と比べてもそれほど悪くない。

  • 良い点:しっかりした金属製の鏡筒、画面中央の素晴らしい画質、隅の良好な画質、球面収差が穏やか、軸上色収差の良好な補正、倍率色収差が無視できる、コマ収差の良好な補正、静かで高性能なAF、2種類のキャップが付属。
  • 悪い点:フルサイズでの酷い周辺光量落ち、レンズの画角からすると歪曲はもっと小さければよかった。

 

シグマ35mm F2 DG DNは、全体的に高解像力で色収差もよく補正されていますが、周辺光量落ちの大きさは少し気になるところです。ボケに関しては、DPReviewのサンプルではあまり評判がよくありませんでしたが、ここでも年輪ボケが明確で、それなりと言った感じですね。