Viltrox「AF 56mm F1.4 STM」はポートレートに最適なレンズ

Sony Alpha Blog に、ViltroxのAPS-Cミラーレス用の大口径中望遠単焦点レンズ「AF 56mm F1.4 STM」とシグマ「56mm F1.4 DC DN Contemporary」の比較レビューが掲載されています。

Viltrox 56mm F1.4 STM

  • 鏡筒は総金属製で造りの品質は非常に良好だ。絞りリングはクリックレスで動画に最適だが、「F16」と「A(自動)」の位置の間の抵抗が弱いので、気付かないうちにAモードになっていることがある。
  • AFは速く正確だ。作動音は小さいが無音ではないので、静かな環境の動画ではAF音が記録されてしまうことがある。瞳AFとトラッキングは完璧に機能する。フォーカスブリージングは見られないので、動画に向いている。
  • フォーカスリングは大きくて十分な重さがあるので、MFが必要な場合は非常に使いやすい。

  • 解像力テストはα6600で行った。中央の解像力はF1.4でとても良好で、F2.8からF5.6では際立っている。隅の解像力は開放ではアベレージ(平均並み)にしかならず期待はずれだが、F5.6まで絞ると素晴らしい値になる。このレンズの解像力は、開放では画面全域で均一なわけではないが、これはこのレンズのようなポートレートレンズでは問題ないだろう。

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  • ポートレートでは十分なコントラストがあり、肌の階調描写はとても優れている。F1.4で既にとても良好な結果が得られ、F2.8で極めてシャープになる。
  • 周辺光量落ちはF1.4では見られるが、F2.8で解消する。
  • 歪曲は糸巻き型で小さい。
  • 色収差は非常に目立つが、これは後処理で容易に修正できる。
  • フレア耐性は平均的だ。光芒はあまりクッキリとしたものではない。
  • 玉ボケは良好でF1.4では円形を保っているが、F2では9角形になる。等倍で見ると輪郭部分には色収差が見られる。

シグマ56mm F1.4 DC DN Contemporaryとの比較

  • Viltroxの方がシグマより約30%安価で、鏡筒の造りの品質も高く、絞りリングがあるが、防塵防滴ではなく、最短撮影距離も60cmでシグマの50cmより長い。
  • 解像力は中央はシグマがF1.4とF2でワンランク上で、それ以降の絞りでは同等だ。隅はF4まではシグマが遥かに優れている。Viltroxもシグマも、ソニーE50mm F1.8やYongnuo 50mm F1.8と比べると遥かに優秀だ。

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  • 玉ボケと後ボケの描写はViltroxとシグマでほとんど同じだが、シグマは最短撮影距離がずっと短いので、遥かに大きなボケが得られる。
  • 発色はViltroxの方が優れており、少し暖色だ。シグマは少し寒色だ。
  • ポートレートではViltroxの方が全体的にシグマより自然な描写だ。シグマはF1.4では明らかにシャープだが、F2ではその差はわずかになる。
  • どちらのレンズもポートレートのAFでは問題があり、10%の画像でわずかにピントがずれていた。

  • 歪曲はViltroxの方がシグマより小さいが、色収差は大きい。色収差はViltroxの弱点だ。
  • 周辺光量落ちはViltroxとシグマで同等だ。
  • 逆光耐性はシグマが少し優っている。光芒はシグマの方がクッキリしている。
  • 動画はシグマは絞りリングがないので、絞りを変更すると画面の揺れが大きい。クリックレスの絞りリングがあるViltroxはずっとスムーズに絞りを変更できる。
  • シグマはコントラストが高くシャドーがつぶれがちだが、Viltroxはコントラストが低いのでシャドー部のディテールが良く見える。

  • 結論:Viltrox56mm F1.4 STMは、中央は非常にシャープで、背景のボケがとても柔らかく、色再現に優れ、肌色の発色は心地よい。このレンズはポートレートに最適だ。動画ではクリックレスの絞りリングは楽しく使える。
  • Viltroxは価格重視の場合や、動画撮影が多い場合、暖色系の発色を重視する場合に向いている。シグマは、開放時の解像力、画面全域の均一性が必要で、スチル中心の場合に向いている。

 

Viltrox 56mm F1.4は、価格を考えると鏡筒はとても高品質で、光学性能もなかなか優秀という印象です。開放付近の解像力や色収差の補正ではシグマに及びませんが、ボケの柔らかさや豊かな発色はポートレート用レンズとして魅力的ですね。