ソニー「α1」は読み出しを高速化しながらダイナミックレンジを大幅に改善している

DPReviewのソニーα1の初期レビューに、新たに画質に関するレビューが追加されました。

Sony a1 initial review

  • α1のRAWのディテールは同程度の画素数の競合機と容易に並ぶもので、とても素晴らしい。α7R IVとのディテールの差は、かなり仔細に見ないと分からない。しかし、α1はこのクラスの他のカメラと同様に擬色が発生しやすい。
  • RAWの高感度は、α1のセンサーは常識はずれの読み出し速度にもかかわらず、EOS R5と同程度の良好な性能で、Z7IIには少し後れを取っているが、S1Rには若干リードしている。プロ用機のライバルに対しては、競争力を維持しているが、画素数が多いためにEOS-1D X Mark III とD5に少し後れを取っている。

  • JPEGは、α1はデフォルトの設定でかなり積極的にシャープネスをかけており、α7R IVと比較してシャープネスが強くなっているように見える。一見にするとZ7II と良く似ているが、α1はずっと多くの細部のディテールを維持している。また、α1はシャープネスが強いにもかかわらず、ニコン機に見られるような輪郭のオーバーシュートに悩まされることはない。
  • JPEGの発色は良好で、ソニーは特に黄色が豊かだ。α7R IVと比較すると、豊かな黄色から、マゼンタへの傾きを抑えた青、温かみのある緑まで、さまざまな点で改善されているように感じられる。赤はα7R IVはキヤノンのような発色だったが、α1は彩度が下げられている。
  • 高感度のJPEGは、残念ながらかなり色のにじみがあり、ここではニコンが群を抜いている。α7R IVは高感度のディテールはα1よりも少しだけ豊富に見えるが、ノイズは多い。α1は輝度ノイズを低減するためにディテールを若干犠牲にしている。プロ機同士の比較では、α1は高画素に助けられて、EOS-1D XやD5よりも最高感度でのディテールは豊富だが、輝度ノイズと色の汚れも少し目立つ。

  • RAWのダイナミックレンジ:α9はセンサーの読み出し速度と低感度のダイナミックレンジがトレードオフになっていた(α9IIではそれより1/2EVダイナミックレンジが改善していた)が、α1はα9よりもスキャン速度が更に速いにもかかわらず低感度のダイナミックレンジが大きく改善している。α1のRAWは6EV持ち上げてもノイズレベルは控えめなままで、ダイナミックレンジはトップクラスのα7R IVに匹敵する。ライバルのプロ機との比較では、D5やα9II、EOS-1D X Mark III と比較して、α1はノイズレベルは最も低く、ディテールは最も豊富でクラストップの性能を発揮している。

sony_a1_a9_a9II_a7rIV_comp_dp_001.jpgこれまでのソニーの積層型センサーは、通常型のセンサーに比べると画質では少し劣っていましたが、α1のセンサーは高速読み出しと高画質を両立しているようで、ダイナミックレンジや高感度性能は同クラスの高画素機と比べて遜色のないものとなっているようです。画像を見る限りでは、α1はα9系に比べるとレタッチ耐性もずっと高そうですね。