富士フイルムのXレンズの開発は超望遠と第1世代レンズのリニューアルが優先事項

DPReviewに、富士フイルム光学機器・電子映像製品事業部の開発陣のインタビューが掲載されています。

Interview - Fujifilm

  • (GFX100Sはどのような顧客を念頭に置いているのか?)
    GFX100はプロカメラマン向けのフラッグシップカメラだが、GFX100Sは35mmフルサイズに親しんでいるハイアマなど、より幅広いユーザー向けにアピールしたかった。

  • (GFX100Sはどうやって小型軽量化したのか?)
    GFX100Sは開発当初からフルサイズカメラと同じサイズにするのが目標で、IBISユニットだけでなく、全てのコンポーネントを再設計し、内部のレイアウトを最適化している。GFX100Sではバッテリーをグリップ内に入れたのが、設計上の重要なポイントだ。また、シャッターの横幅が、カメラを小さくするための重要な要素だ。

  • (GFX100とGFX100Sで品質の違いはあるか?)
    どちらのカメラも品質基準を満たしているが、GFX100は究極の耐久性を実現するべく設計されており、強度を保つために内部シャーシがあり、外部からの衝撃に耐えることができる。

  • (GFX100Sに縦位置グリップが提供されない理由は?)
    GFX100が既にあるからだ。

  • (GFX100ユーザーからの最も重要なフィードバックは?)
    多くのユーザーがより小さく軽量なボディと低価格化を望んでいたので、幅広い顧客、特にデジタル一眼レフユーザー向けにGFX100Sを開発した。そのため、GFX100Sにはモードダイヤルを搭載している。

  • (IBISは将来のGFX全てで標準搭載になるのか?)
    ボディの大きさやデザインの制限にもよるが、100MPのセンサーでは、画質を維持するためにIBISが必要だと思っている。

  • (今後のGFレンズラインナップの優先事項は?)
    ラインナップに欠けている焦点距離と、独自の機能を備えたレンズの開発を続けている。顧客からは広角単焦点や広角ズーム、ティルト・シフトレンズの要望が多い。

  • (Xシリーズの新レンズの優先事項は?)
    現在最も長いレンズは400mmで、500mmや600mmなどの超望遠が欠けている。また、第1世代のレンズはAFが遅く防塵防滴ではないので、これらのレンズを更新する必要がある。

  • (X100Vの販売状況は?)
    新型コロナの影響にもかかわらず、前モデルと同程度の台数が売れている。

  • (X-T4は顧客からどのような反応があったのか?)
    X-T4は画質だけでなく、手ブレ補正や新しいバッテリー、強力なシャッターなどの新機能で成功を収めている。動画性能も高く評価されており、AF性能も順調に進化している。しかし、一部のスポーツ写真家は、より優れたAF性能を求めている。

  • (AF性能をどのように改善する予定か?)
    AF性能の改善はいくつかはファームウェアで、いくつかはハードで行われるだろう。AFは動体追尾を改善する必要がある。被写体とカメラの間に何かが入ったときにピントが合わなくなることがあり、そのAFアルゴリズムの改善に取り組んでいる。新しい被写体に素早く移動するAFを好む人と、元の被写体にAFが張り付くことを好む人があり、彼らにいくつかのAFの選択肢を提供する必要がある。

  • (X-T4のような一つの製品で動画とスチルの両方のニーズを満たすことは可能か?それともXシリーズのビデオカメラが登場するのか?)
    X-T4は高水準の動画画質を実現しているが、スチル用に設計されているカメラなので、ビデオグラファーを本当にターゲットにするなら、別のフォームファクターを考える必要がある。常にそのようなソリューションの研究はしているが、市場規模やユーザー数などについて検討する必要がある。

  • (コンピューショナルフォトグラフィーに興味はあるか?)
    センサーと処理エンジンの速度が非常に速くなれば多くのことができるので、将来的には技術的に可能になるだろう。しかし、そのような技術をカメラに導入するかは難しい問題で、我々は顧客が何を望むのか、それが顧客に利益をもたらすのかを考えなければならない。しかし、非常に興味は持っており、常に研究はしている。

  • (高画素化されてもX-Transにはまだメリットがあるのか?)
    高解像度でもX-Transは良好に機能する。この技術のおかげで、我々のカメラにはモアレや擬色がない。しかし、それはセンサーの種類に依存する。たとえば100MPの中判ではモアレや擬色が発生しないため、X-Transは不要だ。

  • (新型コロナのパンデミックの影響は?)
    影響は予想よりも小さかったが、顧客の行動に変化をもたらしており、1000ドル未満の製品の需要が減少し、ハイエンド機とGFXの需要が増加した。この傾向は加速している。我々はハイエンド機に焦点を合わせている。

  • (2021年の最大の課題は?)
    我々の他社との最大の差別化要因は、フィルムシミュレーションによる色の再現だ。最大の課題の一つは、富士フイルムの画質が競合他社とどう違うのか、顧客にどう告知するかということだ。

  • (GFXをフルサイズと価格で競争できる製品にしたいか?)
    価格は重要だが、低価格化はGFXシステムの最優先事項ではない。価格をフルサイズと同じにすれば需要は増えると思うが、GFXで高品質を実現するにはより大きなIBISユニットやシャッター、センサーが必要になりフルサイズよりもコストがかかる。このためGFXの品質を維持するには、フルサイズよりも少し高い価格設定にする必要がある。しかし、市場を刺激するために、その差を最小限に抑えるようにしている。それが我々の戦略だ。

  • (スマートフォンで写真を始めた顧客をどのように引きつけるつもりなのか?)
    X-S10はコンパクトでパワフルで使いやすく、とても良いステップアップ商品だ。また、2018年には1000万台を販売し大ヒットしたチェキシステムもあり、Xシリーズに移行が考えられる富士フイルムファンの大きな基盤となっている。

 

Xシリーズのユーザーからは超望遠レンズの要望がかなり多いようですが、500mmや600mmの超望遠が最優先事項に入っているようなので、それほど遠くないうちに希望が叶いそうですね。また、第1世代のレンズのリニューアルも期待できそうです。

GFX100Sに関してはプロだけでなくハイアマもターゲットにしたと述べられていますが、現在の売れ行きを見る限りでは、この戦略は成功のようですね。